雑誌『週刊文春』2021年10月28日号(2021年10月21日発売)
特集「最高の老後のコツ 介護を楽にする"アンダーヘア脱毛"って何だ?」(P130~132掲載)に慶田院長の監修記事が掲載されています。
■将来の介護を見据えて"アンダーヘア脱毛"に踏み切る中高年が増えています。
高齢者の間で、バリア機能(皮膚表面を覆う油分)が低下した肌細胞の隙間に尿や便の成分が沁みて、ただれや痛みを引き起こすIAD(失禁関連皮膚炎)が深刻な問題となっています。ですが、アンダーヘアを脱毛しておけば、リスクの軽減が見込めます。特に女性は男性と比べて尿道が短いため、寝たままの状態で排便すると、おむつ内で便が広がって菌が入り込み、尿路感染症を患うリスクも高いです。だからこそ、拭き取りやすい状態にしておくことが重要なのです。
■どこで毛を処理すればいいのでしょうか。
医療機関しか取り扱えない高出力の脱毛器を利用する『医療レーザー脱毛』がお勧めです。医療脱毛なら、処理した場所の九〇%以上の毛は生えてこなくなります。『永久脱毛(永久脱毛の定義は八〇%以上の減毛状態)』が実現できます。
当院では、全て無くす人と、Ⅴ部分のみ残す人の割合が半々です。躊躇される人は、まずコンパクトな三角形や小判型に残してはいかがでしょうか。その後、追加で全部無くすという人もいらっしゃいます。
■「陰部脱毛」に挑戦したくなったら、何を基準にクリニックを選べばいいのでしょうか。
皮膚科専門医が常駐していて、毎回医師の診察があるクリニックを選びましょう。医療脱毛を掲げていても、安さをウリにしているところは、例えば、リタイアした高齢の内科医が名前だけ貸しているなど、専門性の低いクリニックもあります。しかし、デリケートゾーンは皮膚の色が黒いため、火傷のリスクもゼロではありません。肌質によっては一時的に毛穴が赤く炎症を起こすこともあります。そんな時、専門の皮膚科医がいれば、ステロイド剤の処方など適切な対処ができます。また、脱毛処置のついでに、外性器周りの皮膚がんチェックを受ける意味も大きいでしょう。外陰部の皮膚癌には、外陰癌、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外ぺージェット病などがあり、素人には判断が付きにくいものが多いため、専門医の視診が欠かせません。
■光脱毛は、医療脱毛とは何が違うのか。
エステサロンなどの光脱毛は、IPL(カメラのストロボのような光)をメラニン色素に反応させ、毛根を弱らせていく方法です。ただ、エステ用のIPLは出力が弱く、一時的な減毛にしかなりません。永久脱毛を目指す介護脱毛には不向きでしょう。
脱毛はあくまで「医療行為」。エステで無資格者が施術するのは違法です。やけどなどのトラブルも多く、皮膚科で受けて頂くのが安心です。
■近年、若い世代を中心に流行っているワックスを直接肌に塗り、一気に剥がす脱毛法「ブラジリアンワックス」とは。
ワックスを使って抜くだけなので、毛を作る器官が残っている以上、一定期間過ぎたら生えてきてしまいます。しかもアンダーヘアは毛根が太いので出血してしまうこともある。埋没毛(毛が皮膚に埋もれる症状)や毛嚢炎(毛根を包む毛嚢に細菌が感染する症状)、湿疹などのトラブルも起きやすいので、皮膚科医としては推奨できません。
当院では、脱毛に『ジェントルレーズ・プロ』を使用しております。
『ジェントルレーズ・プロ』は、日本で初めて『医療レーザー脱毛』の効能で薬事承認を受けた医療機器で、デリケートゾーンなど、生理的に色素の濃い部位の脱毛も安全に短時間で照射を行うことが可能です。
デリケートゾーンの脱毛は、自身の快適性や皮膚の健康のため、セクシャルパートナーのため、将来の介護のためとメリットがたくさん。
是非ご参考になさってください。