特集「次の美容医療 フェムゾーンの美容医療」(P6~13掲載)で東京女子医科大学名誉教授の川島眞先生ご司会のもと、膣・外陰部の領域において臨床経験が豊富な2名の医師として女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀先生と慶田院長の座談会の様子が掲載されています。
美容医療の対象は近年拡大しており、女性の膣・外陰部の加齢変化もその対象となっています。膣・外陰部に対する美容医療は、見た目の改善のほか、閉経関連尿路生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause;GSM)の症状の改善のみならず、性行為時の感度やパートナーの満足度の向上も得られるとされています。
【"フェムゾーン"女性の膣・外陰部の新たな呼称】
膣と外陰部をまとめて表現する言葉はいくつかありますが、最近は、フェムゾーンと称することが多いです。「女性」を意味するfemaleや、「女性的な」を意味するfeminineのように、fem-で始まる単語は女性に関するものが多く、近年では、femaleとtechnologyをかけあわせた造語であるfemtech(フェムテック)という言葉が一般的になってきています。フェムテックは、最近よく耳にし、有名デパートでフェムテック関連の商品が陳列されているのをみかけるようにもなりました。
【膣・外陰部の変化に気づくきっかけは脱毛】
自分のフェムゾーンの変化に気付くのは、脱毛後が多いです。VIO脱毛後に自身の外陰部を目にして、黒ずみやたるみといった、色や形の変化に衝撃を受けるようで、その流れで、受診、治療へと進む30~40歳代の患者様が多くいらっしゃいます。
【新たな疾患概念GSM】
GSMは2014年に北米閉経学会と国際女性性機能学会が提唱した疾患概念で、閉経によるホルモン分泌低下によって起こる慢性かつ進行性のフェムゾーンの変化を総称したものです。GSMに悩む日本人女性は欧米と比べてまだ少ないと考えられます。50歳以上の日本人女性でなんらかのセクシャルアクティビティを行っている方が少なく、今後、日本人女性のセクシャルアクティビティが活発になれば、国内でもGSMに対する関心は高まる可能性があります。
【日本人女性におけるGSMの現状】
GSMに悩む女性が少ないからといって、日本人女性が欧米の女性に比べてフェムゾーンに乾燥やかゆみが起こりにくかったり、尿漏れや頻尿が少ないわけではありません。尿漏れを尿漏れパッドで対処している方は多く、産後から尿漏れパットを使用し続けている方は、尿漏れパットを生理用品より長く買い続けていることになります。それは経済的に負担ですし、使用し続けると皮膚が荒れてしまいます。とくにアトピー性皮膚炎の方はバリアが脆弱でハイリスクです。患者さんにも普段どのように感じているかを聞いてみると「治療できるのであればしたい」との回答で治療できることを知らない方は多いようです。今は美容皮膚科診療をしているので比較的すぐに相談してもらえますが、勤務医時代は、患者さんが恥ずかしがって患部をみせていただけないことが多かったです。別の理由で受診され、診察を数回重ねてようやく相談を受け、患部をみせてもらうと、ひどいかぶれを起こしているケースもありました。原因のほとんどが、くり返す月経血によるも刺激、尿漏れパッドやおりものシートの長期使用でした。また臭いを気にして、洗い過ぎる傾向も目立ちます。最近はフェムゾーン専用の石鹸の販売数が伸びていることからも、背景に過度な清潔志向がまん延し過ぎて、その弊害が出ていると感じます。
脱毛をきっかけに自身の外陰部に意識を向けていただき、腫瘍を含めた疾患の早期発見につなげたいと考え、患者さんには鏡で外陰部を観察すること、さらに膣に指を入れて状態を確認することをお伝えしています。
【膣・外陰部の色の変化に対する治療】
膣や外陰部の色に対する治療は、顔とは異なり外陰部は外用剤の効果はなかなかみられず、かえってかぶれる方もいます。顔のシミと同じようにレチノイン酸とハイドロキノンを処方され、炎症後色素沈着を起こす方も少なくはありません。外用剤の使用よりもまず、黒ずみの原因を取り除くことを優先しています。ナプキンかぶれがあればそれを先に治療しますし、剃毛が原因であればレーザー脱毛を勧めます。下着についても、硬いレースを使用しているものや、鼠径部にあたる生地が厚いタイプのものは擦れて黒ずみが生じやすいので、縫い目のないボクサーパンツに変えていただくことを提案しています。
外陰部の黒ずみには、『ピコレーザー』によるトーニングを行っています。ピコフラクショナルレーザーも試したのですが赤みが出やすく、赤みをきっかけに些細な刺激でメラニン活性が高まる方が一定数いらっしゃるので、余計な刺激はせず、トーニングのみとしています。効果はやや弱いのですが、3回程度続けると色が少し明るくなるので、患者さんはそれなりに満足されます。3~4回治療を続けた後は、希望される場合に3か月に一度程度メンテナンスを行います。ただし、あまりやり過ぎないようにしています。
【GSMに対する治療】
尿漏れのリスク要因としては、高齢出産や多胎、そして児頭が大きい難産が挙げられることを、以前泌尿器科の先生に教えていただきました。運動習慣がないと若くても膣のゆるみを訴える方はいますし、やはり出産のダメージはとても大きく、また、高齢出産も増えています。今後幅広い年代の多くの女性に骨盤底筋トレーニングに取り組んでほしいと思います。当院では膣のゆるみに対してヴィーナスハイフHIFU『高密度焦点式超音波治療機』のみを使用しています。閉経後の萎縮性膣炎にはフラクショナル炭酸ガスレーザーが効果的ですが、当院の患者さんは比較的若い方が多いので、HIFU治療機を選びました。閉経後でHIFUの3㎝のプローブが入らないほどに萎縮が進んでいる方は、『フラクショナル炭酸ガスレーザー』を用いて膣壁をリジュビネーションし、粘液を増やして皮膚の浅いところをふっくらさせます。皮膚の深い層まで引き締めるのであれば、HIFUやEr:YAGレーザーが適していると思います。
【治療効果をどう評価するか】
尿漏れはその回数で治療の効果が評価できるとして、GMSの治療目的が性交渉で、性交時の感度やパートナーに与える印象をよくするための場合の治療の効果については、パートナーの反応がどうだったかを尋ねるようにしています。あくまでも女性を通した評価ではありますが、「よかったようです」とおっしゃる方が多く、「まったく変わらなかった」という方はほとんどいません。膣粘膜がふっくらすると、締まりはある程度の改善しかみられなくても、痛みがなくなって性的満足度は向上するのではないかと思います。
【フェムゾーンの美容医療に新規参入するメリット】
当院のスタッフはすべて女性ですし、出産経験のある女性医師も複数名いるので、フェムゾーンの悩みに対して実体験をもとに診察することができます。こうした点はメリットだと思います。この分野の診療を始めるとき、受診をきっかけに他の大きな疾患に気づいてもらいたいと考え、患者さんには、施術の条件として1年以内の子宮頸癌の結果を提出してもらうようお願いしています。疾患の啓発や早期発見という観点からも、フェムゾーンの美容医療が盛んになるとよいと考えています。またハイレベルな治療を求める患者さんは医師の性別よりも経験の多さや技術の高さを優先するので、男性医師だからといって嫌がる方は少ないと思います。
当院おすすめ治療
『ピコトーニング照射』
・VIO 1回¥45,000 / ・鼠径部 1回¥30,000
『ヴィーナスハイフ(V-HIFU)』高密度焦点式超音波治療機
・ヴィーナスHIFU膣タイトニング(尿漏れ・膣引き締め)初回トライアル¥170,000
・ヴィーナスHIFU膣プレミア(尿漏れ・膣引き締め)※通常の1.5倍高密度照射で強力な引き締め効果 初回トライアル¥200,000
・ヴィーナスHIFU大陰唇タイトニング(大陰唇引き締め)初回トライアル¥80,000
※上記は全て税抜き価格です。
※施術ご希望の場合は、1年以内の子宮頸癌検診結果をご持参いただきます。施術をお受けできるのは、検診結果に問題がなかった方、未治療の性器ヘルペスなどの感染症の無い方に限ります。また、生理中は照射できませんので予めご了承ください。
是非ご参考になさってください。