【更年期世代の肌トラブル】シミ・シワなどエイジングが加速、乾燥が全身(ドライシンドローム)に及ぶことも!トラブルを回避する対策とは?
更年期になると、ホルモンバランスが変わることで、さまざまな心身の不調が出てくることが知られていますが、ホットフラッシュやめまいなど、いわゆる「更年期障害」と呼ばれる症状以外にも、肌の乾燥やハリツヤが失われるなど、肌の変化による悩みも一気に増えてきます。そこで今回は、更年期の肌トラブルを引き起こす原因と対策についてご紹介します。
- 1.更年期とは
- 2.更年期の肌の不調は意外と知られていない!?
- 3.更年期に起こる肌トラブルとその原因
- 4.更年期は肌だけでなく体全体が乾燥
- 5.シミ、シワ、たるみも増加する!
- 6.更年期の肌トラブルの対策
目次
1.更年期とは
更年期とは、閉経を挟んだ前後5年間の時期のこと。日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後といわれ、個人差はありますが、一般的に45〜55歳頃が「更年期」に当たります。
女性ホルモンであるエストロゲンは主に卵巣から分泌されますが、卵巣機能は30代後半から衰え始め、エストロゲンの分泌量も徐々に減少します。そして、閉経前後の更年期に入るとエストロゲンの分泌が急激に減少することでホルモンバランスが乱れ、体調の変化や不調を感じるようになります。この時期に身体にさまざまな不調があらわれることを「更年期症状」といい、次のようなものがあります。
☑ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)、動悸、冷え、むくみ
☑頭痛、めまい、だるさ
☑イライラ、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠
☑肩こり、腰痛、背中の痛み、関節痛、手指の痛み・しびれ・変形
☑吐き気、下痢、便秘、胃もたれ、胸やけ
☑月経異常、尿失禁、頻尿、性交痛
☑肌のかゆみや乾燥、湿疹、チクチク・ピリピリ感
☑のどの渇き、ドライアイ、デリケートゾーンのかゆみ、
☑シワやシミ、イボなどが増える
☑抜け毛、髪が薄くなる
2.更年期の肌の不調は意外と知られていない!?
このように更年期症状は、血管運動症状、その他の身体的症状、精神的症状など多岐に渡ります。なかでも意外と多いのが、肌に関する悩みです。更年期を迎えた女性は、以前に比べて肌が敏感になったり、刺激を感じやすくなったりする人が増えることがわかっています。一般的に更年期症状と呼ばれるホットフラッシュやめまい、気分の落ち込みなどに比べて、更年期に起きる肌の不調は意外と知られておらず、更年期の症状と認識しないまま肌トラブルに悩まされている人も多いといわれています。
また、30代後半〜40代前半の「プレ更年期」と呼ばれる時期からエストロゲンの減少は始まっているため、30代後半から症状が進むケースもあります。今までそんなに肌トラブルはなかったのに、最近肌の不調を感じることが多いという人は、実は更年期が原因かもしれません。
3.更年期に起こる肌トラブルとその原因
更年期の肌トラブルは、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで起こります。エストロゲンには表皮の潤いとバリア力を保つターンオーバーの維持、ハリや弾力を与えるコラーゲンやエラスチン、皮膚全体の水分保持に欠かせないヒアルロン酸の生成を促し、肌の若さと健康を保つ働きがあります。
そのため、エストロゲンの恩恵が少なくなる更年期になると、真皮のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸量が減少し、弾力やハリが失われやすくなります。すると、シワやたるみが目立ちやすくなります。
また、皮脂膜や角層のセラミド減少、ターンオーバーの遅延によって肌のバリア機能が低下すると、乾燥などの刺激に敏感になる人もいます。肌がチクチク、ピリピリしたり、カサつきやかゆみなどが起きやすくなり、皮膚が赤くなったり、搔きむしって湿疹ができるというケースが見られます。顔以外にも、足のすねや下着があたるウエストなど、衣服での摩擦が起きやすい部分がカサカサと乾燥しやすくなります。特に秋冬は乾燥が悪化しやすく、お風呂上りに全身がかゆくなったりすることもあります。そのため、今まで使っていた化粧品が肌に合わなくなったり、下着や肌着がチクチク感じるようになったりしてしまいます。
肌の乾燥は放置すると、炎症による肝斑などシミの悪化、コラーゲン変性によるシワの進行、皮膚の過敏性の悪化など、さらなる肌トラブルや肌老化の原因にもなるので、早めにケアをすることが大切です。
4.更年期は肌だけでなく体全体が乾燥
エストロゲンは肌に潤いや弾力を与えるコラーゲンの産生だけでなく、皮膚粘膜を守る働きもあるため、目、鼻、口、膣の粘膜など、肌だけではなく体全体が乾きやすくなります。すると、ドライアイや疲れ目、口臭、デリケートゾーンの乾燥や萎縮など、さまざまな不調につながるとされています。
このように体全体が乾燥し、肌トラブルだけでなく、体のあちこちで不調が起こりやすくなることを「ドライシンドローム」と呼びます。ドライシンドロームによる乾燥症状は、唾液や涙、皮脂などの外分泌腺の機能低下が原因で起こります。ストレスによる影響もありますが、主にエストロゲンの分泌低下が関係していると考えられています。そのため、更年期を迎えた女性はドライシンドロームになりやすい傾向にあるといえます。
5.シミ、シワ、たるみも増加する!
加齢とともに増える「シミ」「シワ」「たるみ」などの肌悩みですが、実はこれも更年期の肌トラブルのひとつといえます。というのも、エストロゲンには肌のターンオーバーを促進し、紫外線による表皮細胞のダメージを弱める作用があります。そのため、加齢によりエストロゲンが減少するとターンオーバーが滞るようになり、肌のくすみやシミをまねき、肌がザラつきやすくなります。
また、エストロゲンの減少に伴って、肌の潤いとハリを保つコラーゲンやエラスチンの弾力性と量が失われることで、シワやたるみが生じます。加えて、エストロゲンの防御を失ったことで、ダイレクトに紫外線やたばこ、大気汚染物質などによる活性酸素のダメージを受けるようになるもシワやたるみの一因になります。
更年期にできるシミには、長年紫外線にさらされたことによって起こる老人性色素斑と、女性ホルモンの乱れが原因とされる肝斑があります。手の甲のシミや首のシワなど、今まで気にならなかったようなパーツにエイジングサインが出てきたり、わずかに盛り上がって見えるシミ、いわゆる「老人性イボ(脂漏性角化症)」ができたりします。
6.更年期の肌トラブルの対策
更年期の肌トラブルを防ぐには、肌が本来持っている保湿機能とバリア機能を維持する必要があります。正しいスキンケアで肌を保護し、肌への刺激を少なくするなど、適切なケアを心掛けましょう。
スキンケア
今まで使っていたスキンケアが急に合わなくなってピリピリと感じたり、皮膚が赤くなったり、湿疹ができる場合があります。そういう時は、一時的に敏感肌用やベビー用など低刺激のアイテムに切り替えると良いでしょう。また肌の乾燥を防ぐことが重要なので、市販の保湿剤を塗るのもおすすめです。ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸、セラミド、グリセリンといった保湿成分が配合されているものが効果的です。ただし、症状が長引いたり、悪化していく場合は、早めに皮膚科医を受診することをおすすめします。
紫外線対策
紫外線は肌の老化やトラブルをまねく最大の要因です。一年を通して、紫外線対策を怠らないようにすることが重要です。紫外線のうちUVAは、曇りの日やガラス越しに室内へも届くため、外出しない日でも油断は禁物です。紫外線防止の指針となるSPFやPA値は、数値が高いほど効果が期待できますが、ウォータープルーフ製品など落とすときに肌への負担がある製品もあります。室内にいるときは肌への負担が少ない敏感肌用の商品を使うなど、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
入浴はぬるめのお湯で
熱すぎるお湯は過剰に皮脂を流してしまい、肌の乾燥をまねきます。お湯の温度は38℃程度を目安にぬるめに設定し、熱いお湯に長く浸からないようにしましょう。ボディソープは低刺激のものを使い、よく泡立ててから泡で洗うこと。また、体を洗う時はタオルなどでゴシゴシこすらず、手でやさしくなでるように洗うことも大切です。さらに、お風呂上りは、水分が失われるスピードが通常より早いので、体の水分を拭き取ったらすぐに保湿ケアをすることが大切です。
栄養バランスのとれた食事
栄養バランスのとれた食事は更年期の女性にとって特に大切です。エストロゲンと似た作用を有する大豆イソフラボンや、抗酸化作用のあるビタミンA・C・E、ポリフェノールなど、体内から肌の再生をサポートするような食材を積極的に食事に取り入れて。また更年期はさまざまな体調不良が現れやすい時期なので、タンパク質やビタミン、良質な脂質などの基本的な栄養素が含まれた食品をバランスよく選ぶなど、内側から肌や体を健やかな状態に保つことが大切です。
十分な睡眠
眠中に分泌される成長ホルモンによって、肌の再生が促されます。成長ホルモンは眠りの深さに左右され、最も多く分泌されるのは就寝後3時間前後といわれています。この時間に質の良い睡眠がとれるよう、就寝前にPCやスマホなどのブルーライトを見たり、激しい運動をしたりしないようにしましょう。入浴は就寝90分前くらいまでに終わらせ、ぬるめのお湯に浸かったり、軽いマッサージをしたり、お気に入りのアロマを焚くなどして、リラックスする時間を作るようにしましょう。
適度な運動
全身の血行を促して、肌細胞を活性化したり、新陳代謝を高めて肌のターンオーバーを促したり、適切な発汗で保湿効果を保つなど、肌の健康にさまざまなメリットをもたらします。さらに、成長ホルモンの分泌を促進する、ストレスを解消する、自律神経を調整してホルモンバランスを整える、適度な疲れが深い睡眠をもたらすなど、運動には数々のよい効果があります。最近の調査で、日本人女性の運動習慣が近年低下していることが問題視されています。特に30代半ば~50代の更年期世代にその傾向が顕著です。週に1回以上の運動習慣は、更年期以降の美と健康を支える土台になることを理解し、さっそく行動に移しましょう。
ストレス解消
ストレスで交感神経が過剰に働くとターンオーバーの低下により皮膚バリア機能が低下し、乾燥症状を引き起こす原因になります。また、皮脂腺のストレスセンサーに反応して皮脂量が増えて毛穴が目立つ場合もあります。このように、ストレスは肌に直接悪いだけでなく、免疫力や睡眠の質、消化吸収、末梢循環などを低下させることでも皮膚に大きく影響し、肌荒れやくすみ、シミなどを引き起こす可能性があります。ストレスへの対処法は、大き過ぎるストレスからは逃げることを検討しましょう。生きている限り避けられない小さなストレスには、受けていることをまず自覚し、ストレスを溜めずに、日々の小さな工夫でうまく発散させることが大切です。
更年期の肌トラブルは、ホルモンのバランスが変わることで起こります。肌トラブルの原因は何かをきちんと把握し、適切なスキンケアを行うことが大切です。十分な保湿ケアだけでなく、健康な肌を作る生活習慣を心掛け、体の内側からもしっかりケアしていきましょう。