特集「ネットで噂『乳首をピンクにする海外製クリーム』の危険性」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
今SNS上で、海外製品の「メラケアクリーム」という医療用クリームが"乳首がピンクになる"と話題になっています。利用者のコメントには「ピンクを通り越して乳首が消えた!」などと、ありえない絶賛の声も散見されますが、本当に効果があるのでしょうか?
また、個人がインターネットなどから購入して使用することに問題はないのでしょうか?
【「乳首がピンクになるクリーム」の使用はすぐやめましょう!】
「メラケアクリーム」は海外の医薬品ですが、日本では医薬品の承認を受けていません。輸入元などの注意書きには、医師に相談して使うこと、副作用があることが書いてあります。ですが実際は個人で使う人が多いのが現状です。また偽物や粗悪品が出回っているリスクもあります。
パッケージを見ると、メラニンの合成をブロックする働きを持つ〈ハイドロキノン2%〉、肌のターンオーバーを上げる〈レチノイン酸0.025%〉、抗炎症薬である〈ステロイド0.1%〉といった成分が主になっていることが分かります。
ハイドロキノンは、日本では医療機関が処方する決まりになっている成分です。また、レチノイン酸はシミのレーザー照射後のアフターケアや美白目的で使われる成分ですが、肌に塗るとカサついてヒリヒリすることから、医師側で塗る回数を調整しながら使うものなので、セルフで使うには強すぎる成分です。
この2つの成分を同時に乳首のように皮膚が薄い部分に塗り続けると、カサつきとヒリヒリがひどくなって、激しい炎症や湿疹を起こしたあとに、脱色素反応が起こることがあります。それによって乳輪や乳首の色が薄くなったと感じている可能性もあるのです。
【真皮が不健康に薄くなる可能性があります!】
本来であれば、カサつきや炎症といった症状で肌に異常が起きているとわかるはずですが、このクリームには結構強いクラスのステロイドも含まれているので、それにより、症状を抑えられてしまって気付きにくいことがあります。
クリニックでは、レチノイン酸の炎症反応が強く出過ぎたときに、治療として症状に合わせた弱いステロイドを処方することもありますが、初めからステロイドを混ぜて販売しているのは、賛成できることではありません。
ステロイドが入っていることに気づかずに美白剤として長期に使い続けるうちに、真皮の萎縮が生じ、不健康に薄くなっていってしまう可能性があります。このようなクリームを乳首に塗り続けるというのはとても恐ろしいことです。今使っている方がいたら、すぐに使用をやめて欲しいと思います。
【年齢を重ねれば自然とピンクの乳首に】
乳首の色はメラニンの活性によって決まっているもので、人種やホルモンが関係しています。性成熟期の東洋人の女性ではもともとベージュから茶色をしています。男遊びが激しいと濃くなるといったような都市伝説的なことは一切あり得ません。
乳首の色は、妊娠や出産に伴って色味が濃くなる一方、性ホルモンの分泌が激減する高齢者では、ピンクに近いトーンになります。
当院にも「自分の乳首は黒いんじゃないか」と悩んでこられる方も多いですが、ほとんどの方は普通です。アダルトビデオの女優さんや、温泉などでほかの女性と比較して黒いと思う方もいるようですが、人間の皮膚は、寒いと縮んで温まると伸びるので、興奮していたり、入浴で体が温まったりしていると、皮膚が伸びて乳首の色も薄まります。縮んでいる状態の自分の乳首の色と、伸びて色が薄まった他人の乳首の色を比較して、黒いと感じている方もいるかもしれません。自身の乳首の色が気になる場合は、体が温まっているときと冷えているときで見比べてから判断するのが良いでしょう。また、多くの場合、写真集などでは色味を修正処理しています。
【それでも乳首の色を薄くしたいときは...?】
乳首の色味に悩んでいる女性の大半が一般的なトーンであるとはいえ、中にはアトピー性皮膚炎の湿疹を繰り返したことや、ブラジャーなどで擦れたことにより炎症後の色素沈着が起きて黒ずんでいるケースもあります。そのような場合も、海外製クリームを個人で購入するのではなく、皮膚科に診察に来ていただければ、トーンアップできますのでご相談下さい。
黒ずみなどが起こっていない本来の色味であっても『ピコレーザー』(乳輪1回¥15,000)という最新鋭のマシンで色調をほんのり明るくすることが可能です。メラニン色素を微粒子に一気に粉砕するので、施術直後から色味が薄くなります。その後、時間とともにマクロファージが色素のかけらを食べてくれるので、さらに明るくなっていきます。施術直後はほんのりピンク色になるくらいでダウンタイムもなく、施術当日から入浴も可能なほど、安全に乳首の色を薄くすることができます。
【ボディクリームで保湿をしましょう!】
レーザーなどの施術に抵抗がある場合は、顔に塗る美白クリームや、メラニンを取る作用がある『ビタミンC』を配合したクリームを塗るだけでも、違ってくるでしょう。
ピンポイントで薄くしたい場合は、ターンオーバーを早める「レチノール」を配合した市販のクリームや美容液を使用すると、若干の効果が得られる可能性があります。肌が弱い方はレチノールでもカサカサすることがあるので、間をあけながら塗るようにしましょう。
海外製品も手軽に購入できる時代ですが、だからこそ、選ぶ側がしっかりと知識を持って選択することが大切になります。特に薬剤は、安易に手を出すと取り返しのつかないことにもなりかねません。
日本の薬事法を通っている化粧品であれば大体は安全です。それでも、どのようなものにもかぶれる可能性はあります。肌がカサついてきたらいったん塗るのをやめるなど、様子を見ながら使用してください。
是非、ご参考になさって下さい。