症例報告
足底の限界線照射後に生じた放射線角化症の1例
慶田 朋子 水嶋 淳一 川島 眞
要約 61歳,男性,40年前に足白癬に対し,両足底から内足縁にかけて限界線照射を数十回受けた.その15年後より,同部位に色素沈着と多発する角化症小結節が出現した.初診の1年前より右足底の結節はびらん,潰瘍の形成を繰り返すようになり,外用療法を行うも難治のため当科を受診した.初診時,両足底に角化性小結節とびまん性の色素沈着,小豆
大までの色素脱失を認め,右土踏まずには30×25mmの痂皮を付着する角化性結節を認めた.組織像では基底層から数層のみに核の大小不同,配列の乱れ,核分裂像を認めた.デルモパンも使用されなくなり,限界線照射後の放射線皮膚炎ならびに続発腫瘍の報告は減少しつつあるものの,常に念頭におく必要があると考える.
(キーワード)足白癬,放射線角化症,限界線
慶田朋子,他:臨皮55:784,2001