特集「女医に訊く#176どうして頭は臭いやすいの?頭の臭いを防ぐには?」に慶田院長の監修・取材記事が掲載されました。
頭の臭いについて、皮膚科専門医の慶田院長が解説しています。
■頭皮は全身でもっとも皮脂腺が多いといわれており、皮脂の分泌量が多いのが特徴です。それだけ皮脂が多いのに、頭皮にニキビができないのはどうしてなのでしょうか?
そもそも毛穴には、産毛を生やしている軟毛性毛包、髪の毛やわき毛など目立つ毛を生やしている終毛性毛包、大きく発達した複数の脂腺を備え細い毛が生えた脂腺性毛包の3種類があります。
ニキビができるのは脂の分泌が多くて、なおかつ脂腺性毛包がある部位。頭皮は皮脂量は多いのですが、終毛性毛包は毛が太く、髪の毛のうるおいを与えるための脂が毛を伝って外に出るので毛穴が詰まりにくいため、ニキビはできません。もし、ニキビのようなものができたとしたら、それは毛嚢炎。似ていてもニキビとは種類が違います。
■汗をかいたときやお風呂に入れなかった翌日、どうして頭は臭いやすいのでしょうか?
分泌された皮脂は酸化すると臭います。子供の場合、汗臭くはあるけど脂臭くはないですよね?ところが性ホルモンがちょっとずつ出てきて、皮脂の分泌量が増えてくると、脂臭くなってきます。皮脂の分泌は男性ホルモンでコントロールされているため、男性の方が圧倒的に脂ギッシュになりがちですが、女性からも男性ホルモンは少量出ているため、皮脂腺が多く皮脂量の多い頭頸部は女性も臭いやすいのです。
また若い女性も加齢臭的な成分やミドル脂臭などは出ていますが、同時にラクトンという臭いをマスクする成分が出ていることがわかっています。若い女子がいっぱい集まっていると立ち込める、甘酸っぱい花のようなあの香りのもとがラクトンです。残念ながら、ラクトンは30代中盤あたりから減少してしまうため、女性も40代以降は脂臭くなってしまうことが多いのです。
■頭の臭いを防ぐには?
脂は洗浄剤を使わないと落ちないため、頭の臭いを抑えるには、1日1回、シャンプーで洗髪するしかありません。脂汚れの場合、本当は洗浄剤の泡を乗せて少しサワサワするだけで落ちるのですが、頭は髪の毛があるので、ただ泡を乗せるだけでは地肌に到達しません。地肌を狙って、泡でやさしくマッサージするような感じでもみ洗いするといいでしょう。
頭を洗ったあとは、しっかり乾かしてください。生乾きの湿った状態が続くと雑菌が繁殖して臭いやすいうえ、キューティクルが傷み、髪がダメージを受けやすくなってしまうので気をつけましょう。
洗い過ぎにも注意が必要です。特に、女性や脂が出なくなる年齢(女性なら60歳以降)の方は、あまり洗いすぎると髪も頭皮もパサパサに乾燥して、細かい鱗屑(りんせつ)が出てしまう"頭皮の粉吹き"が起こりやすくなります。
男性に多いフケ症は、皮脂の過剰分泌による脂漏性皮膚炎の症状と考えられていますが、女性に多い頭皮の粉吹きは、乾燥が原因の場合も多いのです。頭の洗い過ぎには注意しましょう。
是非ご参考になさってください。