葉酸 

葉酸はビタミンB群の一種で、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質です。ビタミンB12と共に赤血球の合成に関与するため、造血のビタミンとも呼ばれます。そのほか核酸やタンパク質の合成時に補酵素として重要な役割を担っています。

核酸とは遺伝情報を有するDNAやRNAの総称で、この合成が正常に行われることで、体の成長や新陳代謝が促されます。また、タンパク質の合成を促進することで皮膚・口腔粘膜を強化する役割があります。

そのほか、動脈硬化の危険因子であるホモシステインの産生を抑制することで、脳梗塞や心筋梗塞などの生活習慣病予防をします。葉酸が不足すると、悪性貧血(巨赤芽球性貧血:DNAの合成障害が原因で起こる)、口腔粘膜障害による口内炎や舌炎、腸粘膜障害による下痢、肌のターンオーバーが滞ることでシミ、くすみなどの症状が現れます。最近では、食品から葉酸を摂取することで、特定の癌のリスクの減少に関連していることが認められていますが、サプリメントなどによる過剰な摂取は、前立腺癌などのリスクを高めるともされ、正確なメカニズムは明らかではありません。

厚生労働省によると葉酸の1日の必要摂取量は成人で1日240㎍、妊婦で400㎍、授乳婦で280㎍で、妊婦に必要な400㎍とは、ほうれん草200g(1把分)に相当します。特に妊娠初期(4~12週)は胎児の細胞分裂が盛んな時期であり、この時期に葉酸不足を起こすと、胎児に神経障害が起こりやすくなるといわれているため注意が必要です。葉酸はレバーや野菜(ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜)豆類や藻類に多く含まれますが、水・熱・光に弱いため、調理方法を工夫するなどして毎日意識的に摂取することが大切です。