雑誌『女性自身』2016年8月16日号 (8月2日発売 掲載ページP138~139)

特集「新常識!体の中から紫外線対策 食べるUVケア」
猛烈な紫外線が降りそそぐ8月、日焼け止めクリームに帽子にサングラス、これでUVケアは万全と思っていませんか? 実は紫外線対策は外からだけでは不十分なのです。そこで皮膚科専門医の慶田院長が体の中からの紫外線対策について解説しました。

◎紫外線が起こす光老化
肌の老化は、加齢によるものが2割、残り8割は光が原因といわれています。光はシミだけでなく、シワ、たるみなど肌全体を老化させるといい、これを「肌の光老化」と呼びます。波長の短い紫外線UV-Bは表皮に到達して、細胞のDNAやRNAに傷をつけ、炎症(日焼けによる赤み)を引き起こします。遺伝子の修復が間に合わないほどの紫外線量を浴びると、過剰にメラニンが作られ、シミになります。また、長期的には老人性イボや皮膚がんの原因になります。また波長の長い紫外線UV-Aは肌の奥深く、真皮まで到達して、コラーゲンやエラスチン(コラーゲン同士を結びつける弾性繊維)を破壊し、シワやたるみの原因になります。
夏の紫外線を1時間浴びた場合、表皮では細胞1個あたり100万のDNAが損傷し、真皮では10万のDNAが損傷します。細胞自身が損傷した遺伝子を修復するときにエラーが起きると、正常な細胞に回復できず、シミや皮膚がんの原因になるのです。
目の光老化としては、紫外線による雪目、翼状片、白内障などがあります。

◎近赤外線やブルーライトにも要注意
さらに気を付けたい光線があります。特にたるみの原因の半分以上を占めているのが、近赤外線です。筋膜や筋肉までも破壊するので、肌全体がたるんで顔や体のシルエットを崩してしまいます。
また、太陽光に含まれるブルーライトも目や肌に有害です。ブルーライトは網膜まで届き、加齢黄斑変性の原因になり、失明につながります。また睡眠リズムを崩し、メタボや肥満の一因ともなると言われています。

◎体の中からのケアが重要
しかし、市販されている日焼け止めの多くはUV-A、Bのブロック機能だけで、近赤外線やブルーライトまでブロックするのはまだほんの一部なので、日焼け止めクリームは2~3時間で塗り直しが必要です。UVカット加工の帽子やサングラスも有効ですが、地面からの照り返しにも気を付けなければなりません。また室内や車内でも対策は必要です。UVカット加工のある窓ガラスでも380ナノメートル(光の波長の単位)までの光しかカットできないので、380ナノメートル以上の光は室内や車内に入ってしまうのです。
そこで大事になってくるのが体の中からの対策です。外側からの対策と組み合わせることで、紫外線に負けない肌になるのです。紫外線や近赤外線で肌に酸化ストレスがかかるので、抗酸化作用のある食品を摂取するのが有効です。また、体の中からのケアで皮膚が健康になり、バリア機能が高まると、光に対する抵抗性が高まるのです。

◎UV対策に食べるべき7つの食品
抗酸化作用が高いのはビタミンA、C、Eやポリフェノール類です。ビタミンAは野菜ではβカロテンの形で存在し、特にニンジンやパプリカは含有量が多くお勧めです。ブロッコリーやオクラにも多く含まれています。オクラには腸内環境を整える作用もあるので、美肌作りに最適です。動物性のビタミンAなら豚・鶏のレバーや卵がいいでしょう。トマトに含まれるリコピン、ブロッコリーに含まれるルテイン、サーモンに含まれるアスタキサンチンも抗酸化作用が高い食品です。
また、注意したい点もあります。ビタミンCが肌にいいと考えて、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類、キウイを朝に食べる人がいますが、紫外線の感受性を高めるソラレンという成分が含まれるので、逆にシミになりやすいのです。これらは夕方以降に食べてください。野菜ではキュウリ、セリ、セロリ、大葉、パクチーなどにソラレンが含まれ、注意が必要です。

◎コラーゲンペプチド・ミルクセラミド入りヨーグルトが紫外線の抵抗性を上げる。
そのほかお薦めするのが、コラーゲンペプチドとミルクセラミド入りの機能性ヨーグルトです。臨床試験で効果が認められています。研究によると、紫外線照射24時間後の紅斑の程度が、この機能性ヨーグルトを4週間摂取する前と後で比べると有意に軽く、摂取によって炎症を起こしにくくなるという結果がえられた。また、紫外線を浴びた24時間後に皮膚が赤くなる最小限の紫外線量(MED)を調べると、この機能性ヨーグルトを4週間摂取した後は摂取する前に比べて有意に高くなり、紫外線に対する抵抗性が強くなったことが認められました。さらに、紫外線照射から7日後の色素沈着の度合いも摂取前に比較して軽く、日焼けで黒くなりにくいという結果も認められました。
別の研究で、この機能性ヨーグルトを摂取することで、角層の水分量が増えて皮膚のバリア機能が改善することが分かっていますので、紫外線への抵抗性を高めた可能性があります。また紅斑(日焼け後の赤み)が出にくくなるのは、ヨーグルトと添加された成分が炎症性ストレスを抑えたのではないかと推察されます。基礎化粧品にも含まれるコラーゲンやセラミドですが、どちらも角層にとどまってバリアの助けをするだけで、中には入っていきません。しかし、体の中から摂取すると、コラーゲンを合成する酵素が増えること、乾燥肌が抑制されることは実験でわかっています。

◎子どもと一緒に体の外からと中からのWケアを
UVケアは外側からだけでなく、体の内側からすることも大切です。さらに、お子さんと一緒にUVケアするのが理想です。子どもは細胞分裂のスピードが速く、日焼けで損傷したDNAの修復が間に合わないので、より光老化や皮膚がんへのリスクが高まるのです。
これからはお子様と一緒にこの7食品を食べて、内側からと外側からのWでUVケアをしましょう。

是非、ご一読ください。

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