一般的に目の下の黒ずんだ部分を呼びます。加齢、遺伝、外部刺激、生活習慣、疲労、疾患(貧血、肝機能異常、アトピー性皮膚炎、内臓悪性腫瘍)など多くの原因があり、複合的な原因で発生していることが多い症状です。
美容分野では、「茶ぐま」「青ぐま」「たるみぐま」に分類しますが、これらのいくつかが併発している場合が多く見られます。
そもそも「アイホール」と呼ばれる眼窩周囲の皮膚は約0.5㎜と最も薄いため(他の部位の皮膚は厚さ約2㎜)下床の筋肉が透けてみえやすく、外部刺激の影響も受けやすくなっています。また、上下のまぶた(眼窩周囲)には、皮脂腺がないため乾燥しやすく、1日のうちに1万5千~2万回もまばたきをするために負担もかかります。一つ目の「茶ぐま」は紫外線の影響、アイメイクの刺激、クレンジングなどの摩擦による軽徴な炎症と、色素沈着が原因です。
治療には高濃度ハイドロキノンクリーム、レチノイン酸、ルミキシルクリームなどの美白剤や、「ジェントルレーズ」「フォトセラピーマルチエフェクト」などの美白効果があるレーザー、光治療をケミカルピーリングと併用して照射することが第一選択です。また、CO2フラクショナルレーザー治療により、色素沈着部の肌を白く新しい皮膚に入れかえるのも有効です。
二つ目の「青ぐま」で見られる青暗い影は、下まぶたの皮膚が薄いために、そのすぐ下にある眼輪筋の静脈血の色味が透けて見えることで起こります。寝不足やストレス、冷えなどの影響で目立ちやすく、若い人や子供にもみられます。一時的な症状は睡眠やマッサージなどで改善が期待できますが、加齢によるものは積極的な治療が必要です。人間の皮膚は加齢によりコラーゲン線維が劣化・変性し、薄くなってしまうため、PRP(多血小板血漿)注入療法や各種レーザー、リフトアップ治療器照射によるサーマルトリートメント(熱治療)などコラーゲン線維を増やし、厚くする治療が適しています。
三つ目の「たるみぐま」とは加齢と肌老化により、真皮のコラーゲン線維が細くなり、皮膚がたるむことで起こります。また、眼球を支える眼窩隔膜という支持組織が弱くなり、眼窩内脂肪が突出することにより目の下がぽっこりと突出して目立つこと(目袋)や、頬のたるみによるくぼみが陰影を作ることで、余計に「たるみぐま」は目立つようになります。治療法として外科手術で眼窩内脂肪を摘出し、伸びた皮膚を切除する方法がありますが、ダウンタイムが1~2カ月と長引くことが問題です。切らない治療として、やわらかいヒアルロン製剤を注入して影をつくるくぼみを消し、くまを目立たなくする方法が適しています。また「青ぐま」治療と同じく、PRP(多血小板血漿)注入療法やスカーレットRF(スカーレットS)照射、CO2フラクショナルレーザーによるアイリフトなどコラーゲン線維の増生をはかる治療を同時に行うことで、たるみの改善が期待できます。