フジテレビ『その原因、Xにあり!』 2017年7月14日OA内容
「残念!意外と知らない真夏の健康対策SP」にて慶田院長がスタジオ出演いたしました。
身近なお悩みを取り上げ、専門家とともに"その原因"を解明し、どうすれば解決できるかを究明していく番組です。慶田院長は、日本皮膚科学会認定専門医として、この夏知っておくべき、正しい健康対策について解説をしました。
MCは恵俊彰さん、パネラーは里見浩太朗さん、羽田美智子さん、ホラン千秋さん、キムラ緑子さんです。
事前に真夏の健康対策として間違えがちな残念なネタ6つを街頭で200名にインタビュー調査したところ、慶田院長の監修内容が「知らなかったランキング」で1位になりました。雑誌やテレビで啓発活動をしていても、まだまだ一般的には紫外線に関する正しい知識が浸透していないということが判明しました。
まずVTRで慶田院長からクイズです。
問題.夏に朝に食べると残念なものとは?
Aヨーグルト、Bオレンジ、C海苔
里見さんA、ホランさんB、キムラさん・羽田さんCと予想。
キムラさんは海苔が一番ねばねばして、まとわりついて体内に残りそう、ホランさんは、オレンジの皮が厚いので、暑い夏に剥くと汗をかくいてしまって残念...という理由でした。
解説と答.
Aヨーグルト:アルブミンという体温調節をする成分を含み、夏の熱中症予防に効果的。腸内環境を整え、美肌効果も期待できます。
C海苔:ビタミンB群や食物繊維が豊富、グルタミン酸が消化機能を助け、食欲を増進。夏の暑さで弱った胃腸におすすめです。
残るはB、夏の朝に食べると残念なのは、オレンジです。
しかし、オレンジはビタミンC、カリウムなどを多く含んだ優れた食材のはず。なぜ夏の朝食に食べることが残念なのでしょうか?
その理由は、オレンジやグレープフルーツなど、いくつかの柑橘類に含まれる「ソラレン」という成分。ソラレンは光毒性物質の一種で、簡単に言うと紫外線を体に多く吸収させてしまう成分で、主に柑橘類の実や皮に含まれます。詳しく言うと、ソラレンは長波長の紫外線を吸収することで励起状態になり、基底状態に戻るときに、一重項酸素、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素を発生させ、細胞を傷害してしまうのです。この辺りは難解なのでテレビでは省略しています。食品摂取から2時間後には全身に行き渡り、紫外線を吸収しやすく、害が生じやすい状態になってしまうのです。さらに恐ろしいことに、この効果は7時間持続します。例えば、朝7時に朝食でオレンジなどソラレンを含む食材を食べた場合、9時に外出する頃には体が紫外線を吸収しやすくなり、最も日差しが強い時間もずっとその効果が続くということ。特に夏は、紫外線が強い季節。紫外線を多く吸収することの問題は、シミだけではありません。アメリカで20年以上にわたって、10万人を対象とした研究では、皮膚がんのリスクを高めてしまうという論文がでています。それによると、朝習慣的にオレンジやグレープフルーツを摂取した人は、そうでない人と比べ、36%も皮膚がんのリスクが高まっています。
このソラレンを含む主な食材は、オレンジ・グレープフルーツ・レモンなどの柑橘類。
実は、このソラレンを含む食材は柑橘類以外にもあります。特に気を付けたい食材は、セロリ・パセリ・パクチーなど主にセリ科の食材です。
もう一点気を付けたいことは、ソラレンは食べるだけでなく、皮膚についてもNGということ。皮を剥いたり、果汁が飛んだりして皮膚に付着した場合は、水で流した程度ではなかなか落ちません。石鹸などでよく洗うように心がけましょう。
古代エジプトでは、こういった食品をすりつぶして肌にのせたり、食べたりして、あえて日に当たり、皮膚病を治す民間療法もあったようです。医療の世界では合成のソラレンを白斑や円形脱毛症の幹部に塗ってUVAを照射し免疫調整を図るという「PUVA療法」が10年ほど前までは皮膚科で行われていましたが、現在ではより安全性の高い「ナローバンドUVB照射」に置き換わっています。
柑橘類やセリ科の野菜類はビタミン類、カリウムなどが豊富で優れた食材です。大切なことは、食べるタイミングを考えることです。7時間で吸収し代謝されることを考慮すると、夕方以降に食べれば、問題ないといえるでしょう。夕飯に食べることで、柑橘類、セリ科などの食材に含まれるプラスの栄養分を効率よく摂ることができます。
ソラレンを気にすることなく朝食におすすめの食材は、リンゴ、バナナ、ベリー系の食材。夏の定番スイカにはトマトに含まれるリコピンが豊富で、こちらもとくにおすすめです。
ソラレンを多く含む食材は、食べる時間を変えて、上手に夏を乗り切ってみてくださいね。
ぜひ、参考になさってください。