【加齢臭・ミドル脂臭・疲労臭】あなたの体臭は表面から?血液から?体臭の分類と原因・対策を解説
- 1.ニオイ(体臭)のもと⁈「皮膚ガス」とは
- 2.代表的な体臭...「加齢臭」「ミドル脂臭」など
- 3.体臭と病気の関係性
汗ばむ季節は、体のニオイが気になるものです。体臭に気を配ることは、社会生活で気をつけたいマナーの1つ。最近では「スメハラ」(スメルハラスメントの略)という言葉も登場しています。ここでは、体臭の種類や原因について解説します。
目次
1.ニオイ(体臭)のもと⁈「皮膚ガス」とは
近年の研究で、体のにおいは人の皮膚表面から放出される揮発性物質の総称「皮膚ガス」がもとになっていて、現在分かっているだけでも300種類以上存在すると言われています。皮膚ガスが放出される経路は、主に表面反応由来、皮膚分泌腺(汗腺)由来、血液由来の3通りあり、この経路が認解明されたことで、ニオイ対策は、シャワーを浴びる、汗を拭き取るなどの皮膚表面のケアだけでなく、生活習慣の見直しなど体の内側からのケアも重要であることが意識されるようになりました。
表面反応由来
従来から体臭の主な原因として考えられてきたルートで、汗や皮脂の成分が皮膚表面の常在菌の作用によって酸化・分解されてニオイ物質に変わります。汗のニオイ、わきが、足の裏のニオイ、さらに後ほど解説しますが、「ミドル脂臭」「加齢臭」と呼ばれるニオイが分類されます。皮膚分泌腺由来
皮膚内部の汗腺から生じるガスで、幼い子どもの汗から漂う微かな酸っぱいようなニオイはこれが原因です。常在菌が介在しないのが特徴です。血液由来
血液中を流れている化学物質が揮発して皮膚表面から染み出てくるガスで、お酒を飲んだ後、にんにくを食べた後のニオイ、疲労やストレスが重なった時に生じる「疲労臭」などもこちらに分類されます。これらは体を洗っても落ちにくい特徴があります。
2.代表的な体臭...「加齢臭」「ミドル脂臭」など
年代によって体臭の種類や発生部位が変化します。
汗臭/10代半ば~20代半ばに強くなる
新陳代謝が活発な10~20代に特に強く出ます。汗をかいた直後はほぼ無臭ですが、そのまま放置すると皮膚表面で垢や皮脂と混ざり合い、それらに含まれる脂質、タンパク質、アミノ酸などの成分が皮膚常在菌の作用で酸化・分解されて「イソ吉草酸(きっそうさん)」という納豆のようなニオイ物質が発生します。。足の裏のニオイがきつい方は、このイソ吉草酸が多く出ている可能性があります。汗臭対策はこちらをご覧ください。
KIREIメディア 汗が臭くなる仕組み~パーツごとのニオイ対策を解説
ミドル脂臭/30~40代半ばの男性に多い
‟お父さんや夫の枕がくさい"という経験をしたことがある人も多いと思います。あのニオイです。30〜40代半ばのミドルエイジの男性に特に強く発生するニオイですが、測定すると女性でも出ています。特に皮脂が多く汗をかきやすい頭頂部や首の後ろ、耳の周りなどから使い古した油のようなニオイがするのが特徴です。
ミドル脂臭は、汗に含まれる乳酸が、表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌によって代謝・分解されることで発生する「ジアセチル」が原因です。「ジアセチル」自体でも独特なニオイを放ちますが、さらに皮脂に含まれる「中鎖脂肪酸」と混ざることでさらに増悪します。また、加齢臭の原因であるノネナールよりもニオイが強く、少量でも空気中に拡散しやすい特徴があります。どうして中年の男性だけこのニオイが強いのかに関してははっきり解明されていませんが、疲労物質である乳酸が要因になっていることから、働き盛りの中年男性に多いのではと考えている研究者もいるようです。
先述の通り、ジアセチルは表面反応由来の皮膚ガスなので、ニオイのもととなる皮膚表面の汗や皮脂を取り除くことで低減させることができます。汗をこまめに拭き、入浴時は体をよく洗い、清潔に保ちましょう。ただし、ゴシゴシと擦るのは、皮膚バリアと常在菌叢のバランスが乱れ、かえってニオイ成分の産生が活発になるため、強く擦り過ぎないないことがポイントです。
加齢臭/男女ともに50代半ば以降
加齢臭は、頭部や耳の後ろ、背中や胸の体幹部など皮脂分泌の多い部位を中心に発生する古本や枯れ草のようなニオイが特徴です。年齢を重ねると皮脂の中に含まれる脂肪酸(パルミトレイン酸)と皮脂が酸化して生じる過酸化脂質が増えます。その2つが結びつき、皮膚の常在菌の作用によって酸化・分解されて発生するのが「2-ノネナール」で、これが加齢臭の原因です。
加齢臭というと中年の男性のイメージが強いかもしれませんが、女性にも加齢臭は出てきます。年齢とともに女性ホルモンが減少してくると、相対的に男性ホルモンの働きが優位になります。すると皮脂分泌が促進され、加齢臭も発生しやすくなります。特に、更年期以降は、加齢臭が強くなるといわれています。
加齢臭の原因となる2-ノネナールは、皮脂が酸化して生じる過酸化脂質によって増加します。過酸化脂質は、体内に活性酸素が過剰に発生すると増加します。過度な運動やストレス、喫煙などは体内での活性酸素の産生を助長します。日頃からバランスのとれた食事や適度な運動習慣、十分な睡眠を心がけましょう。
疲労臭/疲れやストレス
精神的なストレスや肉体的な疲労がたまって、血液中のアンモニア濃度が上昇し、血管を通して皮膚から染み出してニオイが発生するのが疲労臭です。 おしっこのようなアンモニア特有のツンとした臭いがします。
通常、体内で作られたアンモニアは、肝臓で分解され尿として排泄されますが、疲労やストレス、肥満、飲酒などによって肝臓の働きが弱くなったり、腸内環境が悪化したりすると体内で分解しきれなかったアンモニアが、血流にのって皮膚から放散されます。皮膚表面からニオイ物質が作られるミドル脂臭や加齢臭などとは異なり、‟血液から染み出る"ニオイのため、体を洗っても解決にはなりません。やっかいなことに全身からニオイます。
疲労臭の原因は体や心の疲労のため、まずはストレスや疲れを残さないようにしましょう。さらに、食事や睡眠など生活習慣の見直しも疲労臭をやわらげるために有効です。また、肝臓に負担をかけないようにお酒の飲み過ぎに注意し、食物繊維をしっかり摂るなど腸内環境を整えることもおすすめです。
3.体臭と病気の関係性
最近の研究で、体臭と病気の関係が少しずつ明らかになっています。例えば、糖尿病になると「ケトン臭」と呼ばれる甘酸っぱいニオイがすると言われています。。その他、以下のような病気で体臭が発生することが分かっています。
■ 甲状腺機能亢進症
■ 中枢神経障害
■ 魚臭症候群
■ 口内炎症
■ 鼻やのどの疾患
■ 胃腸障害
周りの人から「変なニオイがする」と言われたり、今までとは違う体臭を感じたりしたら、一度医師に相談することをおすすめします。
自分の体臭は気づきにくいからこそ、意識的にニオイケアをすることは大切です。しかし、必要以上にニオイを気にすると、それがストレスとなりかえって体臭がきつくなることもあります。体臭は誰しもある程度はあるものです。多くの場合、体を清潔に保ち、ニオイの原因となる生活習慣を見直すことで解消できます。