タンパク質を構成するアミノ酸の一種で、商品名は「ハイチオール」といいます。体内では、メチオニン(必須アミノ酸の一種。血液中のコレステロール値を下げ、活性酸素を取り除く作用がある)から作り出されます。
皮膚の代謝や、肝臓の解毒作用に関与し、皮膚の色素沈着をもたらすメラニン色素の生成を抑え、メラニンを無色化するとともに肌のターンオーバーを促し、新しい細胞への生まれ変わりを助けます。シミ、そばかす、日焼け、かぶれなどの対策として、ビタミンC、ビタミンB類などとともに用いられ、色素沈着の予防と改善に適しています。シミのメカニズムとして、紫外線などの刺激により、メラノサイト(色素母細胞)内にある無色のチロシンが酸化酵素のチロシナーゼによって化学反応を起こし、徐々に黒色化することで黒色メラニン(ユーメラニン)が合成されます。
L-システインはメラニン合成の素となるこのチロシナーゼの活性を抑えることで、メラノサイト内でのメラニンの生成を抑制します。また、無色のチロシンが黒色メラニンへと合成されるのを阻害し、黒色メラニンをドーパキノンに還元して無色化します。さらに肌の代謝を促し、ターンオーバーを正常化することで、既にできてしまったシミ、くすみ、にきび跡の色素沈着などの排出を促します。
また、抗酸化作用や体内のコラーゲン線維を生成する効果があり、肌の弾力を高めて老化防止にも役立ちます。抗アレルギー作用もあり、湿疹、蕁麻疹(じんましん)、薬疹などにも処方されます。また、L-システインは肝臓の解毒作用に関与し、体内でアルコールを処理する作用があります。二日酔いの主な原因は、アセトアルデヒドという毒性物質であり、L-システインはこのアセトアルデヒドを体外に排出します。アルコール脱水素酵素やアセトアルデヒド脱水素酵素を活性化することで、アルコールを分解し、二日酔いの改善に用いられます。食品では、赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オート麦、小麦胚芽などに含まれまれ、美容目的のサプリメントとして、多くはビタミンCとの合剤として市販されています。
銀座ケイスキンクリニックではシミや肝斑の改善、予防の内服治療薬としてビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸とともに処方しています。