特集「胸の健康を考える。おっぱいハンドブック」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
胸について知ることは、自分を大切にして美乳を目指すための第一歩です。よくあるバストの肌トラブルや乳がん検診の基礎知識、年代別の変化などを解説しました。
【これって病気?気になるお胸のお悩みチェック。】
なかなか人には言えないバストや乳首の悩み。アンケートを見ると、私だけじゃなかった! でも、ひょっとすると病気のサインが隠れている可能性も?
●「乳首が痒くなります」
それは...ブラジャーで擦れているからかも!?
乳首やその周りがムズムズと痒くなるという人は、意外と多いようです。原因として、ブラジャーによる擦れ、汗の刺激などが考えられます。ちゃんとフィットしていないブラジャーをつけていると、中で乳首が擦れてしまいます。まず、下着の縫い目やレースが乳首に当たらないかをチェックしてみましょう。レースをたっぷり使った可愛い下着は特別な日だけにして、ふだんは肌への刺激が少ないものを使用しましょう。肌当たりを重視するならシルクやコットンがおすすめ。最近の機能性下着は、吸水性に優れた肌に優しい素材のものも増えています。症状がひどいときは、キャミソールなどのインナーを着た上からブラジャーをするという裏技もあります。また、運動する際はしっかりホールドできるタイプのものを着用することもお忘れなく。
●「乳首に太い毛が生えてきます」
それは...体質なので問題ないが、病気が原因のことも。
他の体毛と同じように体質によって個人差があるもの。ホルモンの影響で、出産前後に毛が増えたり、濃くなったりする人もいます。デリケートな部位なので、自分で抜いてしまうと炎症を起こすこともあり、お勧めしません。毎日剃るのも避けましょう。剃毛すると皮膚の角層が剥がれて無防備な状態になり、細菌などに感染しやすくなります。また、ホームケア用の光脱毛器も、肌色の濃い部位に使うと火傷のおそれがあるので避けましょう。クリニックで受ける医療レーザー脱毛が安全です。
当院で使用する『ジェントルレーズ・プロ』は日本で初めて『医療レーザー脱毛』の効能で薬事承認を受けた医療機器で、デリケートゾーンなど、生理的に色素の濃い部位の脱毛も安全に短時間で照射できます。強い熱エネルギーによって毛と毛を作る器官(毛母)を壊すため、半永久的に毛が生えてこなくなります。さらに、レーザーの美白作用に加え、熱作用で皮膚も引き締まるので、継続すると肌のハリと透明感が高まります。
また、あまりにも毛の量が多い場合は、病気のサインである可能性もあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCO)といって、卵巣に嚢胞がたくさんできてしまう病気です。男性ホルモンの値が上がりニキビが異常にできたり多毛になったりすることがあります。おかしいなと思ったら皮膚科、もしくは婦人科を受診しましょう。
●「胸の谷間がザラザラしている」
それは...毛穴が詰まりニキビができかけているのかも?
胸やデコルテのざらつきは、小さなニキビ=コメドがある状態。悪化すると赤ニキビや膿を持った黄ニキビになってしまいます。胸のまわり、とくに胸の谷間からデコルテにかけてはもともと大きく発達した皮脂腺が多く分布する部位です。脂を好むアクネ菌が繁殖しやすい環境といえます。
皮脂腺の多さは遺伝で決まっているので、もともとニキビができやすい方はいらっしゃいます。一方で、夏に悪化することが多いのは紫外線や汗、睡眠不足や疲労など様々な要因で角層が厚くなり、気温が高くなって皮脂量が増えるので毛穴が詰まりやすくなることが原因です。
また、甘いものばかり食べて糖質過多になるとニキビを悪化させます。日々のケアとしては、やさしく洗うことが大切です。どうにも気になるときは、皮膚科で『ケミカルピーリング』を受けると改善しやすいです。余分な角質を取り除くことで皮膚の新陳代謝を高め、新しい皮膚に再生させます。
●「ブラジャーが当たるところが痒くてしょうがない」
それは...汗が刺激に。暑い時期はしっかり対策を。
ブラジャーのワイヤーが当たる胸のアンダーラインのあたりが痒く、なかには、かぶれたようになってしまうという声もあります。厳密には"かぶれ"は金属などアレルギー物質に触れることで起きます。ブラジャーの布でかぶれる可能性は低く、痒みの原因の多くは「汗荒れ」と呼ばれる湿疹の状態です。肌が弱い人には、自分の汗さえも刺激になってしまいます。ブラジャーは日中ずっとつけているので、汗をかいてもそのままにしがちですが、こまめに拭くなど地道な対策をしましょう。汗をたくさんかいたら、お手洗いに行ったときなどに、濡れたハンカチでブラジャーが当たる部分を拭きとるといいでしょう。乳首の痒み対策と同じように、吸水性の高い、肌にやさしい素材のブラジャーを選びましょう。
●「乳首の色が左右で違っている」
それは...炎症を繰り返すうちに色が変わることも。
痒いからといって乳首を掻いたりしていると炎症がひどくなってしまいます。それを繰り返すうちに、片方だけ黒ずみが目立つようになるケースもあります。早めに皮膚科を受診し、できるだけ刺激を与えないようにしましょう。左右の違いにかぎらず、自分の乳首の色が濃いのではないかと気にしている人は多いですが、コンプレックスに感じる必要はありません。日本女性は、白人モデルのようなピンク色じゃないのは当たり前なので比べないことです。一般的には、ホルモン値が高い若い女性のほうがメラニン活性が高く乳首の色が濃くなります。高齢になるとメラニン量が減り、色素が少しずつ薄くなります。乳首の色を薄くするという触れ込みの市販コスメの中には危険な成分を含むものもあるので、むやみに飛びつかないようにしましょう。
●「肌色のプツプツができている」
それは...老人性イボです。レーザーで治療可能。
胸やデコルテにできる肌色~薄茶色のプツプツの正体は、老人性イボです。30歳を過ぎた頃からでき始めます。体質もありますが、主な原因は日焼けによる光老化です。女性はデコルテの開いた服を着る機会も多いのではないでしょうか。斜め上から注ぐ日差しをまともに受けるので、じつは紫外線ケアが重要なパーツなのですが、日焼け止めを塗り忘れがちですよね。子どもの頃など、昔浴びた紫外線の影響もあるのでこれからできる対策には限界があります。放っておけば大きくなってしまうのも厄介です。また、摩擦による刺激が原因となって、直接日に当たらない乳輪や脇の下、脇腹などにもできることがあります。できてしまったものはレーザーで浅く削る処置がおすすめです。当院では、『CO₂レーザー手術(炭酸ガスレーザー手術)』にて治療を行っております。ごく浅く削るだけで除去でき、出血もほとんどなく、5~7日で傷は上皮かします。小さいうちに治療すれば傷跡も目立たなく、1回で綺麗に除去することができます。
●「乳首が擦れて皮が剥けてきた」
それは...湿疹かも。繰り返さないよう治療を。
痒みやぶつぶつだけではなく、皮が剥けるのも湿疹の症状です。繰り返すとゴツゴツしたり脱色素斑(白っぽく色が抜ける)になることもあるので早めに皮膚科を受診しましょう。
軽い湿疹ならまだしも、慢性の湿疹になると皮膚の構造が変わって乳頭までごつごつと大きくなってしまうので甘く見てはいけません。悪化すると皮膚のバリアが壊れてジクジクとただれるほどになります。乳首は薬が浸透しやすい所でもあるので、弱い塗り薬で治療でき、治ってきたらシンプルな保湿剤でケアできます。いつも使っているボディローションがしみて痛いようなら炎症を起こしている証拠です。ワセリンなどを塗って応急処置をして、皮膚科を受診しましょう。
是非、ご参考になさって下さい。