色素性母斑(ほくろ)に似ている腫瘍の中に、「基底細胞癌」と呼ばれる皮膚の悪性腫瘍があります。80%以上がお顔にみられ、その中でも特に鼻周りなど、顔の中央に多く、紫外線の関与が推測されています。上皮系細胞のもとになる細胞が異常増殖したものと考えられており、組織学的には表皮の基底細胞に似た細胞が、胞巣(かたまり)を作りながら増殖しています。日本人(有色人種)の場合、腫瘍細胞がメラニン色素を産生し、黒色調のものがほとんどであり、色素性母斑(ほくろ)との鑑別が必要になります。逆に白人ではメラニン色素を作らないので、皮膚と同じ色か、血管拡張を伴って少しピンク色であり見逃されやすいので、皮膚科医は常に基底細胞癌も念頭に置いて診察に当たっています。
この腫瘍は放置すると潰瘍化したり、局所で無制限に増殖して骨まで深く入りこんだりすることもありますが、癌という名前にそぐわず、滅多に転移することはありません。そのような背景をふまえ、「基底細胞腫(上皮腫)」と呼ぶ人も少なくありません。腫瘍からある程度の安全域を含めて完全にメスで切除し、組織学的に取りきれていることを確認できれば予後の良い疾患です。
銀座ケイスキンクリニックでは皮膚科専門医が特殊な拡大鏡である「ダーモスコピー」を使用してきちんと基底細胞癌を除外した上で、ホクロと診断したものだけを炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)で除去しています。