特集「普通肌さんも春は要注意!敏感肌にならないための肌じたく」
に慶田院長の監修記事が掲載されました。
春先になると、いつもと同じ化粧品を使っているのに突然、刺激を感じたり、不快なザラつきを感じることはありませんか。
その症状、実はスキンケアや生活習慣の見直しで事前に回避できることもあるのです。そこで、肌のバリア機能を守るスキンケア法や、環境が変わりやす春に気をつけたい生活習慣について、皮膚科専門医の慶田院長が解説しました。
<すべての基本は"保湿" 肌バリアを整えましょう>
気温が少しずつ上がり、春の訪れを感じるとともに、突然、肌に赤みや湿疹ができて、敏感肌を自覚するという人は少なくありません。しかし、なぜ春先にこういった敏感症状が現れることが多いのでしょう。
この季節は、バリア機能の要である細胞間脂質の量が低い慢性的な乾燥肌の人やアトピー体質の人はもとより、普段肌トラブルを経験しない人も不調を感じやすい時季。本来、花粉や黄砂は、肌に付着した程度では刺激になりません。ところが、冬の乾燥した空気にさらされ、水分を奪われると、肌のバリア機能は弱まった状態になってしまいます。そこに花粉や黄砂、最近話題のPM2.5などの大気汚染物質が付着すると、アレルギー反応が生じ、湿疹などの炎症が生じてしまうのです。
では、どうしたら良いのでしょうか?バリア機能を高める手立ては、とにかく保湿を怠らないことが何よりも大切です。
ファーストステップとして、潤いキープを意識した洗顔に見直しましょう。次に、化粧水をじっくり2度塗りし、上からクリームやバームで保護することで潤いを逃さない肌に変わっていきます。
さらに、毎日の睡眠や、食事などのライフスタイルも実は肌に大きく影響します。毎年おきる仕方のないこと......と諦めていた不快な症状でも、生活をちょっと見直すことで、回避することができるのです。
●Check List
知らず知らずのうちにやっていることが、敏感肌を引き寄せているかも?
あてはまる数が多いほど敏感肌を誘発するリスク大! いつもの習慣を見直してみましょう。
□毎日ふき取りクレンジングを使っている
□クレンジングはシャワーで大胆に洗い流している
□クレンジング料で念入りにマッサージしている
□朝は顔を洗わない
□スキンケアの時、コットンを使っている
□毎年、日焼け止めは気温が高くなってから塗る
□すっぴんが好きで、ベースメイクは塗らない派
□屋外で活動する機会が多い
□便秘がちである
□睡眠不足だと感じている
□気付くと体に力が入っている
□ダイエット中でオイルはかなり控えている
Care Step1 毎日のスキンケアを見直す
肌が敏感に傾いている時期は、毎日の洗顔やスキンケアをいつもより丁寧に行いたいもの。刺激の少ない、肌に負担をかけにくいアイテムを揃えましょう。
Point1 クレンジングや洗顔料など"落としもの"を見直す
拭き取りタイプのクレンジングで肌を毎日こすったり、清潔志向が強すぎて、肌がキュッとなるまで洗ってしまうのは、結果的に肌を痛めてしまうので、この時期はとくにNG。摩擦の負担が少ないジェルタイプや、やわらかい泡で洗うポンプタイプのもので、肌へのやさしさを重視しましょう。
Point2 洗い流す時はぬるま湯で溜め洗いを
熱いシャワーで洗顔する人は多いですが、バリア成分である角質細胞間脂質まで洗い流してしまうことに。洗顔時は、36℃程度のぬるま湯を洗面器に溜めて、パシャパシャと掛け流しするように洗うのがベスト。クレンジングは長時間肌にのせず、肌になじませたら1分以内で素早く落としましょう。また、夜の間にクリームなどの油分が酸化するので、朝も軽めの洗顔は必要です。
Point3 スキンケアは保湿成分を含む"モイスチャライザー"を選ぶ
モイスチャライザーとは、セラミドやアミノ酸、多糖類など、水分保持作用のある保湿成分が含まれる保湿化粧品のこと。バームやオイルなどは水分の蒸発を防ぐ効果はありますが、それだけでは不十分。必ずモイスチャライザーを1品組み込みましょう。また、化粧品を塗るときはコットンではなく、手でのばす方が肌にとって低刺激。もしコットンを使う場合は肉厚で肌あたりのやさしいものを選び、擦らないようにしましょう。
●メイクするときにはここに注意!
パウダーファンデーションはパフでスタンプ塗りが◎
付属のスポンジではなく、お粉用のふかふかしたパフに替え、肌にスタンプするように押さえましょう。肌への摩擦を軽減できます。
指を使う時は力が入りにくい薬指で
人差し指はどうしても力が入り、肌をこすってしまいがち。メイクする際は、ほかの指より力が入りにくい薬指で、やさしくタッチを。
メイクブラシは素材にもこだわって
毎日使うブラシの素材が悪いと、こすれた部分が刺激となり、シミの原因になることが。肌当たりのよい獣毛タイプがベターです。
Care Step2 花粉、大気汚染、紫外線から守る
素肌では肌老化を進行させる紫外線や、有害物質が含まれる大気の刺激がダイレクトに受けてしまいます。ベースメイクとの重ね塗りで刺激に負けない肌を作りましょう。
Point1 有害物質をブロックするベースで肌を刺激から守る
この季節のUVケアアイテムは、紫外線から肌を守るだけでなく、花粉、黄砂、PM2.5などの微粒子物質や、たばこの煙、排気ガスといった有害物質から皮膚をガードしてくれる多機能なものを選ぶのがベター。さまざまな外的要因から肌をプロテクトしましょう。
Point2 メイクの上から使えるアイテムを活用して日中もガード
朝のメイク時、どんなに肌をプロテクトしても、時間の経過とともに効果が薄くなり、日中の汗や皮脂で成分が流れてしまうことは否めません。日中は、ベースメイクの上から手軽に塗り直せるスプレータイプやパウダーを常備して、適切に重ね塗りを。
Point3 UVケアは年中行って室内でも要注意
クレンジング、洗顔、保湿と並んで、UVケアはスキンケアの基本。日差しの強い時期だけでなく、1年中行いましょう。また、窓越しの太陽光にもしっかり紫外線は含まれています。軽めのUVカット機能が含まれたベースメイクでもいいので、外出がない日も日焼けケアを忘れずに。
Step3 生活習慣を整える
環境が変わりやすい春は、自分でも気がつかないうちにがんばりすぎて、プチ不調に陥りがち。そんな体の不調が、実は肌にも大きく影響するのです。
Point1 発酵食品を食べて腸内環境を整える
「花粉症にはヨーグルトがいい」と、言われます。それは、発酵食品に含まれる善玉菌で腸内環境を整えることで免疫調整ができ、鼻や目の粘膜系、肌にもアレルギー反応が起きにくくなることが分かってきています。特に、日頃から便秘がちという人は腸内環境が悪い証拠なので、積極的に取り入れましょう。同時に食物繊維を摂ると相乗効果が。
Pont2 適度な運動、睡眠が肌のバリア機能を高める
ストレスや睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を下げ、肌バリアの機能も低下させてしまいます。きちんと食べて、体を動かし、睡眠をとるという基本的な生活習慣を整えるだけでも、体の抵抗力を高めることができます。肌の不調は、体から発信されるSOSと捉えて。
Point3 リラックスタイムを意識して設けストレスコントロールを
春は環境の変化や、冬から春への季節変化で自律神経が不安定になりやすい時季。心身のストレスや、自律神経の乱れは肌のゆらぎにつながります。夜はアロマを焚いたり、お風呂にゆっくり浸かるなど、意識的に安らぎ時間を作って、交感神経をオフモードに切り替えましょう。
Point4 良質なオイルを取ってセラミドの生産を促す
肌の潤いの元となる細胞間脂質の成分の半分は、セラミド。そのセラミドの材料はコレステロールなので、毎日の調理に使う油にこだわってみましょう。サラダにはオメガ3が豊富なエゴマ油や亜麻仁油、加熱にはコメ油やオリーブ油など、用途別に良質な油を摂取して。過剰なオイルカットは肌の保湿力低下につながるため、気をつけましょう。
早め早めの"肌じたく"で、敏感肌の季節に備えましょう。
是非、ご一読ください。