雑誌『美的』2018年9月号 特集その2(7月22日発売)(掲載ページP142~149)
今回、慶田院長は2つの特集を監修しています。
◆特集その2『「黒くなる」肌と「赤くなる」肌 日焼け前後のケアは、ここまで違う!』(掲載ページP142~149)
<あなたはどっち?>
毎日じわじわ日焼けして、休日にでかければ1日でこんがり、日焼けが肌に定着するタイプの肌。一方で、普段はあまり日焼けせず、強い紫外線を浴びると赤くヒリヒリする肌。
それぞれの特徴を解説します。
●じわじわ焼けてどんどん定着「黒くなる」肌
日焼けして黒くなる肌は、メラニンを作る力が高め。メラニンには肌の細胞を傘のように覆い、紫外線や刺激などの外敵から守る働きが。つまり、黒くなる肌はそれだけ自己防御力高く、肌老化しにくい肌なのです。
○「黒くなる」肌はこんな人
☑海や山で日差しを浴びてもあまり赤くならずしっかり黒くなる
☑日焼け直後に肌がやや赤くなり、その後黒くなる
☑ひと夏が終わるとしっかり日焼けしている
●夏の終わりに日焼け色が残りにくい「赤くなる」肌
海や山で無防備に紫外線を浴びると赤くなり、ヒリヒリするようなタイプは、メラニンを作る力が弱い肌。細胞がメラニンに守られることなくダメージを受けてしまうため、日焼けはしにくいものの、シミ・シワ・たるみの危険と隣り合わせ!
○「赤くなる」肌はこんな人
☑海や山で日差しを浴びると赤くなり、元に戻る
☑日焼けして赤くなった後うっすら黒くなる
☑ひと夏過ごしてもほんのり程度にしか焼けない
●黒くなる肌はくすみに、赤くなる肌は老化に注意
日焼けによる肌の反応は、赤くなったり、黒くなったりと個人差があります。
ジャパニーズスキンタイプの分類では、赤くなった後もとの肌色に戻るのが1。赤くなった後に黒くなるのが2。赤くならず、そのまま黒くなるのが3。日本人の肌は、この3タイプに分類されています。タイプ1と3は約15%ずつと少なく、約70%の人はタイプ2に分類されます。
●その違いは、メラニン再生力の差。
メラニンはくすみやシミの原因と悪者扱いされがちですが、本来は肌細胞を守り、老化や肌トラブルを守るために作られるもの。タイプ1や2の肌は、メラニンが細胞を守り切れないため炎症を起こしてしまい、赤くなるためです。
今回の企画では、タイプ3と、2の中でも赤くなる度合いが少ない人を「黒くなる」肌、タイプ1と、2の中でも赤くなる度合いが高い人を「赤くなる」肌と分類。
黒くなる肌はくすみやゴワつきに注意し、赤くなる肌はダメージを受けやすいので老化に注意しましょう。
<Morning なるべく日焼けしないための、朝の予防ケア>
日焼けを防ぐことは、何より大切な美肌ケア。日焼け止めの選び方、スキンケア、インナーケアまで、「黒くなる」「赤くなる」肌で、やるべきことが違います。
★「黒くなる」肌の場合
徹底ガードで、とにかくメラニンを作らせない!
メラニンの生成を防ぎつつ肌を守るケアをプラス
メラニンをたくさん作る「黒くなる」肌は、その分細胞の中心にある核をしっかり守れるので、老化しにくい〝ラッキーな肌質〟であることは事実。とはいえくすみやすく、透明感が出ない点は悩みどころです。
黒くなる人は、より意識して日焼け止めをしっかりつけましょう。日傘などで物理的に紫外線をカットするのもおすすめです。美白美容液にも色々なタイプがありますが、黒くなる肌の人には、メラニンができる前に抑制してくれるタイプの美白ケアが有効です。毎朝のケアに組み込みましょう。
●日焼け止めはSPF50+を。保湿効果も高いものが◎
メラニンを作らせるのは、主に紫外線のUVB。UVBをカットする指数はSPF値です。肌が弱い人以外、夏場はデイリーにSPF50+の日焼け止めを使いましょう。
●メラニンができる前の段階で食い止める美白美容液が必須
紫外線を浴びてメラニンができるまでには、細胞レベルでいくつかの段階があります。早い段階で生成をストップする美白美容液が、黒くなる肌の人には効果的です。
●ビタミンCサプリで体の中から肌を守る
黒くなる人には、朝のビタミンC内服が効果的です。メラニン抑制だけでなく、さまざまな美肌効果を発揮。食事では補い切れないので、サプリメントを活用しましょう。
●日傘やサングラスも効果大!外出時は必ず
白い日傘には反射、黒い日傘には吸収の働きがあり、黒の方がやや効果が高いといわれています。また、目から入る紫外線を防ぐためには、サングラスも効果的です。
★「赤くなる」肌の場合
炎症やダメージを防ぎ、白く柔らかな肌をキープ!
多方面からの炎症を防ぐ!
「赤くなる」肌は、細胞を守ってくれるメラニンの生成量が少ない分、肌が常に危険にさらされています。炎症は細胞にダメージを残すので、将来的にシワやたるみできやすい肌質です。また、シミはメラノサイトが強いダメージを受けることでエラーを起こし、メラニンを作り続けてしまうことが原因。防御力が少ない、赤くなる肌は要注意です。
紫外線を浴びると肌の中に活性酸素が生まれ、それが炎症の原因になるので、活性酸素を消去するケアも有効。1度炎症が起きてしまうと、いくらケアしても〝なかったこと〟にはできません。朝の段階で、できることを抜かりなく。
●PA値が高く、炎症も防ぐ効果をもつ日焼け止めを選んで
肌の奥まで届いてシワ・たるみの原因になるのはUVA。UVAをカットするPAが最高値の「++++」である日焼け止めを選びましょう。最近は炎症を防く効果をもつ日焼け止めもでてるので、活用しましょう。
●高い抗酸化作用をもつコスメを朝ケアに
活性酸素はすべての肌トラブルの原因。朝のお手入れには抗酸化ケアを組み込みましょう。インナーケアも効果的ですが、塗っておくと効果がダイレクトに。
●飲む日焼け止めは、赤くなる肌にこそ有効です!
最近話題の飲む日焼け止めは、体の中から炎症を抑えてくれるので、紫外線で赤くなる肌には打ってつけです。日差しが強い夏の間は、毎朝とるのがベスト。
<After72H もし日焼けしちゃったら...3日以内のケアが大切!>
強い紫外線を長時間浴びてしまって、黒くなった、赤くなった...というときは、メラノサイトが活性化している72時間以内のお手入れが、美肌を取り戻すカギ。
★「黒くなる」肌の場合
メラニンの排出&還元ケアで〝黒い肌〟を定着させない!
メラニンの排出を促せば早くもとの肌色に戻れる
日焼けして黒くなった肌は、メラニンを作り続けているだけなので、肌のダメージは基本的に心配ありません。UVケアをしっかりして、これ以上紫外線の刺激を受けないようにすれば、メラニンの生成は収まり、不要なメラニンは自然と排出されていきます。
見た目的にくすみが気になる、早く透明感を戻したいという場合は、角質ケアで代謝を上げたり、ビタミンCでメラニンの色を還元するケアがおすすめ。日焼け直後、赤みやほてりがある場合は、治まってからお手入れをスタートして。
●角質ケアでメラニンを含む古い角質の排出を促す
透明感を早く取り戻したなら、酸や酵素の入ったアイテムで角質ケアを。ただし必要な角質までも取りすぎないように注意。マイルドな美容液タイプがおすすめです。
●レチノールで代謝を上げ新しく透明感のある肌へ
シワ改善成分として話題のレチノールですが、その効果は代謝をあげること。新しい肌が生まれるのをサポートしてくれるので、日焼け肌が早く元に戻ります。
●できてしまったメラニンの色を、ビタミンCで淡色化
数ある美容液成分の中でも、メラニン還元作用をもつのはビタミンCだけ。メラニンの色を薄くしてくれます。
★「赤くなる」肌の場合
何にはともあれほてりを鎮静。治まったらエイジングケアを開放
段階を追ったお手入れでダメージを残さない
海や山で日焼け止めがおろそかになってしまい、うっかり肌が赤くほてるまで日焼けしてしまった...!という場合は?
ほてっているときに積極的なケアを行うと、刺激となって炎症を悪化させるだけ。まずは冷やして、ほてりが引くのを待ちましょう。
ほてりが治まったら、傷んだ肌に刺激を与えないよう、油分で保湿と保護のシンプルなケアを。2日程度たって赤みも落ち着いてきたら、美白や抗炎症のケアを始めてもOK。炎症はとにかくすぐ冷やして鎮める。落ち着いたらエイジングの進行を食い止めるべく、急いで積極ケアを開始。機を見計らうことが大切です。
●ほてっている間は積極的なケアをせず、冷やして鎮静
日焼けして熱をもっている場合は、軽いやけどと同じ状態。氷水や保冷剤でしっかり冷やして。
●ほてりが治まったらクリームやバームで保護ケア
日焼け肌はダメージを受けているので、ほてりが治まったらクリームやバームなど、皮膜効果のあるアイテムで保護を。水分は染みることもあるので控えて。
●肌が落ち着いたら美白&エイジングケアをスタート
紫外線を浴びるとすぐにコラーゲン分解酵素が作られ始めるので、肌が落ち着いたらすぐに対策を。美白&エイジングケアの高機能美容液がおすすめです。
<Daily Care 紫外線のダメージを残さないためにするべきこと>
夏の小麦肌はヘルシーで素敵だけれど、紫外線は肌に確実にダメージを残します。美肌のためには、やっぱり焼かないのがいちばん。そのための共通ケアをご紹介。
01 ただ〝塗るだけ〟で安心してはダメ。肌を完璧に守る方法はコレ!
日焼け止めの数値は、分厚く塗った測定値の値。普通に塗るとSPFは1/5程度になってしまうという事実を忘れずに。重ね塗りや日中の塗り足しがマストです。
まずはSPF50・PA++++の日焼け止めをしっかり塗る
SPF50の日焼け止めを1回普通に塗ると、実際の日焼け止めの効果はSPF10程度になります。少しおいて乾いた後にもう1回薄く重ねれば、SPF15程度まで効果を高めることができます。
ファンデーションもUVカットタイプを
夏場はファンデーションも紫外線防止効果の高いものを意識的にセレクトして。例えばSPF 30程度のファンデーションを薄くナチュラルに塗ると、SPF 3〜5程度に。ただし肌を守る観点では、厚塗りがベターです。
ランチ後に日焼け止めを重ね塗り
日焼け止めとファンデーションを重ねたとしても、SPF 15〜20程度。SPF 1で肌を20分守れるので、5〜6時間たったら塗り直したほうがいいという計算に。ランチ後に日焼け止めを重ねると安心です。
02 しっかり保湿してバリア機能強化!
紫外線を浴びると肌がダメージを受け、保水力が弱まって乾燥しやすくなります。保湿成分配合した美容液や乳液、クリームでバリア機能強化しましょう。
03 湯船につかって体温上げ代謝を促す
夏はエアコンで体が冷えやすく、代謝が滞りがち。湯船につかると効率よく体温を上げることができ、全身の代謝アップにつながります。
04 リゾートではこすれ対策の日焼け止めを使って
日焼け止めは、手で触れたり汗や皮脂でぬれたりといったことで落ちてしまうのが難点。日焼けすることがわかっている海や山に行くときは、こすれや汗に強い日焼け止めを使いましょう。
05 肌を立て直す食材を取り入れる
肌を作るのも守るのも、食を抜きにしては語れません。朝は抗酸化成分を含む食材、夜は肌の修復効果があるビタミンCを含む食材を意識して取りましょう。朝にスイカやベリー類、トマトなどの抗酸化フルーツや野菜をとると、紫外線防御力が強化されます。和食派なら、抗酸化成分のアスタキサンチンがたっぷり入ったシャケがおすすめです。
黒くなる派と赤くなる派では、紫外線による肌の反応や、その後の影響に大きな違いがあります。今すぐ自分の肌に合ったケア法をチェックしましょう。
是非、ご一読ください。