アルコールが肌に与える(酸化・糖化)影響 飲みすぎが肌老化を招く理由を解説!
1. 「酸化」と「糖化」が加速する
■ お酒が招く老化現象1 肌サビ「酸化」
お酒を飲むと胃や小腸で吸収され、血液に溶け込み、ほとんどが肝臓に運ばれます。肝臓に取り込まれたアルコールは、ADH(アルコール脱水素酵素)の働きによって、頭痛や吐き気など二日酔いの諸症状を引き起こす「アセトアルデヒド」と呼ばれる有害物質になります。
さらに、その後ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の作用により、人体に害のない酢酸に分解されます。この酢酸は血液により全身をめぐり、水と二酸化炭素に分解され、最終的には汗や尿、呼気中に含まれて体外へ排出されます。
しかし、お酒を飲み過ぎてアセトアルデヒドの分解が追い付かず蓄積すると、肝臓で「活性酸素」が大量に発生します。活性酸素には、免疫機能をはじめ体を守る役割がありますが、一方で増えすぎると全身の臓器にダメージを与え、病気を引き起こしたり、老化を加速させたります。
肌では、メラノサイトが刺激されてシミが増えたり、新陳代謝が低下して肌がくすむ原因になります。また、肌のハリを保つコラーゲンやエラスチンといった、弾力をもたらす線維を変性させ、古いコラーゲンの代謝を阻害してシワやたるみを引き起こすのです。
■ お酒が招く老化現象2 肌コゲ「糖化」
飲みすぎは「酸化」と並び老化を加速させる「糖化」も招きます。
糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質を変性・劣化させる現象のことです。たんぱく質は、体内の臓器、皮膚、筋肉、血管など、体を構成する重要な要素なので、糖化が進行するということは、それらが劣化していくということです。
具体的には、糖化が進行すると生成されるAGEs(終末糖化産物)が老化を促進することが明らかになっています。AGEsが増えると、皮膚の弾力性・柔軟性を低下させ、たるみやゴワつきを招きます。また「褐色化する」という特徴があり、黒く黄ばんでくすませます。
糖化は、糖質のとり過ぎが原因として知られていますが、実はお酒の飲みすぎでも進行するのです。アルコールが代謝されて生じるアセトアルデヒドが、たんぱく質と結合し、アセトアルデヒド由来のAGEsを生成します。
つまり、お酒をたくさん飲んで体内にアセトアルデヒドが長く存在すると、AGEsがどんどん増えて糖化が進み、老化を加速させます。
同志社大学の糖化ストレス研究センターの研究によると、実際に飲む頻度が高い人ほどAGEsが体内に多く蓄積していることが確認されています。
特に、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドの分解能力が低いため、体内においてアセトアルデヒドにさらされる時間が長くなります。そのため赤くならない人に比べ、AGEsの生成が促進されやすくなります。これにより体内のたんぱく質の変性が進み、老化やさまざまな疾患のリスクが高まってしまうのです。
そもそも加齢とともにAGEsの蓄積は増えていきます。これは生きていく限り仕方のないことと言えます。そこに「飲酒」という負荷をかけることで、その蓄積の速度が早まるわけです。
2. 脱水・ビタミン不足による影響
体内でアルコールを分解する際に大量の水が消費されます。また、利尿作用により、お酒を飲んだ以上に尿として水分が出ていってしまうのです。体内が脱水状態になると、皮膚から水分が奪われ、乾燥を招きます。
さらに、アセトアルデヒドの分解には、ターンオーバーに欠かせないビタミンB群を大量に消費するため、肌荒れも起こりやすくなります。
3. 睡眠の質の低下
健やかな肌を育むための生活習慣の5本柱は、「良質な睡眠」「バランスの良い食事」「健やかな腸内環境(排泄)」「適度な運動」「ストレスコントロール」です。この中でも睡眠は、肌の再生にとって欠かせません。
眠れないからとお酒に頼ってしまう人がいますが、飲酒後は睡眠の質が低下するのはご存じですか。
確かに寝入りは良くなります。しかし、アルコールが代謝されて生じるアセトアルデヒドの覚醒作用により、眠りが浅くなって目が覚めやすくなりますお酒を飲んだ次の日に疲れが取れなかったり、いつまでも眠かったりするのはこのためです。
睡眠の質の低下は、肌トラブルの原因につながります。もし、毎晩のようにお酒を飲む方で肌荒れに悩んでいる方がいれば、まずは1週間寝酒をやめてみましょうそれだけでびっくりするくらい肌状態が回復します。
睡眠=肌を作る工場の稼働時間です。新しい肌をスムーズに作るためには、少なくとも6時間の睡眠が理想です。成長ホルモンが最も分泌される、睡眠のゴールデンタイム22:00~2:00の間に少しでも就寝できる毎日を過ごすように心がけましょう。
4. アルコールをストレス解消の手段にしない
飲酒が習慣化して、お酒を飲まないと1日が終わった気がしない、ストレス解消ができないという人は、自分の考え方や行動を見直した方が良いかもしれません。
例えば、日常的にお酒を飲むのではなく、飲むのが特別な日だと考え、お酒を買い置きしないようにして、安いお酒ではなく高いお酒を選ぶようにすれば飲酒量は自然と減っていきます。安くてアルコール度数が高いお酒はどんどん飲めて深酒に繋がるので肌にとって害悪でしかありません。
そして、何よりも重要なのは飲み過ぎないことです。アセトアルデヒドを分解する酵素が多い、いわゆる「お酒に強い人」ほど無理をする傾向があります。どんなにお酒が強かったとしても、人間が処理できるアセトアルデヒドの量には限界があります。また、深夜におよぶ飲酒は、当然のことながらそれだけ睡眠時間を削ってしまいます。
将来の健康や美肌のために、今からできることを始めていきましょう。