雑誌『bea´s up(ビーズアップ)』2016年8月号 (7月12日発売 掲載ページP64~69)
「保湿、美白、毛穴...肌悩み別に今すぐチェック プロが判定!夏のスキンケア ウソ・ホント40!」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
強い紫外線や、冷房にさらされ、夏の肌を取り巻く環境は想像以上に劣悪です。日焼けによるシミや急激な温度変化による乾燥を起こしたり、紫外線を浴びることで角質が厚くなり、皮脂が詰まってニキビの原因も増加します。さらに暑さで食生活や、生活習慣が乱れることも肌には大敵です。夏は肌のベタつきが気になり、潤いは十分にあると思いがちですが、汗をかいているだけで、逆に汗が乾くときに肌の水分も一緒に奪われ、乾燥しやすい環境です。実際に、皮脂分泌量は年間を通してかわらないといわれています。保湿やUVケアを怠ったり、日々の生活が乱れると、あっという間に秋につけがまわってきます。
そこで、今回3名の肌の専門家が、夏のスキンケアの"ウソ?ホント?"の疑問にお答えしました。慶田院長は皮膚科専門医として、解説しています。
保湿ケア編
〈外出先ではミスト化粧水をこまめにつける〉
A. 場合によります。メイク直し前のベタつきオフやリフレッシュに使うのがおすすめです。
水分のみだと蒸発するので、保湿目的なら乳液タイプが良いでしょう。
〈夏でも夜はクリームをつけて保湿する〉
A. ホント。スキンケアの締めにクリームや乳液は必須。夏でも毎日使いましょう。
いくら化粧水をつけても、水分を抱えるモイスチャーライザーや、適切な油分を含む保湿クリームを塗らなければ潤いは逃げます。夏こそ保湿クリームがおすすめです。
〈ベタつきやすくなるので、夏はボディの保湿は不要〉
A.ウソ。顔と同様に夏のボディも乾燥状態です。一見、汗で潤っているように見えますが、実際は紫外線やエアコンの影響でボディも乾燥しています。さっぱり系の使用感が良いアイテムで保湿しましょう。
〈シートマスクを長時間つけ過ぎると乾燥する〉
A.ホント。つけ過ぎはさまざまな肌トラブルの原因になります。規定の時間より長くつけていると、マスクが乾いて、肌の水分を奪い、逆に肌が乾燥することに。さらに、接触性皮膚炎になる恐れもあるため注意しましょう。
〈お風呂上がりの肌はほてっているので、冷ましてからケアをする〉
A.場合によります。ほてりは問題ありません。汗が流れている状態で化粧品をつけると、効果は低くなる可能性があります。汗が引かないときは、ます化粧水をつけ、汗が落ち着いたら乳液やクリームを塗りましょう。入浴後5分以内の保湿をこころがけましょう。
美白ケア編
〈美白コスメはライン使いすると効果が上がる。〉
A.ホント。ライン使いした時に最大の効果が得られるように設計されています。先に使うアイテムが後に使うアイテムの浸透を高めるなどの工夫が。可能ならライン使いをしましょう。
〈美白コスメは夏の終わりから使い始めれば良い〉
A.ウソ。シミの気配を感じてからでは遅すぎます。最低でも紫外線が多い、3月から9月までは使うべき。できれは通年使用がベストです。
〈夕方になるとくすむので、美白美容液でケアする〉
A.場合によります。メラニンの可能性もありますが、夕方だけなら血行や、乾燥が原因かもしれません。血行不良ならマッサージなどで血行を促すケアがおすすめです。
〈早く美白効果を出したいから、美白美容液を何度もすり込む〉
A.ウソ。皮膚が一度に吸収できる量は限られています。むしろ重ね塗りの摩擦刺激で、色素沈着を起こす恐れがあります。
〈ビタミンCを摂るため、朝は果物や野菜のスムージーを飲む〉
A.場合によります。光毒性物質のソラレンを含むものはNGです。柑橘類やキュウリ、セリ科の野菜(セロリ、セリ、大葉、パクチー)などの食品には、紫外線の感受性を高めるソラレンという成分が含まれています。そのため、これらの食品を日中に摂取すると、シミや色素沈着の原因になります。朝にビタミンCを摂取するなら、トマトやパプリカ、ブロッコリー、赤キャベツなどソラレンを含まない食品を選びましょう。
〈美白コスメは有効成分で選ぶと良い〉
A.場合によります。成分の種類だけでなく、濃度や安全性、使い心地などもポイント。成分が同じでも、商品によって配合濃度や、基剤などが異なります。迷ったら、しっかり安全性テストを実施している大手メーカーの商品から試すと良いでしょう。
〈ボディ日焼け止めは服から出ているところのみでOK〉
A.ウソ。紫外線は素材によっては服の隙間からも侵入します。また、動いていると胸元などから紫外線が入りがちです。服を着る前に広範囲にUVケアをしましょう。
〈美白コスメの効果が出るには最低でも1~2ヶ月必要〉
A.ホント。肌のターンオーバーは平均すると28日。ターンオーバーとは、表皮の基底層で生まれた細胞が角質となって剥がれ落ちるまでのサイクルのこと。効果をみるには1~2巡するまでがひとつの目安です。
毛穴ケア編
〈お風呂の中で毛穴を開かせてからクレンジングすると、奥の汚れまで落ちる〉
A.場合によります。体温が上昇し、汗で浸軟すると角質が柔らかくなり、汚れが落ちやすくなりますが、気温が高い夏の時期は不要かもしれません。
〈毛穴の詰まりはこまめに指で押し出した方が良い〉
A.ウソ。無理に押し出すと、皮膚を傷つけます。入浴後などに自然に浮いてきた角栓を乳液を浸したコットンなどで、優しく取るのはOKです。
〈洗顔の時はTゾーンを丁寧に洗う〉
A.ホント。まずは皮脂の分泌量が多いTゾーンを中心に洗いましょう。ゴシゴシこすり洗いはNGです。朝晩の泡洗顔を心がけましょう。
〈温冷タオルを交互に当てると毛穴が開いて引き締まる〉
A.ウソ。何度も温冷刺激を繰り返すことで、むしろ毛穴の状態が悪化してしまう可能性があります。より毛穴が悪目立ちしてしまうことも。温冷刺激は血行が良くなるので、むくみや青グマには効果が期待できます。
皮脂ケア編
〈1日のベタつき、汚れが気になるので、帰宅したら即メイクを落とす〉
A.ホント。肌の上には想像以上に汚れや皮脂が付着しています。1日過ごした肌は、皮脂や汗だけでなく、大気汚染物質や黄砂なども付着し、放っておくと肌トラブルの原因になります。
〈ベタつきやすくなるので、夏のスキンケアではオイルを使わない〉
A.ウソ。適量を守れば問題ありません。最近はさらりとしたものもあるので、使用感が気に入ったものを選びましょう。
〈皮脂が気になる時は1日何度も洗顔する〉
A.ウソ。夏でも朝と夜、1日2回でOKです。皮脂が多い10代や男性なら3回目までOKですが、その他の方は洗いすぎによる肌の乾燥が心配です。ただ汗は刺激になるので、こまめに拭き取って清潔な肌を保ちましょう。
〈夏は皮脂がたくさん出るので、洗浄力の強いクレンジングで落とすべき〉
A.ウソ。皮脂の量は年間を通じてほぼ変わりません。メイクや肌の状態に合わせたクレンジング料を使うことが大切です。
〈スナック菓子を食べるとテカりやすいので控えきるべき〉
A.場合によります。実際は油ものと皮脂量との相違関係はありません。ただし、食べ過ぎは身体に良くないので、量は控えるべきです。
ニキビケア編
〈悪化しやすいのでニキビをつぶすのはNG〉
A.ホント。でき始めのニキビをつぶすのはNGです。膿がある時は中身を排出した方が早く治りますが、自己流では二次感染の恐れがあります。皮膚科で正しい処置を受けましょう。
〈チョコレートを食べるとニキビができやすくなる〉
A.ウソ。チョコレートとニキビの相関関係を裏付ける医学的根拠はありません。ただし、糖分を多く摂りすぎると、ニキビが増えるのは事実です。糖分の少ないチョコレートを選びましょう。
〈肌に負担をかけないように、1日何も塗らない日を作る〉
A.ウソ。紫外線はニキビ悪化の原因になります。スキンケアの一環として、日焼け止めは通年使用しましょう。刺激が気になるなら、低刺激のものをチョイスして。
〈生理前はニキビができやすい〉
A.ホント。生理前の黄体期は、皮脂の分泌を盛んにするプロゲステロンが増える時期。ホルモンバランスの変化でニキビができやすくなります。
〈ニキビ痕にならないよう、日焼け止めをしっかり塗る〉
A.ホント。炎症後の黒ずみは色素沈着によるもので、紫外線はこれを悪化させます。また、紫外線は新たなニキビも誘発するため、日焼け止めは必ず塗りましょう。
〈ニキビ痕には美白コスメを使うと良い〉
A.ホント。美白コスメはクレーター状ではない、色素沈着の強いニキビ痕に有効です。
〈ニキビに薬を塗り、絆創膏を貼って寝ると治りが早い〉
A.ウソ。医学的には無意味で、患部を覆っても治りは早くなりません。むしろ絆創膏によるテープかぶれの方が心配です。
勘違いケアはありましたか?正しいお手入れで、暑い夏も肌環境を整えて過ごしましょう。
是非ご一読ください。