毛髪は、地肌から出ている「毛幹」と、頭皮内部にある「毛根」に分けることができます。
私たちが普段目にしている毛髪とは「毛幹」のことで、毛髪自体を作り出す組織は毛根の先の膨らんだ「毛球」の部分になります。毛母細胞そのものが作り出す毛髪は、もともとは白髪なのですが、メラノサイトと呼ばれる色素細胞が作り出したメラニン色素が毛髪内に取り込まれることで頭髪の色が決まります。メラニン色素は、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類がありますが、ユーメラニンが多いとその色は濃くなり、フェオメラニンが多いと赤みを帯びた色になります。日本人ではユーメラニンがメインなので、毛髪は主に黒色や茶色に染まります。
しかし、色素細胞(メラノサイト)の働きが、何らかの原因で弱まったり消失したりすると、髪を黒くするメラニン色素がつくれず白髪になってしまうのです。色素細胞(メラノサイト)の働きが低下する原因として、遺伝・加齢・ストレス・病気などがあげられます。
白髪の原因やメカニズムについては未だ解明されない点が多く予防も難しいのが現状ですが、少しずつ研究の進んでいる分野もあります。2005年、花王が白髪の発生に特定遺伝子の量が関与していることを確認しています。
また2009年には、東京医科歯科大学のグループが、黒髪の色素をつくる「色素幹細胞」がDNAの損傷を修復できずに自己複製しないですべて分化することで、色素幹細胞が枯渇し、白髪になるというメカニズムを発表しました。人への応用はまだ時間がかかりますが、帽子や日傘を活用し紫外線から頭皮を守ることや規則正しい生活を送り、バランスのよい食事を摂り、自分なりのストレス解消法を見つけるといった日々の生活を見直すこともDNAの損傷を食い止め、白髪予防の一助となるでしょう。