皆様こんにちは、高山有由美です。
ほぼ全ての皮膚科医が診察時に頻用する道具に
「ダーモスコピー」というものがあります。
ざっくり言うと虫眼鏡、ですが、単なる拡大鏡ではありません。
皮膚に見られる色を作り出しているものには、
メラニン、血液、角質、脂肪、石灰、異物固有の色調以外に
光の散乱、屈折という光学的効果も加わっています。
表面反射により隆起や陥凹といった情報は良くわかりますが、
反射が多くなるとぼんやりした色調になり、
詳細な情報が分かりにくくなってしまいます。
そこで、表面反射をゼリーで押えたり、
ゼリーの代わりに偏光フィルターをつけて反射を 押えたりして見えやすくしたものが
「ダーモスコピー」です。
この「ダーモスコピー」は、悪性腫瘍の鑑別時に重宝されます。
数ある色素性母斑を見てきた皮膚科専門医ならば、
肉眼でも何となく怪しいな、と思うことがありますが、
この特殊な拡大鏡「ダーモスコピー」を使用することにより、
さらにその判断の確率を上げることができます。
ゼリーをつけて見やすくするものや、
PCにつないで画像を映し出して皆で見ることが可能なもの、
ゼリーなし、ハンディタイプで簡単に使用できるものなど、
様々なタイプがあります。
私は普段はゼリーなし、ハンディタイプをポケットに入れて持ち歩き、
色素性母斑に限らず、
イボ(尋常性疣贅、老人性疣贅)から血管腫、シミに至るまで、
隆起したもの、色のついた疾患は何でもこれで確認しています。
その疾患によって特徴的な所見があるため、
数を沢山見ることが、自分の判断材料の幅を広げるのです☆☆