特集「表情筋のセルフケア」(P12~14掲載)に慶田院長の監修記事が掲載されています。
最近耳にすることが増えた"表情筋"。文字通り顔の表情を作る筋肉のことを指しますが、マスク着用が日常となった今、この筋肉が衰えているのでは、と感じている人もいるようです。
【顔の表情を動かすための筋肉"表情筋"とは?】
顔と頭部には30種類以上の筋肉があり、これらを総称して"表情筋"と呼んでいます。笑顔を作るときは"笑筋"と"大・小頬骨筋"が、逆にへの字口になるときは"口角下制筋"が働いています。びっくりしたときは前頭筋が収縮して眉が上がり額にシワが寄ります。また、眉をひそめる時に動かすのは"皺鼻筋"と"鼻根筋"といったように、複数の表情筋が連動して動くことによってさまざまな表情を作ることができます。
表情筋は、年齢とともに硬くなり、また縮みやすい性質を持っています。一方、皮膚はハリがなくなりたるんでくるので、筋肉の影響が表に出やすくなり、シワが深く刻まれたり、口角が下がってきたりするのです。表情筋を鍛え過ぎるとますます筋肉の影響を強めることになるので、本来は家族や友人との会話などで表情が変わる程度の動きで十分なのです。
【安らげる時間が心や体を健やかに】
新型コロナウイルス感染拡大のため、自粛生活が長引くにつれ、本当に誰とも会わない日が続き、表情を変えることがなくなっている方がいらっしゃいます。そのような場合は、やはり意識して動かすことが必要になってきますので、今回簡単にできるセルフケアをご紹介します。「さぁ鍛えるぞ!」と頑張るのではなく、日常の生活の中で気づいたときに意識して動かしてみてください。
また、「なんだか顔がスッキリしないな」という時は、むくみが原因かもしれません。余分な水分が皮膚の下に溜まっている状態なので、マッサージをすることは流れをよくする助けになりますが、肩回しやスクワットなど、体全体を動かくことも効果的です。
一番のおすすめは、散歩に出て、(周囲に人がいないときに)マスクを外して深呼吸すること。道に咲く花やすれ違う散歩中の犬などを見て自然に笑みがこぼれることで、表情筋も自然にほぐれるはずです。感染防止の対策はしっかりしながら、心身ともに健やかに過ごせる時間を作りましょう。
■目の周りのセルフケア
年齢とともに瞼が重くなってきますが、しっかり目をあける習慣をつけましょう。
[眼をギュッと閉じる ←繰り返す→ 大きく目を見開く]
※額にシワが寄るほど開けるのはNG
■口の周りのセルフケア
口をしっかり動かすことを意識すると、活舌や嚥下の改善にもつながります。
[口を「うー」の形にする ←繰り返す→ 口角を少し上げながら「いー」の形にする]
※「いー」の時、広頸筋が浮き出るのは、やりすぎなのでNG
■目の疲れ・むくみをとるセルフケア
眉の下の骨に沿って目頭の方から外に向けて親指でそっと押していく。
■顔のむくみをとるセルフケア
顔の骨に沿って顎の方から耳に向けて親指でそっと押していく。
【姿勢を正すと表情も晴れやかに?!】
猫背で首が前に出がちな日本人。スマートフォンや新聞を読む際に、さらに前かがみに姿勢が悪くなっている人も多いのですが、この姿勢が実は表情にも悪影響を与えています。
首が前に出た姿勢になると首の"広頚筋"が伸び、これにつながる"スマス筋膜"を引っ張ってしまいます。スマス筋膜は表情筋と皮膚の間にあり、顔の土台と呼ばれているものです。これが下に引っ張られることで、同時に顔の皮膚も下に引っ張られることになり、たるみの原因となってしまうのです。
筋肉、筋膜、皮膚はそれぞれ独立したものではなくすべてがつながっているので、姿勢を正すことで体全体のバランスを改善できます。肩甲骨を寄せて正しい姿勢を意識することで、肌もたるみにくく、気分も上向きになるはずです。
【皮膚を守る基本の3ポイント】
表情筋のケアも大切ですが、それを覆う皮膚のケアも同じく大切です。気候がさわやかになっていくということは、湿度も下がっているということ。乾燥した肌は荒れやすいので、しっかりケアしていきましょう。スキンケアの基本は「優しく洗う」「しっかり潤す」「光対策」の3点です。
まず「優しく洗う」。朝洗顔は洗顔料を使わない人もいますが、皮脂が酸化すると肌に刺激を与えるので、低刺激の洗顔料できちんと皮脂を落とすことが大切です。そしてそのままでは乾燥してしまうので化粧水、乳液、クリームなどで「しっかり潤す」。最後の「光対策」は、夏以外は不要だと思われがちですが、冬も紫外線はありますし、日焼け止めを塗ることで肌の表面にバリアを張ることができますので、ぜひ男性にも使用していただきたいです。
是非、ご参考になさって下さい。