ニキビの種類
ニキビは症状の進行状態によっていくつかの種類に分けることができます。まず、毛穴の入り口の角層が厚くなり、ふさがった毛穴に皮脂や角質がつまった面ぽう(コメド)ができます。コメドは毛穴が閉じた白っぽい「白ニキビ」、皮脂が押し上げられて毛穴が開き、空気に触れた部分が黒く酸化した「黒ニキビ」があります。実は、肉眼では見えず、病理学的に毛穴の詰まった状態「微小面ぽう」という段階があることが分かってきました。このようなコメドからニキビは始まるのです。
面ぽう内部はアクネ菌の生育条件がそろっているので、過剰に増殖し、殺菌のために好中球(白血球)が集まってきて炎症を起こします。アクネ菌は「皮脂が好きで酸素が嫌い」という性質があるためです。アクネ菌は皮脂を「リパーゼ」という酵素で「遊離脂肪酸(FFA)」に変化させ、これが炎症の原因です。
炎症によって赤くはれた「赤ニキビ」、炎症が進んで好中球の死骸である膿(うみ)がたまった状態になる「黄ニキビ」、炎症が長引いて皮膚の深部に膿がたまった袋ができる「紫ニキビ」があります。そして、激しい炎症の後に生じる炎症後色素沈着や炎症後紅斑、クレーター状、アイスピック状の凹みをざ瘡後瘢痕(ニキビ痕)と呼び、非常に治しにくい状態になります。
10代のニキビは皮脂の過剰により、おでこや鼻周りにできるものが多いのに対し、20代以降の大人ニキビはバリア機能の低下による乾燥、誤ったスキンケアやメイク、ホルモンバランスの乱れなど複数の要因が絡み合ってできます。大人ニキビは頬やあご周りにできることが多いのも特徴です。
ニキビ跡を残さないために重要な根本治療
炎症を起こして膿ができた状態を放置しておくと、ニキビ跡が残ることがあります。抗菌剤の外用や内服、ビタミン剤などを使った治療が必要です。
肌のターンオーバーが正常に行われていれば、炎症後色素沈着によるニキビ跡を軽くすることができます。そこで、肌のバリア機能を含めた肌そのものの能力を正常に戻すことがポイントになります。基本のスキンケアは、正しい洗顔と保湿です。
○正しい洗顔法
•顔全体にお湯をなじませます。皮脂はお湯に溶けやすいという性質があります。
•低刺激のニキビ用石けんや洗顔料をしっかりと泡立て、泡で包み込むように洗います。額と小鼻周り、生え際から洗い始め、最後に頬にすると良いでしょう。決してこすらないように注意しましょう。
•ぬるま湯で洗浄剤が残らないように、やさしく丁寧にすすぎます。
•吸水性のよいタオルで押さえるように水気を拭き取ります。
•洗顔後は保湿をしっかりと行いましょう。
洗顔は1日2回行います。過剰な洗顔は肌のバリア機能を壊し、乾燥の原因となるので、運動後など、それ以上洗うときは洗顔料は使わないようにすると良いでしょう。
クリニックで行われるニキビ治療
美容皮膚科では、下記のようなニキビ治療を行っています。
○ケミカルピーリング
酸性の薬液を塗布して古い角質を除去し、毛穴の詰まりを無くすことでニキビをできにくくします。また、ターンオーバーにより肌の再生が促され、ニキビ後の赤みや色素沈着を軽減します。医師が濃度、酸性度、塗布時間を調整するので、アトピー素因がある肌や乾燥肌でも施術を受けていただくことができます。
○レーザー治療
「炭酸ガスレーザー」で小さく穴をあけて、深いニキビの皮脂や膿、壊死組織を押し出します。傷跡は2~3か月間軽い赤味が続きます。
「フラクショナルレーザー」治療はニキビ跡の凹凸を滑らかにする効果があります。小さな点状にレーザーで熱凝固点や孔を空け、皮膚が再生することで凹みを目立たなくしていきます。当日は浮腫みと赤味が、約1週間~10日間はザラザラした小さなかさぶたが出来ます。
○注射
赤ニキビなどひどい炎症を抑えるために「局所用ステロイド」を注射することがあります。紫ニキビなど炎症が強いしこったニキビの炎症を1日で鎮静化し、ニキビ痕になることを予防します。
凹みの強いニキビ跡には「非架橋ヒアルロン酸注射」が有効です。銀座ケイスキンクリニックでは「ベロテロ ハイドロ(旧メソリスプラス)」を使用しています。注入されたヒアルロン酸の周囲に新しいコラーゲン線維が再生し、浅くなります。少量しか注入できないため、数回の繰り返し治療が必要です。
○面ぽう圧出
ニキビにつまっている皮脂や膿を「面ぽう圧出器」という器具を使って押し出します。白ニキビや黄ニキビ、紫ニキビに有効な対症療法です。
○イオン導入
ビタミンCやレチノールなどの有効成分を浸透させるための施術です。電気の力を利用するので、外用の40~50倍の浸透効果があります。ケミカルピーリング後に行うことで効果が高まります。
○ホルモン治療
月経前緊張症としてニキビが出ている場合、低用量ピルを処方することがあります。