【快眠と肌の関係】美肌のために意識したい睡眠の質を高める習慣とは?

【快眠と肌の関係】美肌のために意識したい睡眠の質を高める習慣とは?

    9月に入ってからも、まだまだ暑い日が続いていますね。ジメジメと蒸し暑い夜は、寝つきが悪かったり、夜中に何度も目覚めてしまったりと、不眠に悩まされる方も多いのではないでしょうか。睡眠時間が減少すると、日々の疲れがとれないだけでなく、肌荒れの原因にもなります。そこで今回は、睡眠と美肌の関係性についてご説明します。

    目次
  1. 1.肌は睡眠中に生まれ変わる
  2. 2.肌のターンオーバーを促す成長ホルモン
  3. 3.寝る時間は大切!?
  4. 4.睡眠の質を決める「睡眠ホルモン」
  5. 5.質の高い睡眠のために

1.肌は睡眠中に生まれ変わる

「寝不足で肌の調子が悪い、肌荒れした」などとよく言われますが、実際に目の下にクマができたり、ニキビや吹き出物ができたりなど、肌トラブルの経験がある方も多いのではないでしょうか。これは、そもそも私たちの体が、日中に身体が受けたダメージを睡眠中に回復する仕組みになっているからです。このように、睡眠は肌の再生にとっても欠かせないと言えます。

そんな健やかな肌を保つために必要な仕組みを肌のターンオーバー(皮膚の新陳代謝)といい、睡眠中に活性化します。正常なターンオーバーの周期は約4~6週間(28~45日)といわれていますが、寝不足が続くとそのサイクルが乱れ、肌荒れを引き起こしやすくなります。つまり、睡眠不足は美肌の大敵と言えるのです。

2.肌のターンオーバーを促す成長ホルモン

肌のターンオーバーを促すのが、脳下垂体から分泌される「成長ホルモン」です。成長ホルモンは、血流とともに肌に栄養を運ぶことでターンオーバーを促進させます。ほかにも、傷ついてしまった細胞の修復やタンパク質の合成、免疫機能の活性化を促し、日中の疲れや肌ダメージを回復させるなど、さまざまな働きがあります。

そんなトラブル知らずの健やかな肌を保つために欠かせない成長ホルモンですが、この成長ホルモンが多量に分泌されるのが睡眠中です。そのため、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、その結果、ターンオーバーが低下することに繋がってしまうのです。

ただ、長く眠れば良いわけではなく、睡眠の質も大切です。睡眠の質とは、眠りの深さを指します。質の良い睡眠をとることで、成長ホルモンの分泌を高めることができます。

3.寝る時間は大切!?

よく夜10時から深夜2時までの時間を、「肌のゴールデンタイム、シンデレラタイム」と言いますが、実はこれは睡眠にまつわる都市伝説のようなもの。近年の研究では医学的根拠があるとは言えないとされています。

というのも、一定の時間帯に眠ることで、通常の睡眠よりも多くの成長ホルモンが分泌されるわけではないからです。成長ホルモンの分泌量のピークは、睡眠に入ってから3時間前後。特に眠り始めの90分が重要と言われています。

眠り始めが大事な理由は、眠りの深さにあります。睡眠には深い眠りの「ノンレム睡眠」、浅い眠りの「レム睡眠」の2種類があり、最初にノンレム睡眠が訪れ、次にレム睡眠が訪れるというサイクルを交互に繰り返します。睡眠中はこの「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」のワンセット約90分を繰り返し、4、5回繰り返したところで起床するのが一般的ですが、特に深い眠りを得られるのは第2サイクルまでなのだそう。そのため、入眠から180分、つまり3時間までが成長ホルモンが最も分泌される時間帯で、なかでも最も深い睡眠が訪れるのは、眠り始めの90分。就寝するのが何時であろうと、眠り始めの約90分間に、いかにぐっすり眠れるかどうかが大切だということです。

とはいえ、短時間の睡眠でいいわけではありません。睡眠時間が不足すると、コルチゾールという抗ストレスホルモンの分泌量のバランスが崩れてしまい、肌のバリア機能が低下してしまうからです。すると、炎症を抑える機能が正常に働かず、肌荒れを起こしやすくなります。

コルチゾールには覚醒作用があり、午前4時頃から分泌量が急増して体が目覚める準備を始めます。成長ホルモンとコルチゾールの分泌される時間帯が重なってしまうと、体が十分に休息をとることができません。このように「成長ホルモン」以外のホルモンの分泌や、生活リズムなどを考えると、遅くとも0時頃までに寝るのがおすすめです。

美容にも健康にも重要な成長ホルモンですが、加齢とともにだんだんと分泌量が減ってしまうこともわかっています。そのためにも、より質の高い睡眠を取ることが重要といえます。

4.睡眠の質を決める「睡眠ホルモン」

睡眠の質を決めているのは、睡眠ホルモンと言われているメラトニンです。メラトニンには成長ホルモンの分泌を促す役割があり、夜間から睡眠中に最も多く分泌されます。夜間、メラトニンがきちんと分泌されると、睡眠の深さと長さが安定した質の良い睡眠をとることができます。メラトニンには高い抗酸化力があり、肌の老化を抑制してくれる効果もあります。

また、メラトニンの元となるのは、日中に分泌されるセロトニンという神経伝達物質です。セロトニンは日光を浴びることで活発に分泌されるため、太陽の出ている時間帯に活動することで、メラトニンの生成を促すことができます。セロトニンは精神を安定させて幸福感を得やすくする作用があるため、「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレスの軽減や睡眠の質の向上作用が期待できます。さらに、女性ホルモンのバランスも安定し、肌にハリやツヤを与える効果もあります。

日中に分泌されるセロトニンを増やすことで、夜間にメラトニンがしっかり分泌されるので、昼夜逆転の生活を避けることが、肌のためにも質の高い眠りを得るためにも大切だと言えます。

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5.質の高い睡眠のために

より質の高い睡眠を得るには、寝る時の環境を整えることも効果的です。

夏の睡眠で気になるのが就寝中の冷房だと思いますが、寝苦しさは良眠の大敵ですので、冷房をつけたまま眠っても構いません。ただ、冷房の風は肌の乾燥を招くため、バリア機能の低下につながることも。冷房の風が直接体に当たらないように風向きの調整をしたり、タイマーを上手に利用して一晩中つけっぱなしにならないようにするなど、工夫をすることがおすすめです。そのほか、以下のような点に気をつけましょう。

就寝1時間前からテレビやスマホ、パソコンは見ない

パソコンやスマホのブルーライトは、視神経から脳に情報が伝わって脳が覚醒モードになってしまいます。睡眠ホルモンの分泌を抑制し、眠りの質を下げる原因にも。少なくとも寝る1時間前からデジタル機器には触らないようにしましょう。眠る前の準備で大切なのは、心と体をリラックスさせることです。就寝1時間前は、眠る準備の時間として意識して過ごし、読書をしたり、アロマの香りやヒーリング音楽で癒されるのもおすすめです。

寝具や寝間着の見直しをする

自分に合った枕を選ぶことで寝つきも眠りの深さも変わってくるため、頭・首・肩をバランスよく支えてくれる枕を選ぶことが大切です。また、ぐっすり眠るために大切なのが「寝返り」です。寝るときは部屋着ではなく、パジャマを着ることで不要な摩擦が起こりにくく、寝返りがしやすくなります。理想的なのは、吸水性や吸湿性が高く肌触りのいい100%シルクかコットンです。フードつきやもこもこ素材、重ね着は避けた方が良いでしょう。

「スリープセレモニー」で入眠スイッチをONにする

スリープセレモニーとは、寝る前にいつも行うことを決める入眠儀式のこと。ルーティーンにすることで、スイッチが切り替わり、眠りに入りやすくなります。寝るときは必ずパジャマに着替える、ハーブティを飲むなど、自分に合った方法を試してみるといいでしょう。

寝る1.5時間前にぬるめのお風呂に浸かる

眠気には体温が大きく関わっており、深部体温と呼ばれる内臓の体温が下がり始めると眠気が起きます。眠りたい1.5時間前に約40℃前後のぬるめのお湯に20分程度浸かり、ゆっくりと湯冷めさせることで自然な眠気が出ます。

起床時間を一定にして、睡眠バランスをくずさない

就寝と起床時間を一定にすることが一番理想的ですが、忙しい現代社会ではなかなか難しいのが現状です。そのため、寝る時間は不規則でも、起きる時間を一定にすることで睡眠リズムを整えることができます。ただし、睡眠不足が続いてしまった週末は、1時間程度長く眠り、睡眠負債を解消しておくとよいでしょう。ただし、翌日以降のハードワークに備えて事前に行う休日の寝だめは、「社会的時差ボケ」といい、NG行為です。寝だめはできない、しないと心得ましょう。

睡眠と肌は密接な関係があり、美しい肌を保つには毎日の質の高い睡眠が欠かせません。少しの意識で簡単に取り入れられるので、今すぐ始めて素肌美人を目指しましょう!