夏が近づくと、虫に刺されることも多くなりますよね。
日常的な生活で、虫刺症の原因となる虫は、カ類、ノミ類、ブユ類、イエダニ類がほとんどです。
ハチ類、アブ類、クモ類、ムカデ類などによる刺咬症も広義の虫刺症と言えますが、これらは刺された瞬間に激しい疼痛を生じるため、原因がその場で判明することが多いです。
虫刺症において、刺されている場面が確認されていない場合は、皮膚症状(個疹の性状や分布)と患者様の生活様式や、行動から原因虫を推定することになります。
虫刺症で認められる皮疹は、刺咬の際に皮膚に注入される唾液腺物質に対するアレルギー反応によるものです。感作状態の違いによって、皮膚症状の現れ方には個人差が大きいです。
一般的には、刺されて1~2日後に皮疹が出現する遅延型反応として現れる症例が多いため、患者様自身が刺されたことに気づかないことになります。臨床的には紅斑や紅斑性丘疹が孤立性に散在しますが、水疱を伴うこともあります。個々の皮疹だけでは原因虫まで確定できませんが、ノミ刺症では水疱を形成しやすいのが特徴です。
カ刺症は年齢とともに皮膚の反応性が変化します。一般に乳幼児期には遅延型反応を生じることが多いですが、学童期以降は刺された直後にかゆみを伴う紅斑、膨疹が出現する即時型反応が認められるようになり、その後は次第に遅延型反応が減弱します。
ブユ刺症では刺されて半日~一日後に強い腫脹が見られることがります。
原因虫を推定するうえで最も参考になるのは皮疹の好発部位です。通常、カやブユは四肢の露出部、ノミは下腿~足、イエダニは腋周囲や陰股部などの被覆部を刺すことが多いです。また、被害を受ける場所としては、カやノミは室内や人家周辺、イエダニは室内(特に寝室)、ブユは高原や山間部の川沿いなどが多いです。防虫スプレーには吸血性節足動物に対する回避効果が期待できるので、予防対策として有効です。