特集『「光老化」を知って、肌の老化を予防』に川島眞教授、慶田院長の監修記事が掲載されました。
川島眞教授
当院の最高顧問であり、皮膚ウィルス感染症、アトピー性皮膚炎の権威。女子医科大学皮膚学教室主任。「光老化」啓発プロジェクト委員会、設立発起人として、光老化に対する知識を広めていらしゃいます。
慶田院長は6月号、特集「つまるところ女は"白肌"を目指す」にて「‶紫外線ケアの新常識〟」「夏本番、目前!‶いますぐやるべき10のケア〟」について監修し、今回は光老化から肌を守るケアについてお話しています。
「光老化」を知って、肌の老化を予防(掲載ページP114~P115)川島教授監修
シワやたるみといった肌の老化は、年齢とともに進んでいく...と思っている方も多いでしょう。しかし最近の研究では、肌の老化の80%は、太陽の光が原因で起こることが明らかになっています。
太陽の光は、適度に浴びると皮膚の中でビタミンDがつくられ、健康 維持に役立ちますが、長時間、無防備に浴び続けると日やけをし、肌にシミ、シワ、たるみができます。このように、太陽の光によって起こる肌の老化を「光老化」といい、日常的に紫外線をたくさん浴びている人と、浴びていない人では、肌の老化の速度かなり違ってくるのです。
多くの女性にとって、シミやシワを防ぐために紫外線ケアを行うことは、今や常識となっています。ところが、太陽の光にはさまざまな種類があり、肌にダメージを与えるのは、 紫外線だけではないのです。
地表に届く太陽の光は、主に紫外線(UV)、可視光線、赤外線(NIR)の3つに分けられます。紫外線には、 A紫外線(UV-A)とB紫外線(UV-B)があり、B紫外線は肌の表皮に入り込んで、ヒリヒリとした 炎症を起こすもの。B紫外線を浴び続けると表皮の細胞でメラニンが大量につくられて蓄積し、シミやくすみの原因となります。
一方、A紫外線は、肌の深部の真 皮にまで入り込むもの。真皮には肌のハリと弾力を保つコラーゲンやエラスチンが張りめぐらされていますが、A紫外線を浴び続けると性質が変わって本来の機能を失い、ハリと弾力がキープできなくなります。すると、シワやたるみができるのです。
このように、紫外線は肌の老化に大きくかかわっているものの、太陽光の熱エネルギーにおける紫外線の比率は10%以下と、ほんのわずか。 これに対し、熱エネルギーの50%を占めているのが、近赤外線です。
近赤外線とは、赤外線の中でも波長が短い光線のこと。太陽の光に含まれているだけでなく、テレビやパソコンのモニター、こたつなどの電化製品からも放射されています。
近赤外線はその特性を生かし、赤外線カメラや電気製品のリモコンをはじめ、シワやたるみを改善するレーザー機器に使用されるなど、多様な場面で有効活用されています。しかし、 その一方で、紫外線と同様、肌にダメージを与えるというマイナス作用もあるのです。
まず、近赤外線を浴び続けると肌の血管が拡張し、赤みの原因となります。また、近赤外線は肌の真皮を突き抜けて、A紫外線よりもさらに深い部分にある筋膜や筋組織にまで達し、その性質を変えてしまいます。 すると、筋膜が皮膚を支えきれなくなり、たるみが生じるのです。このように、肌の奥深くまで入り込んでダメージを与える近赤外線は、ある意味、紫外線よりも怖い存在。光老化を防ぐには、紫外線はもちろんのこと、近赤外線からもしっかりと肌を守る必要があるのです。
市販されているサンスクリーン剤には、B紫外線を防ぐ効果を示す「SPF」と、A紫外線を防ぐ効果を示す「PA」という表記はありま すが、近赤外線を防ぐ効果は表示されていません。少しずつ、近赤外線 をカットするサンスクリーン剤も登場していますが、現在は、光老化を研究する専門家たちが、市販のサンスクリーン剤の防御効果を測定しつつ、新たなサンスクリーン剤を開発 している段階。ですので、近赤外線を防ぐには、衣服で肌を覆う、帽子をかぶる、日傘を差すなど、物理的に太陽の光をカットすることが重要となります。
紫外線と近赤外線のほか、ここ数年、人の体に及ぼす影響が話題となっているのが、ブルーライト。ブルーライトとは、可視光線の中で最も波長が短く、強いエネルギーをもっている青色の光で、近赤外線と同じように太陽の光に含まれるだけでなく、テレビやパソコン、スマートフォンの画面からも放射されています。
ブルーライトは今のところ、肌細胞にどの程度、直接ダメージを与えるのかは明らかになっていません。しかし、目の奥の網膜にまで届き、自律 神経のバランスを乱すうえ、眠りへと導くホルモン、メラトニンの分泌 を抑制。その結果、良質な睡眠を妨げ、脳が休息できない状態を招きます。肌を若々しく保つには、質のいい睡眠が欠かせません。つまり、ブルーライトは目や脳を介して、肌にダメージを与えているのです。ワーキングウーマンの中には、職場で一日中パソコンに向かい、家では眠る直前までスマートフォンを眺めているという方も多いでしょう。できる範囲で、スマートフォンを見る時間を減らす、ブルーライトをカットするメガネを使うなど、ブルーライトから身を守ることが大切です。
「光老化しないための、肌の守り方を覚えよう」(掲載ページP116~P117)
慶田院長監修、年間を通して紫外線、近赤外線対策を行い、若々しく美しい肌を守りましょう。光老化を防ぐには、顔はもちろん、ボディにもサンスクリーン剤を正しく塗ることが大切です。ただ、近赤外線とブルーライトは、一般的なサンスクリーン剤ではカットできません。そこでポイントとなるのが、ファンデーションやフェイスパウダー。サンスクリーン剤の上に塗り重ねることで、粒子が太陽の光を乱反射させ、光が肌に侵入するのを防御できます。そのほか衣服で肌を覆う、帽子や日傘を使うなど、物理的に太陽の光を遮るのも効果的。目から入った紫外線はシミの原因となるので、サングラスも忘れず着用しましょう。目周りのシミを防ぐためにも、大きめのサングラスがおすすめです。光老化は白内障や加齢黄斑変性など目の障害も含むため、サングラスで物理的にブロックすることは、シミだけでなく、目を保護することにも役立ちます。また、寝る前はスマートフォンを見ないなど、ブルーライト対策も心がけましょう。こうした習慣を取り入れることで、光老化を食い止めることができます。
サンスクリーン剤の数値の過信は禁物です。数値の高いものを一日一度だけ塗るより、こまめに塗り直すこと、塗り残しがないことが大切です。
ボディにサンスクリーン剤を塗るときは、服を着る前が基本。まずは肌に筋状にのばし、手のひらの広い部分を使って、服で隠れる範囲より少し内側まで塗り広げましょう。胸元が広く開いた服の場合は、バストトップまでていねいに塗りましょう。
顔の場合は、500円玉大のサンスクリーン剤を手に取り、額、あご、頬、鼻において伸ばす。これを二回行ったら、大きめのパフにファンデーションかパウダーをのせ、肌を優しく押さえましょう。メイクアップし、サンスクリーンの塗り直しができなくても、化粧直しの際に、UV効果があるパウダーを使用すれば効果的です。
また、「ヘリオケア」を、お出かけ30分前に飲めば、紫外線と活性酸素から肌と目を保護できます。強い抗酸化作用をもち、細胞をDNAレベルから保護するファーンブロックのほかビタミンC、E、D、ルテイン、リコピンを配合。飲む日焼け止めと呼ばれ、注目されています。
光老化から肌を守るにはサンスクリーンのほかに、長袖のシャツ、帽子、サングラスなど、物理的に光をブロックするアイテムを活用しましょう。
是非、ご一読ください。