WEB「PRESIDENT WOMAN」2020年2月5日更新

WEB『PRESIDENT WOMAN』~効果の陰で不幸な事故も起きている
「選び間違えると恐ろしい美容医療」ドクターが教える3つのチェックポイントとは~
に慶田院長の監修記事が掲載されました。

セルフケアには限界があります。美容医療を上手に取り入れることが、5年後、10年後の未来の肌を若々しく保つためには欠かせなくなりました。
そうは言っても、これだけ多くのクリニックがある中でどこ選べばよいのか不安な方が多いのも事実なのではないでしょうか。そこで、美容クリニック選びに失敗しないために確認すべき3つのポイントについて解説しました。

【価格だけで判断しない】
美容クリニックの施術料金には、医師や看護師、場所、機材の確保のほか、リスクへの対応などを踏まえた適正価格があります。
‟安すぎる価格"には何かしらのカラクリがあります。金額に魅力を感じてクリニックを訪れた結果、「こちらの方が効果が高いから」と不要な施術をすすめられ、広告表示料金よりもはるかに高い施術を契約させられる場合があります。

過去には、実際にこのような流れで不要な製剤を過剰に注入され、皮膚に凹凸が出てしまい、「何とかしてほしい」と当院に駆け込んでくるケースもありました。
また、20代でフェイスリフトの手術を受けた女性も、今までに数人ご相談にみえています。小顔になりたいと美容外科の門をたたき、いきなりフルフェイスリフト手術...。どう考えても手術適応ではありませんので、このような現実を目の当たりにすると本当に悲しくなります。

でも、最近経験したのですが、当院より格段に高額な価格設定であるにもかかわらず、「ヒアルロン酸溶解酵素(ヒアルロニダーゼ・ヒレネックスなど)」を用意しておらず、動脈塞栓に対応できないため、当院で緊急治療をし、壊死を回避したという事例があります。価格が高いから安心とも言えないのでより一層注意が必要です。

【カウンセリングを行うのは誰なのか確認】
過去に受けた施術や病歴を確認する「問診」は別として、本来、カウンセリングは、医師が行うものです。
当院では、看護師による問診の後、初診の場合、20分~30分かけて医師がカウンセリングを行います。施術の適応があるかどうかを見極め、施術が必要な理由や、施術のメリットとデメリット、考えうるリスクなどを説明いたします。
さらに、看護師の問診、ヒアリングも20分程度かかるので、初診の患者様は、カウンセリングだけでも1時間~1時間半、同日に施術までご希望の場合は、2時間~2時間半のお時間を取っていただいています。
しかし、クリニックの中には、医師ではなくカウンセラーがカウンセリングを行っているところもあります。カウンセラーが治療方針を決め、同意・契約まで行い、医師の診察が短すぎるクリニックには注意が必要です。

【医師の経歴と資格をチェック】
ホームページに掲載されているドクターの経歴をチェックしてみましょう!
皮膚科医が必ず入る『日本皮膚科学会』から、大学病院などで最低5年間の研修と手術の症例実績などが考慮され、筆記テストに合格した場合に与えられる "皮膚科専門医"の資格をもっていることは大前提です。
形成外科医の場合は、『日本形成外科学会』認定の形成外科専門医が必須です。これがない場合は、医師としての下積み経験が少ないので、診立て力に欠ける場合があります。

レーザー治療など美容医療の手技自体は比較的簡単ですが、その施術を行っていいかどうかを見極めるために、医師は何年も研鑽を積んでいます。いわゆる下積み時代で、この間は低い給与で過酷に働き、ひたすら勉強します。それが医師の責任でもあるのですが、残念ながら、そうした真摯な気持ちや医師としてのプライドが欠ける人もいらっしゃいます。

女性の場合、出産する時期が重なるので、キャリアを中断させないための努力は、血を吐くほど大変だと言っても過言では無いのです。私は医師3年目に長女を、14年目に次女を出産。長女の時は妊娠中も当直をこなし、産前6週~産後8週のみ産休をとりフルタイムで復帰。次女の時は開業していたので、お産の1週間前まで働き、産後3週目に時短で復帰しました。私の場合は働き過ぎだと思いますが、キャリアを中断させなかったから、今があると思っています。

皮膚がんや膠原病の見極め、皮膚の炎症性疾患の診察などをできない人が、皮膚科の院長を勤めていることもあります。
実際、皮膚がんを見落とされ、何度もCO2レーザーを照射されて転移し亡くなるなど、不幸な事故も起きています。

クリニック選びの際は、下記4点をご注意いただくことをおすすめ致します。

1. カウンセリングに手間をかけ、丁寧である。
不安なまま受けるのはNG。内容を理解させてくれる医師が絶対条件です。

2. 過度な表現の広告、過剰な宣伝に頼っていない。
"お金儲けクリニック"は患者ファーストではないケースが多いです。

3. 医師が実際に施術を行うスタンスである。
施術しない医師は危険。また、論文執筆経験のある信頼できる医師を選ぶ方が安心です。特に医師の専門性と診療経験を探ってください。

4. 緊急対応の準備と訓練を定期的に行っている
ヒアルロン酸注入による血流障害のリスク、薬剤に対するアナフィラキシーショックのリスクをきちんとホームページ内で明記し、緊急対応の準備を万全に整えているかどうかが運命の分かれ道です。
・ヒアルロン酸注入治療を掲げているのにヒアルロン酸溶解酵素を準備していない」
・局所麻酔薬を含む、1種類以上の薬剤を塗ったり注射したりするのに、エピペン、ステロイド点滴剤、気管支拡張薬、酸素吸入セット、心電図モニター、輸液セットといった救急セットを用意していない。
このようなクリニックでは万が一の時、あなたを救命することはできません。宝くじで高額当選する程度に低いリスクであっても、全てを想定して準備する心配性な院長であるかをじっくり見極めてください。

実際に施術を行うかは、カウンセリング後に決めれば十分です!
今回挙げた4つのポイントを参考にしていただき、ぜひ自分に合う信頼できるクリニックを見つけて下さいね。

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