ホルモンには、合成ホルモンとナチュラルホルモンがあります。ナチュラルホルモンとは身体のホルモンと科学的に全く同じ構造のホルモンを指します。バイオアイデンティカル(生物同等性)ホルモンとも呼ばれ、一般的にはヤマイモ、またはその他の自然な植物から作られます。
そのため通常の合成ホルモンより副作用が少ないといわれています。しかし更年期治療など日本の保険診療でだされる薬は合成ホルモンです。日本ではナチュラルホルモン療法はまだ確立されてなく、採血結果、治療薬も輸入しているため諸費用もかかってしまうのが現状だからです。日本では、一般的に保険診療でだされるホルモン薬は合成ホルモンのことです。
ホルモンは女性ではエストロゲン、プロゲステロンをよく耳にしますがそれ以外にテストステロン、ヒト成長ホルモン、DHEA、メラトニンがあります。
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は体内に最も多く存在するホルモンです。ホルモンの母と呼ばれ直接人体に働きかけるだけでなく体内でエストロゲン、テストステロン、プロゲステロンへと変化します。
ストレスホルモンを調整し、強力な抗酸化作用で免疫システムに働きかけます。その他、性欲、代謝、精神の安定にも深く関係することから若返りホルモンであると考えられています。免疫システムもサポートし、ストレスと戦い、記憶力を高め、活力を与えます。副作用は、ニキビができやすくなったり、毛が濃くなることがあります。
エストロゲンは、更年期女性にみられる症状の治療薬として40年以上使用されてきたホルモンです。通常、女性は40代半ばからエストロゲンレベルが低下し、更年期を迎えます。そして 肉体的、精神的に不快で不安定な症状が続きます。エストロゲンを補充することで、のぼせ、膣の乾燥、うつ、不眠、集中力の低下、体重の増加、肌や髪質の変化など女性の苦しい症状を改善します。そのため更年期症状がなくなったあとも、補充を希望される女性も多いです。
プロゲステロンはエストロゲンと相乗的に働くもう一種類の女性ホルモンです。エストロゲンが過剰に子宮内膜増殖、不正出血を促進するのを防ぎ、均衡を保ちます。またエストロゲンと共同で作用し、加齢や更年期に伴う諸症状を改善します。
メラトニンは脳の松果体で合成されるホルモンで、免疫系と内分泌系の両方に働きかけます。メラトニンにより深い眠りの周期が調整されることで免疫機能が活性化され、免疫力の強化、がんの抑制、 睡眠補助効果、 抗酸化作用、 髪質も改善します。
テストステロンは男性ホルモンとして知られていますが、女性でも分泌されています。最適値のテストステロンは骨密度と骨形成を高め、エネルギーや性欲を増進させます。過剰に摂取をすると、体毛が濃くなったり、ニキビが出たりします。
甲状腺ホルモンは体温、エネルギー、代謝、大脳機能を調節しています。最適値の甲状腺ホルモンは脂肪を分解して、体重とコレステロール値を減少させます。代謝を高め平均体温を上昇させ、脂肪を燃焼させて体重増加を防ぎ、コレステロール値を低下させます。
成長ホルモンは、脳の下垂体前葉で作られ、血液にのって全身に運ばれています。身体のあらゆる成長にかかわっており、骨や筋肉の成長、代謝、血糖値のコントロール、若返り、脂肪の代謝などがあげられます。また、タンパク質の合成を促し、損傷を受けた筋肉繊維の修復を促す働きもあります。最適値の成長ホルモンは、筋肉量を増やし、体脂肪量を減らします。
以上のようにホルモンは身体、精神に多大な影響を与えます。原因不明な慢性疲労や、うつがホルモン療法で改善することもあるようですし、更年期症状に悩まされているかたは適切な治療だと思います。更年期のホルモン療法に関しては次回いたします。