雑誌『bis』2021年9月号(2021年7月30日発売)
特集 ‟食べたくなるような甘い肌になりたい♥Yummy skin"(P80~81掲載)に慶田院長の監修記事が掲載されました。
【自分の肌に合ったスキンケアを見つけるには?】
■ イメージだけで選ぶのはダメ。きちんと研究された商品を探すこと
今の若い女性はインスタなどの情報でコスメを選びがちですが、それだけでは化粧品の信頼性は計れません。選ぶ基準としては、販売会社にハイレベルな研究機関があり、香粧品研究者が基礎実験から安全性試験、臨床試験まで行っているかどうかです。資生堂や花王、ロレアル、ポーラなどの大手メーカーや大手製薬会社、クリニックで取扱う商品には、それぞれ研究データの裏打ちがありそれに基づき商品作りをしているので、信頼できる商品が多いです。肌が弱い人ほど、コンプライアンスを重視した企業姿勢の歴史のある敏感肌ブランドを選びましょう。自信をもって化粧品開発に取り組んでいる会社はホームページに研究ストーリーが書いてあるのでぜひチェックしてください。また、敏感肌用の製品は、各社が成分を独自に選別し制限しているので比較的安心です。
ただし、良い商品であっても全員に合う商品とは限りません。サンプルを使用して自分の肌に合うものを見つけていくしかないのですが、少なくともゆるっと作ったものとは違うので、選びやすさの基準になります。
皮膚科専門医の立場で申し上げると、化粧品はそもそも健康な素肌を保つ・守るためのものです。スキンケアの基本は、『洗う』『潤す』『紫外線対策』です。本来は、基本を正しく行うだけで肌を美しく保つことができます。また、肌質、年齢、性別、環境によって最適なスキンケアは異なります。モデルのAさんがイチオシの商品があなたに合う保証はありません。それどころか合わない化粧品を使い続けて、軽い皮膚炎を繰り返せば老化を早めることになります。くれぐれもイメージだけで商品を選ばないこと!正しいスキンケアをするならインスタを見るより、皮膚科の教科書を読んだほうが良いでしょう。なぜニキビができるのか、皮膚のバリアがどういうものなのか...それがわかればおのずと、するべきこととダメなことがわかります。
【みんなが気になるトラブルスキンQ&A】
Q.湿度はあるのに乾燥してる!対策はある?
A.水分を保てる乳液を薄く塗るとしっかり保湿できます。
手軽に持ち歩けるミストを使いがちですが、ミストに含まれる保湿成分は微量です。つまり、一瞬潤った感じがしますが、水分を抱える力がないので、肌に打ち水をするようにすぐ乾いてしまいます。ヒアルロン酸、セラミド、アミノ酸、グリセリンなど、肌内部の水分を保持する働きのある成分を含む乳液かクリームを小型の容器に入れて持ち歩くのがおすすめです。もし、汗をかいている場合は、濡らしたハンカチで優しく吸い取ってから乳液を薄くのばしてつけましょう。天然セラミドを主成分にした当院オリジナルの高機能保湿クリーム『セラミドバリアクリーム』(30g/¥5,000)は、水分保持力や抗炎症作用が高く、テクスチャーが良いので幅広い世代に人気です。
Q.効果的な紫外線対策は?
A.日焼け止めは重ね塗りをして、紫外線カットの服を着ましょう。
日焼け止めのSPFの効果測定試験では、塗布する規定量が2mg/㎠という決まりがあります。日焼け止めの効果を発揮するために、その通りの量を塗ろうとするとかなりの厚塗りになります。つまり、現実的に塗れる量は1/3~1/5程度の量になるので、効果も1/3~1/5程度になるということです。ですから、薄く塗り重ねて少しでも効果を高めることが大切です。レジャーなどで本当に日焼けをしないことを優先するときは、帽子とUPF50+のラッシュガードを着て、飲む日焼け止めも飲みましょう。日焼け止めは紫外線にあたると劣化していくので、見た目は崩れていなくても、2時間ごとに塗り直すのも大切です。
当院では、メラニン生成やDNA損傷から肌を守る『ヘリオケアウルトラD』(30日分/¥6,000)と、肌ぐすみの原因になる糖化も抑える『ソルプロプリュスホワイト』(30日分/¥5,000)のW使いが人気です。
Q.紫外線で焼けた肌の最適なスキンケア方法は?
A.使い慣れたコスメを使い、シンプルに保湿することです。
紫外線ダメージをなかったことにはできません。しかし、被害を最小限にするには、炎症の鎮静が鍵になります。ヒリヒリして痛い場合は軽いやけど状態ですので市販の消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)を飲み、冷湿布で冷やすか、濡らしたハンカチで保冷剤を包み炎症部分を冷やしましょう。ほてりが治まったら、クリームやバームなど、肌に浸透せず、皮膜効果のあるアイテムで保護しましょう。水分は染みることもあるので控えてください。ただし、冷やしても炎症が治まらない、痛みがひかない場合は、速やかに皮膚科医の診察を受けてくださいね。
Q.早く白肌に戻すにはどうすればいい?
A.肌のターンオーバーがあるので、ゆっくりしか再生しません
日焼け直後に新しい美白コスメを使うのはかぶれなどのリスクがあるので肌の弱い方は注意してください。日焼けしたときは肌を守ろうとしてメラニンが増えています。シミや肌老化を食い止めるなら、積極的に美白やエイジングケアを始める必要があります。日焼けの炎症が落ち着いたら、『ピコレーザー』『フォトフェイシャルM22』『ジェントルレーズ・プロ』でメラニン排泄を促すケアが効果的です。
bis読者は若いので、回復を高めるビタミンB2、B6、Cの内服とビタミンCやレチノール製品を塗るうちに、ゆっくりですが白く戻ってきます。当院では、医療機関ならではの高濃度純粋レチノール含有『ナノメッドVAエッセンス』(16g/¥6,500)が人気です。メラニンを含んだ古い角質を剥がれやすくし、明るくツルンとした新しい肌が生まれる力をサポートします。市販品より高濃度なので、敏感肌なら保湿クリームと1:1で混ぜて、1~2日おきの使用でも十分な効果があります。
Q.夏の体のかゆみを改善したい
A.ナイロン系の服はNG!吸汗速乾素材の服を着ること
ナイロン系など洋服が汗を吸わないと体に汗だまりができて、汗荒れの原因になります。また、熱がこもるとニキビが増えてかゆくなります。オフィスや自宅など涼しいところにいるならいいですが、暑い環境にいる時間が長い場合は、麻や綿、ガーゼ、吸湿速乾素材のもので、ゆったりとしたシルエットの服を選ぶのが大事です。
Q.マスクで肌荒れしないようにするにはどうすればいい?
A.マスクを外して皮膚の熱を下げるタイミングを作りましょう。
コロナ禍以前は、汗をかいても気化熱で水分が蒸発することで皮膚の熱を下げてくれましたが、マスクをしていると、皮膚の温度が下がらないのでどんどん汗が出て皮脂量も増えてきます。顔におむつをしているのと一緒です。乾燥性敏感肌の人は、汗荒れの状態で痒くなり湿疹系のマスク皮膚炎に、皮脂の量が多い人はニキビと脂漏性湿疹ができやすくなります。これを防ぐにはマスクを外し皮膚の熱を下げることが一番です。外したときは水で濡らし硬く絞ったハンカチでポンポンと汗を拭き、扇子などで風をあてるのが効果的です。
Q.肌にブツブツやザラザラができやすくなるのはどうして?
A.症状が軽いものなら市販のステロイド剤を塗ってください。
肘の内側や脇の下、バストや首など汗がたまるところに出るのは汗の刺激による湿疹で、日に当たるところにでるブツブツは紫外線による日光皮膚炎が多いです。症状が軽いものなら市販の弱いステロイド剤を塗ってみましょう。赤かったものが薄茶色になり、ザラザラも軽くなったら効いている証拠です。旅行中は、すぐに皮膚科に行けない場合も多いので、アレグラやクラリチンなど抗アレルギー薬と消炎鎮痛剤、ステロイドの外用剤を持っていくのが安心です。あせもやかぶれ、虫刺されなどは、ステロイドを塗って抗アレルギー薬を飲むと早く治ります。2日しても改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。
夏は肌にとって過酷な状態が続きます。なるべく肌トラブルを起こさないようにしっかり対策をしましょう。