雑誌『週刊女性』2018年2月20日号(2月6日発売 掲載ページP160~163)
特集「寒さ、乾燥で肌ストレスは最高潮 冬のゆらぎ肌は老け顔のもと!」に慶田院長の監修記事が紹介されました。
肌のバリア機能の低下がゆらぎ肌の原因に
「いつも使っている化粧品なのに、つけると肌がピリピリする」、「保湿をしているつもりなのに、肌がカサカサ」、「吹き出物や化粧ノリの悪さが気になる」etc。
今の時期にそんな症状に悩んでいる人は、もしかしたら「ゆらぎ肌」 になっているのかもしれません。
〝ゆらぎ肌〞とは医療用語ではなく、女性の生活の中から発生してきた言葉です。皮膚疾患として病名がつくほどの症状ではないものの、明らかに普段よりも肌の調子が落ちている。そんな肌の状態が〝ゆらぎ肌〞と呼ばれています。
例えば、花粉や汚れといった外部からの刺激があっても、肌が健康であれば跳ね返すことが可能。これを肌のバリア機能と呼びます。ゆらぎ肌は、肌のバリア機能が通常よりも落ちている状態です。その要因にはさまざまなものがありますが、今の時期は大気の乾燥や室内と外気の温度差による乾燥、花粉やホコリの付着などによる影響が特に大きいといえます。
また、女性ホルモンのバランスが崩れやすい更年期は、肌がゆらぎやすい年代でもあります。
スキンケアの三要素は、洗浄、保湿、紫外線対策。でも、この三要素と同じくらい大切なのが日ごろの生活習慣。
スキンケアの三要素の土台となるのは、食事、睡眠、腸内環境(排泄)、ストレスコントロール、運動の5本柱です。この柱のうち2〜3本がガタついてしまうと、 必然的に肌もゆらいでしまうのです。この状態を放置してしまうと、深刻なダメージを招いてしまう可能性もあります。しっかりケアをしましょう。
―ゆらぎ肌の症状-
●赤み肌
肌のバリア機能や免疫力が落ちているときに、気温差や花粉、紫外線といった外部刺激にさらされると肌内部で微弱炎症が起きることも。赤みは微弱炎症の症状のひとつです。
●かゆみ
赤みと同様、かゆみも肌の微弱炎症の症状です。また、アレルギー体質の人の場合、春先に増える花粉に肌が過剰に反応し、かゆみや赤みが引き起こされている可能性もあります。
●大人ニキビ
肌のバリア機能が低下して乾燥がひどくなると、自衛反応として角質が厚くなり、毛穴の入り口が詰まります。するとニキビ菌が炎症物質を放出しニキビができてしまうことも。
<ゆらぎ肌後の セルフケア>
保湿成分を含む モイスチャライザーを 使ったケアを
肌のバリア機能が低下している状態のゆらぎ肌は、できるだけ早くバリア機能を立て直すことが大切です。病院へ行くほどの症状ではないものの、赤みやピリピリといった肌のゆらぎが気になるときには、バームを使うのがいいでしょう。まずは刺激の少ないバームを塗って肌を保護して回復させることが 肝心です。
また、バリア機能の修復に欠かせないのが保湿です。
保湿化粧品にはオイルやバームなどの油脂類からなるエモリエントと水分保持作用のある保湿成分を含むモイスチャライザーの2種類があります。セラミドやヒアルロン酸、コラーゲン、アミノ酸といった保湿成分を含むモイスチャライザー使ったお手入れは、確かな保湿効果をもたらすので、おすすめです。
お肌をいたわるケア方法
1. 肌への刺激をおさえるためにも、化粧水は手で塗るようにしましょう。
500円玉硬貨くらいの量を2~3回にわけてたっぷり塗ります。
2. 化粧水を両手でなじませてから、肌を軽く押さえるように塗っていきます。
目のまわりなど細かい部分は薬指の腹でやさしく塗りましょう。
3. クリームは、中指と薬指の腹を使い、肌をこすらないようにしてやさしく塗り広げていきます。美容液など、とろみのあるものも同じ塗り方を。
危険 !!
ゆらぎを放置した老け顔サインとは
●老け1 毛穴の開きが目立つ
ゆらぎ肌に適切なケアをしないままでいると、真皮層にあるコラー ゲンやエラスチンといった弾力成分がゆるんで毛穴がたるみます。 その結果、毛穴が目立つ老け顔に。
●老け2 顔全体のくすみやクマ
角質肥厚や血行不良などによって肌の老化がすすむと、顔色がくすんでしまいます。
くすみはしわ、たるみといった老化現象以上に老けた印象を与えてしまうことも。
●老け3 ちりめんじわが目立つ
水分が枯渇している状態を続けると、お肌のバリアが低下した状態となり、目元口元などに、ちりめんじわが目立つようになります。
まずはバームケアで肌の鎮静化を
ゆらぎ肌は、肌のバリア機能が乱れている状態です。肌の刺激になりにくく、じっくりと保湿ができるバームを使って肌を鎮静化し、バリア機能と免疫力を強化しましょう。
肌が弱っているときにはしっかりケアを
乾燥したり刺激に対して敏感になっている肌は、保湿アイテムでケアを。クリームやパックでしっかり保湿をしながら肌をいたわることがバリア機能回復への近道です。
<ゆらがせない肌づくり>
正しいお手入れ方法で肌の水分量を維持
肌をゆらがせないためには、バリア機能を強化することが大切です。
最近の研究では、皮膚が寒気に触れて皮膚温度が低下すると乾燥肌に傾きやすいことがわかっています。実際、皮膚科の外来にみえる患者さんのうち、1月から2月にかけては乾燥性の皮膚炎の方がほとんどです。健やかな肌を保つためにも、寒い時期はしっかりと保湿をすることが最も大切です。
保湿の効果を最大限に生かすためにも、正しいお手入れ方法を実践したいもの。
例えば、更年期の年代の方の夜のお手入れは、さっぱりしたジェルタイプのものではなく、こっくりとしたクリームなどで保湿をしたほうが効果的です。量はケチらず、しっとり感を感じるくらいまで塗りましょう。
―ゆらがせない肌への3つのアクション―
●正しい洗顔
強こするのは厳禁。こすらず短時間でメイクが落とせるので、オイルクレンジングがおすすめ。すすぎは33 ~36度のぬるま湯で行います。その後、洗顔料をしっかり泡立てて汚れを泡に吸着させたら手で優しくすすいで、洗顔料が肌に残らないようにしましょう。
●加湿を意識
加湿器を利用して部屋の湿度を高めることも乾燥対策には効果的。
寒い部屋では 加湿効果が得られないため、加湿器は部屋を暖めながら使用します。アロマディフューザーを使えば加湿とともにリラックス効果も得られておすすめです。
●しっかり保湿
肌の表面にある角層には、肌の保湿を担っている三大要素「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」がそろっています。保湿によってこれらの三大要素をサポートすることで、うるおいのある肌を保つことができるのです。日中も保湿を意識しましょう。
クレンジング料は オイルタイプを
メイク落としは基本中のキホン。クレンジング料は30秒から1分程度は肌になじませてから洗い流しを。
しっかり保湿で 乾燥知らずに
ゆらがせないためには、まずはローションでしっかり保湿してすこやかなバリア機能をキープ。
濃厚クリームをたっぷりと
化粧水や必要な皮脂が蒸発しないよう、クリームでフタをしてうるおいを閉じ込めて。
紫外線から肌を守ってゆらぎを防ぐ
紫外線はしみやしわといった肌の老化を促進してしまう大きな要因のひとつ。
毎日のUVケア 習慣も忘れずに。
<ゆらがせない生活習慣とは>
限られた時間の中で優先すべきは睡眠
ゆらぎのないすこやかな肌のためには、毎日のお手入れはもちろん、バランスのよい食事や適度な運動、質のよい睡眠といった正しい生活習慣が不可欠です。
睡眠時間が5時間以下の日が5、4日続くと脳は酩酊状態になり、心身ともにガタついて肌の調子も低下してしまいます。睡眠時間を削ってお肌のお手入れに時間をかけるくらいなら、化粧水とクリームだけで済ませてとにかく早く寝ることを心がけたほうが得策です。
家事に仕事に育児にと慌ただしい毎日を送っている女性は、睡眠時間を確保するために時短ケアの実現も視野に入れて。
歳を重ねるごとに、回復力は弱まりますから、日々の生活習慣を見直すことが美肌への近道です。
●バランスのいい食事ですこやかな身体を作る
セラミドの材料となるのは油分。そのため、ダイエットで油の摂取量をおさえてしまうと肌がカサつきがちになってしまいます。また、身体の再生や修復にはタンパク質が必要なので、肉や魚、豆や大豆 といったタンパク質の摂取も必須。 バランスのよい食事を心がけつつ、 ヨーグルトなどの発酵食品を積極的にとって腸内環境を整えて、健康な肌を維持しましょう。
●血行を促進すれば栄養が全身に巡りやすく
血行がよくなると身体が冷えにくくなり、食べものから摂取した栄養分が巡りやすくなります。軽いウォーキングやストレッチ、水泳、ヨガなど、ストレスなくゆるゆると続けられる運動を週に2~3回行うと、体調はもちろん美肌の維持にも効果的。また、ゆっくりと湯船に浸かって血行を促進すると肌に栄養が行き渡りやすくなり、乾燥やゆらぎ肌の予防にもつながります。
●質のいい眠りの時間で肌の代謝をアップ
人間の身体は眠っている間に成長ホルモンが分泌され、再生や修復が行われます。
肌の健康のためにも、毎日6~7時 間は眠るのが理想的。
また、質のいい睡眠をとるためにも、 寝る直前にはスマホやパソコンなど脳を刺激するものを見るのは避けましょう。ゆっくり入浴する、アロマを焚くなど自分なりに眠りに入りやすい習慣を続けたいものです。
●心地いい方法で上手にストレス解消
ストレスがかかると、脳の司令塔である視床下部が疲弊してしまいます。その結果、視床下部が指令を出すホルモンや自律神経の働きが乱れ、免疫のバランスも崩れて肌のゆらぎにつながります。ゆっくりと休んだり、リラックスした状態でくつろいだり、好きなことに熱中したりなど、自分が心地いいと感じる方法で上手にストレスを解消しましょう。
―ボディクリームを塗れば 2週間で肌が変わる―
寒い季節には、顔はもちろん、手足のかさつきも気になります。
手や足は顔と比べると角層は厚いのですが、代謝が悪いのでどうしても乾燥してしまいがちです。それだけに、毎日、全身にしっかりとボディクリームを塗り続けると、2週間でかなり手触りが変わるはずです。ボディケアの際には、人さし指の第一関節にのる程度の量を手のひら 大に伸ばすのが塗布量の目安です。
肌の赤みやかゆみ、大人ニキビなど、季節の変わり目に乾燥や環境の変化が原因で起こる肌の「ゆらぎ」。そのうち治ると放置しておくと、症状が長引くばかりか肌老化の原因にもなります。
取り返しのつかなくなる前に、即刻ケアが肝心です。
是非、ご一読ください。