皆様こんにちは、土屋佳奈です。
前回、内臓悪性腫瘍と関連する皮膚疾患につき御紹介させて頂きましたが、今回は肝臓疾患に伴うデルマドロームについて少し御紹介したいと思います。
デルマドロームとは、デルマ(皮膚)+シンドローム(徴候)のことで、内臓の症状が皮膚の症状として出現してくることを言います。
「沈黙の臓器」といわれる肝臓は、ある程度症状が進行していても無症状で、通常痛みを感じないために発見が遅れるケースが多々あります。食欲不振、全身の倦怠感、体重減少などの全身症状以外に、皮膚病変から疑うべき肝臓疾患について予め御自身で知っておくことが早期発見のためにも非常に重要です。
1、黄疸
肝臓から胆のうを経て排泄されるはずのビリルビンが、血液中にたまると黄疸になります。
眼瞼と眼球の結膜部が黄色く染まり、ついで皮膚も黄色、あるいは黄褐色に染まります。
2、皮膚瘙痒症
黄疸があるとき、黄疸がなくても血液中に胆汁酸が増加したとき、または正体不明の成分によって、
肝臓が障害されたときなどには、皮膚が乾燥してかゆくなります。また、掻いているうちに二次的に湿疹を引き起こすこともあります。
3、手掌紅斑、くも状血管腫、女性化乳房
肝臓病のときには、血管が広がる症状がでやすくなります。
血液中にエストロゲンという女性ホルモンが増えるためというのが、原因の1つと考えられています。
手のひらが赤くなる手掌紅斑、小さな傘を開いたような形の血管拡張症であるくも状血管腫がみられます。
また、男性の乳房が大きくなる女性化乳房もみられることがあります。
なお、肝硬変が進むと、胸腹壁の静脈が怒張(膨れて隆起した状態)して皮膚表面に浮き出すようになります。
これをメドューサの頭といいます。
以上、代表的な3つを御紹介致しました。
「これはどうかしら?」「これは大丈夫かしら・・」御自身で少しでもご心配に感じられるようでしたら、早めに皮膚科専門医へ一度ご相談ください。