妊娠中は肌荒れしやすいってご存知でしたか?そこで妊娠中に肌荒れをしてしまう原因と対策を詳しく紹介します。
妊娠中に肌荒れする原因
妊娠中にあらわれる皮膚の変化のひとつに、肌荒れがあります。ニキビや吹き出物ができる、体のあちこちがかゆくなる、スキンケア用品が合わなくなるなど、症状は人それぞれです。これらは、次のような原因が考えられます。
○ホルモンバランスの乱れ
妊娠初期はプロゲステロン(黄体ホルモン)が増え、子宮や腸の動きが悪くなり、浮腫みがちになります。これは着床から間もない胚を守り、流産を防ぐためともいえますが、生理前の状態が続くようなものですから、ニキビが増えやすくなります。便秘が続くと皮膚の水分量が減り乾燥肌に傾くこともわかっています。
また、赤ちゃんという異物を排除しないよう、母体の免疫状態が大きく変化します。そのため、妊娠初期はアトピー性皮膚炎が悪化する患者さんが多いという統計があります。(妊婦614人に認めた皮膚病変の統計学的調査 日皮会誌 第116 巻1号 P41〜50 2006年
慶田朋子)また、赤ちゃんへの影響を心配し過ぎるあまり、必要な外用治療を自己判断で中止してしまうため悪化する例も多いようです。
妊娠中期以降は、徐々にエストロゲン優位になるので、ニキビが落ち着いてきます。しかしながら、エストロゲン量が増えると、毛細血管拡張により血管腫や手掌紅斑が生じてきます。
また、妊娠に伴う生理的変化として、メラニンが増えてシミや肝斑ができやすくなったり、体毛が濃くなったりします。
○水分や栄養素の不足
つわりで特定の食べ物しか口にできなくなると、十分な栄養や水分が摂取できません。甘いものや脂っぽいものしか食べられなくなる人も多いでしょう。そのため、美肌に欠かせないミネラルやビタミンが不足しがちになります。
また、プロゲステロンの作用で便秘になりやすいのも、肌荒れの原因となります。
○その他、ストレスなど
慣れない妊娠生活でストレスを抱える女性も多くいます。初産ほどこの傾向が強いように感じます。また、つわりや大きなお腹が肺を圧迫するので、眠りが浅くなり睡眠不足に陥るケースも少なくありません。ストレスや睡眠不足は、肌荒れの大きな原因となるのです。
妊娠中の肌荒れの改善に必要なケア
体の内側と外側の両方からケアしましょう。
○内側からのケア
最近の研究で、妊娠中にお母さんが過剰なダイエットをすると、生まれた子が糖尿病にかかるリスクが高まることが分かってきました。低血糖、低栄養状態が、赤ちゃんを常に飢餓状態にさらし、低出征体重児の割合を増やすばかりか、耐糖能異常ももたらしてしまうのですね。良質な脂質、ビタミンやミネラル、タンパク質が不足しないように栄養バランスのとれた食事を心がけてください。美肌対策にもなります。もしも、つわりなどで食べられない場合には、主治医に相談してサプリメントをとり入れるとよいでしょう。つわりのときでも、水分だけはこまめに摂取して水分不足を防ぐようにしましょう。
○外側からのケア
肌のバリア機能を高めるために、保湿に重点をおいたスキンケアを行いましょう。
妊娠中は肌が敏感になっているため、肌にあわない場合は使用をすぐに中止しましょう。敏感肌用の化粧品を選ぶとよいでしょう。
妊娠性肝斑予防のため、天候に関係なく日焼け止めはしっかり塗ってください。日傘や服装にも気をつけて紫外線対策を怠らないようにしましょう。
☆妊娠中の肌荒れは気にしすぎないことも大切
妊娠中は肌荒れに悩まされやすい時期ですが、出産に必要なホルモンが分泌されるために起こります。出産してホルモンバランスが安定すると改善されますが、妊娠中の皮膚病変に詳しい皮膚科医に相談すると安心です。妊娠中でも安全に使用できる薬剤はたくさんあります。妊婦だからとすべての治療をあきらめる必要はないのです。
肌荒れに悩まされ過ぎず、赤ちゃんを迎える大切な時期と考えて前向きにとらえることが大切です。肌荒れをストレスに感じないように妊娠生活を楽しみましょう。