疣贅(いぼ)はヒトからヒトへ感染する皮膚病で、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で生じます。現在のところ、HPV は150種類以上も異なるタイプがあるといわれており、感染したHPVのタイプにより尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマなどが発症します。
尋常性疣贅は手足に出来ることが多く、えんどう豆大までの隆起性結節で、表面ががさがさしています。爪の周囲はささくれが生じやすく、HPV が侵入し、いぼができやすい部位です。足の裏のいぼは体重がかかるため、あまり隆起せず、深く入り込むのが特徴でミルメシアと呼ばれることもあります。まれないぼとして色素性疣贅(黒いいぼ)や足の裏に生じる足底表皮様嚢腫、点状疣贅があります。扁平疣贅(いぼ)は顔、手の甲、下腿にみられることが多く、褐色調のいぼで青年期の女性に多く見られます。
顔のひっかき傷からHPVが感染すると、線状にいぼがみられることがあります。尖圭コンジローマ(性器いぼ)は、性行為や類似行為によって感染し、肛門周囲、外陰部、口腔内に生じるいぼです。また子どもにみられるミズイボは、HPVウイルスではなく、伝染性軟属腫ウイルスという全く別のウイルスが原因です。
治療は液体窒素による凍結療法が一般的ですが、難治性のものには炭酸ガスレーザー、くり抜き法、グルタルアルデヒドなどの外用療法、接触免疫療法、ヨクイニン内服療法なども行います。
保険診療で行われる液体窒素凍結療法は1~2週間の間隔で繰り返し施術する必要があり、強い痛みを伴います。炭酸ガスレーザー治療は病変部のみを蒸散させるので、治療期間は短くメスを用いる手術より圧倒的に傷口はきれいに仕上がります。出血もほとんどなく、当日から入浴、洗顔も可能ですが、いぼが大きく深い場合には数回の治療が必要です。最近では、ロングパルスNd:YAGレーザー高出力照射の有効性も報告されており、銀座ケイスキンクリニックでも取り入れています。