肌荒れに効果的な処方薬と市販薬を代表的なものだけ抜粋してご紹介します。
肌荒れに有効な薬
一般の方が「肌荒れ」と認識している皮膚病には、湿疹、あせも、ニキビなど多数の疾患が含まれます。処方薬と市販薬の代表的なものをご紹介しましょう。飲み薬や塗り薬など種類も豊富です。
○処方薬
皮膚科では、専門医が皮膚症状を診察し、適切な薬を処方します。細菌や真菌による感染症、化粧品や金属などのかぶれなどは、原因を明らかにすることで再発しにくくなります。経験に基づいた問診が鍵になります。処方薬は、有効成分の含有量や種類が多く、薬効が高いことが特徴です。薬の特性をしっかり理解して、医師の指示に従い、副作用に注意しながら、適正な量や使い方を守る必要があります。
○市販薬
塗り薬がメインで、手軽に使用できるのがメリットです。処方薬に比べると副作用が少ないものが多いのですが、そのぶん効果も弱いでしょう。使用に際して薬剤師に相談することはできますが、基本的には自己責任による治療となります。
3日間外用して効果がみられない場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。湿疹のように見えて実はカンジダ皮膚炎だったなど、自己判断で市販薬を使って症状が悪化するケースも少なくありません。特に敏感肌やアトピー素因のある人、薬剤アレルギーがある人は、市販薬を使わずに皮膚科を受診したほうがよいでしょう。
処方薬による肌荒れ改善
肌の状態に合わせて、次の薬が処方されることが多いでしょう。
○ステロイド剤
ステロイド外用剤は湿疹、虫刺され、やけど、あせも等ほとんどの皮膚炎に効果的な抗炎症薬です。塗り薬には強さのレベルでランクがあり、専門医が皮膚症状の部位と程度を見極め適切なものを選びます。薬疹など重症例では短期間ステロイド内服薬が処方される場合もあります。短期間であれば副作用はあまり心配する必要はありません。長期に外用する場合は、医師の診察を定期的に受けてください。
○抗生剤
炎症を抑えるための外用薬と内服薬があります。細菌の感染が強く考えられる場合に処方されます。
○抗アレルギー薬(内服薬)
アレルギー反応を抑える内服薬です。じんましんは内服治療が基本です。また、ひどい湿疹やかぶれなど、かゆみをともなう場合は、抗アレルギー剤を併用すると早く症状が改善します。
○レチノイド製剤(ディフェリンゲル)
以前から世界では使用されていましたが、日本では比較的に新しいニキビの治療薬です。初期のニキビに有効ですが、炎症を抑える効果はありません。刺激が強く出ることがあります。肌の状態に合わせて保湿剤の併用や塗り方、頻度を調整する必要があります。
○過酸化ベンゾイル製剤(ベピオゲル、デュアック配合ゲル)
2015年に日本で認可されたニキビ用外用薬です。ディフェリンゲル同様、毛穴の詰まりを改善することで、ニキビをできにくくします。刺激や乾燥、赤みが出ることがあります。デュアック配合ゲルには抗生剤も配合されています。
○硫黄製剤
肌のターンオーバー(新陳代謝)を正常化しますが、即効性は弱いでしょう。皮脂を過剰に抑制する性質があるため乾燥を招き、バリア機能が低下し症状が悪化する可能性があります。思春期ニキビには有効です。
○ビタミン剤内服
皮膚の脂質代謝の改善にビタミンB2やB6などのビタミン剤を内服することがあります。炎症による色素沈着を防ぐためにはビタミンCを併用します。
○漢方製剤
体質に合わせて処方されます。補助的治療として処方されることが多いでしょう。
市販薬による肌荒れ治療
下記のような症状に適している市販薬をご紹介します。
○口内炎
即効性のある口腔用ステロイド剤配合の外用薬を用います。患部を刺激から守るパッチタイプがおすすめです。粘膜の代謝を高めるビタミンB群が主成分となっている内服薬を併用するとよいでしょう。口内炎と思ったらヘルペスだったという場合もあります。改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。
○口唇ヘルペス
医師に診察してもらい、抗ウイルス剤を内服するのがもっとも効果的です。外用薬であれば薬局で購入が可能です。使用する場合は、抗ウイルス成分であるアシクロビルやビダラビンが配合された外用薬を使いましょう。改善が見られない場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。
○ニキビ
炎症による赤ニキビには抗炎症薬と抗菌剤が配合された外用薬をおすすめします。毛穴に皮脂が詰まった白ニキビには、角化を調整し、皮脂分泌をコントロールする作用のあるビタミンB群を配合した内服薬が適しています。
○乾燥肌
血行を促進するビタミンEや肌のうるおいを保つビタミンA配合のクリーム、保湿効果の高いヘパリン類似物質の外用薬がよいでしょう。かかとやひじのかさつきには、角質をやわらかくする尿素配合薬を部分的に使用するとよいでしょう。