雑誌『家庭画報』2017年5月号(4月1日発売 掲載ページP222~223)
特集「50代からのお悩みに、もしもしビューティウェルネス相談室」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
今月のお悩み、【シミのような、ポツポツが、首やフェイスラインにできて気になります】
当院でもご相談が多いお悩みです。これは実はシミでは無く、皮膚の良性腫瘍の場合がほとんどです。
腫瘍には種類があり、各々の治療法が異なるので、必ず皮膚科専門医を受診してくださいね。
◎美白ケアで消えないシミは脂漏性角化症の可能性大
コメカミから耳の前、首すじやデコルテにできるポツポツ。シミのようでありながら立体的に盛り上がって意外と目立つのが気になりますよね。
シミ(老人性角化症)と勘違いしやすいのですが、実は脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)の可能性が高いのです。早い方だと20代終わり頃から現れ始め、50歳を過ぎると男女を問わず8割以上の方に現れます。数は個人差が大きく、少ない方で2~3個、多い方では100個以上に及ぶこともあります。時間が経つとともに大きくなり、日本人は黒く目立つケースが多いのが特徴です。
脂漏性角化症は老人性イボとも呼ばれ、加齢による老化現象です。首のイボはアクロコルドンと呼ばれ、いずれも良性の皮膚内腫瘍です。シミだと思って美白ケアをしてもよくはなりません。CO2レーザーを照射し、皮膚表面を削り取る施術をおすすめします。施術による出血はなく、すりむいたような傷ができ、1週間前後で新しい皮膚ができます。赤みも1~2か月で消え、ほんのりピンク色にきれいに治ります。数が多い場合、サイズが大きい場合は、2~3回に分けて施術を行います。脂漏性角化症の保険治療では液体窒素による凍結療法が主流ですが、施術後に輪ジミのような色素沈着が残りやすく、見た目の美しさを優先するなら、CO2レーザーの照射をおすすめします。
脂漏性角化症の原因には、遺伝や紫外線などもあります。海のレジャーに親しんでいる方の背中に多く見られ、手の甲などにできやすいことからもわかるように、紫外線で誘発されるので、施術後の再発防止のためはもちろん、普段から日焼け止めをこまめに塗り、予防することも大切です。
◎まぶたや額などに出る白いポツポツは稗粒腫
まぶたや頬、額に出る、小さな白い粒のようなポツポツ。これは稗粒腫と呼ばれ、角質が入った袋状の良性腫瘍です。湿疹やかぶれ、小さな傷などが誘因となり、真皮内に小さな嚢腫ができます。治療は、注射針やCO2レーザーで皮膚に穴を開け、袋ごと押し出し除去します。施術の傷口が閉じるまでの期間は、注射針で穴を開けた場合は1~2日、レーザーで開ける穴も小さいので2~3日でふさがります。稗粒腫は皮膚の浅いところにできた角質の塊です。塊さえ取り出してしまえば、なめらかな肌を取り戻せます。
◎目の下のポツポツは汗管腫の可能性も
脂漏性角化症や稗粒腫より割合は少ないものの、目の下に集中して肌色のポツポツが出ている場合は、汗管腫の可能性もあります。汗管腫はホクロと同様、真皮内にできる良性腫瘍です。エクリン腺という汗腺由来のもので、主に目の下やまぶたにポツポツと集中して出ます。数が多い場合1度に取り去ることが難しく、目立つものからCO2レーザーで腫瘍を削り平にしていきます。
同時に当院では、小さなドット状に照射するフラクショナルCO2レーザーを併用して肌を再生させる治療を併用します。これを1~2か月ごとに、3~4回繰り返すことで、凹凸がなめらかになっていきます。施術を受けるごとに赤みが1~2週間ほど続くのですが、目の下は施術の傷跡の治りがよく、傷口さえ閉じればメイクでカバーできます。フラクショナルCO2レーザーによりちりめんジワも解消されるので、若々しい目元が復活します。
◎ポツポツがなくなると肌は一気に若返る
ポツポツの悩みは、年齢が年齢なだけに、できても仕方ないと諦めてしまいがちですが、取り去ることによぅて、驚くほど若々しさが復活します。肌の若々しさの決め手は、色ムラのなさ、凹凸のなさ、整ったきめと水分量にかかっています。ポツポツというでっぱりは、存在するだけで老けた印象に見えてしまいます。脂漏性角化症のように黒さが目立ったり、数が多かったりすれば、ほかの部分の肌がどんなにきれいでも、年齢を感じさせてしまうのです。残念ながら大きく育ててしまうと一度取っても再発の可能性はありますが、肌がなめらかになる喜びは代えがたいです。再発した場合も、またCO2レーザーで処置すれば良いので簡単です。悩んでいるのなら、思いきってとってしまうことをおすすめします。その際、重要なのは診断です。成熟世代の場合、脂漏性角化症、稗粒腫、汗管腫などのポツポツは、一般的に見分けるのが難しく、皮膚科専門医による正しい診立てが欠かせません。また、これらはシミ(老人性角化症)や肝斑などと併発することも多く、ときにメラノーマなどの皮膚がんの場合もあります。治療が数回にわたるケースもあるので、信頼できる医師のもと、治療計画をきちんと立てましょう。
《腫瘍の種類と治療法》
・脂漏性角化症⇒CO2レーザー
表皮内腫瘍、黒ずみ、凹凸などを伴う、フェイスラインや目の下頬、背中などに頻発します。
・アクロコルドン⇒CO2レーザー
真皮内腫瘍、肌色の小さな突起、首や脇の下など関節部に見られます。
・稗粒腫⇒針で穴を開けて粒を出す、CO2レーザー
真皮内腫瘍、ころっとした粒状、目まわりや額、首などに見られます。
・汗管腫⇒フラクショナルCO2レーザー+CO2レーザー
真皮内腫瘍、目の下やまぶたにみられます。
・細胞性母斑(ホクロ)⇒CO2レーザー
真皮内腫瘍
・メラノーマ(悪性黒色腫)⇒手術
皮膚がん、専門医が診察し疑いがあれば全摘し病理で確認します。
《脂漏性角化症の治療例》
ぼんやり茶色くシミのように見えますが、実は脂漏性角化症で、CO2レーザーで脂漏性角化症を蒸発させ、皮膚表面からごく浅く削り取ります。
《検査で初めてわかるポツポツの正しい診断》
一般人の目にはシミやニキビと同じように見えるポツポツ。正しい診断こそが、適切な治療への第一歩です。ダーマライトやダーマスコープなどで皮膚の状態を詳しく検査することで、ときにホクロのがん、メラノーマや基底細胞癌が見つかり、早期発見、早期治療に繋がります。
ポツポツとともにシミや肝斑を併発している場合は、フォトフェイシャル(IPL)を併用して治療を進めます。銀座ケイスキンクリニックでは、ルミナス社の最新マシン、フォトフェイシャルM22を使用し、シミだけでなく、術後の赤みや、毛細血管拡張症、赤ら顔も同時に改善させ、色むらのない美肌に肌質を変えていく治療が好評です。
是非、ご一読くださいませ。