特集「手あれも新型コロナウイルス感染も防ぐ方法とは?【女医に訊く#115】」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
【新型コロナウイルスは、手洗いで防げる?】
新型コロナウイルスは、皮膚に付着しただけでは感染しないと言われています。感染経路は季節性のインフルエンザと同じ「接触」と「飛沫」の2つなので、「目・鼻・口」からのウイルスの侵入を防ぐことが感染予防になります。
「接触感染」は、感染者が咳やくしゃみを手で押さえ、その手で周囲のものに触れてウイルスが付着した後に別の人がそのものに触れ、その手で自分の目や鼻や口などの粘膜を触ることで感染するルートです。また「飛沫感染」は、感染者の咳やくしゃみでまき散らされた「飛沫」を、別の人が直接吸い込むことで生じます。
つまり、「手洗い・手指消毒」や「マスクの着用」で、ウイルスをまき散らさないことや、手指を消毒し清潔に保つ、不用意に目や鼻や口を触らないことが感染予防の基本になります。
手洗いは流水だけでも有効ですが、石けんを使った手洗いはコロナウイルスの膜を壊すことができるので、さらに有効です。もし、流水と石けんでの手洗いができないときは、手指消毒用アルコールを使っても同様に感染力を失わせることができます。
【過剰な手洗いはかえって悪玉菌を増やす!?】
肌は洗えば洗うほど清潔になるわけではありません。過剰な手洗いは手あれを引き起こすだけでなく、肌の常在菌バランスを乱し、かえって悪玉菌を増やしてしまいます。皮膚には元々自浄作用もあります。まずは、外出から帰ってきたときとトイレの後、調理の前後と食事の前の手洗いを最低限心がけましょう。
シチュエーションに応じて手洗いの頻度を調整しましょう。
◆自宅で人の出入りがない場合
通常通り、大便の後、調理の前、食事の前に限って手洗いをする、いわゆる日本人的普通の習慣で十分です。
◆外出して仕事する場合
不用意に手で目や口や鼻を触らないようにしましょう。また、トイレに行くたびに手洗いし、公共物に触れた後は手指を低刺激の商品で消毒しましょう。乾燥するのでハンドクリームをこまめに塗ることも大切です。ハンドクリームは、症状や目的別に使い分けるのも有効です。
●保湿系→乾燥や普段のケアに。主な成分はヒアルロン酸・セラミドなど。
●ビタミン系→ひびわれやあかぎれなどに。主な成分はビタミンEやビタミンCなど。
●尿素系→肌がかたくなってゴワゴワした時に。尿素はかたくなった角質を柔らかくします。
できるだけ手洗いしないで済むように、水仕事をするときはゴム手袋を使用しましょう。保湿成分入りなど、手あれしないような質の良いハンドソープやアルコールジェルを選ぶのもおすすめです。
【手あれが悪化したら皮膚科を受診】
肌のバリア機能が低下すると、肌表面の溝に沿って傷ができ、外部からの刺激を受けやすくなって手が荒れてしまうことがあります。さらに悪化すると、皮膚のかゆみや赤みが強くなる、皮膚が割れてくる、小さな発疹や水ぶくれができる、かきつぶすとジュクジュクやかさぶたになるなどが混じり合った「手湿疹」とよばれる症状が現れます。
湿疹の症状を放置すると他の細菌感染のリスクが高まるので、皮膚科で治療を受けましょう。ひび割れや赤み、ガサガサの程度が強い場合は、ステロイド外用薬を適切に使用し、まず炎症を抑えます。顔に塗るような弱い薬では効きませんから、症状に合わせて、適切なステロイド外用薬を処方してもらいましょう。
なお、新型コロナウイルスのPCR検査陽性者数だけをみて過剰に恐れ、行動を自粛するのは医学的にみてナンセンスです。新型コロナウイルスの実際の発症者(検査陽性が発症者ではありません)、重症者、死者の統計を見ると、70歳以下で合併症がない人は自然免疫で対処できるウイルスであることが判明してきています。手洗いは全般的な感染症対策に有効ですので適宜行うべきですが、一般の方のマスク着用や行動制限が本当に必要なのか今一度情報を整理すべきでしょう。
是非、ご参考になさってください。