雑誌『クロワッサン/croissant』No.1004 2019年9月10日号(8月24日発売 掲載ページP84~85)
特集「こんにゃくセラミドを取り入れて、肌のバリア機能を高めよう」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
季節の変わり目に肌の不調を感じるのは、"セラミド不足"が一因かもしれません。
【美肌を保つためには、"肌のバリア機能"を高めることが大切です。】
夏の間、強い紫外線や冷房などにさらされてダメージを受けた肌は、今の時季すっかりお疲れモードに...
いつもと同じスキンケアをしているのにも関わらず、吹き出物、赤み、かゆみなどを引き起こしたり、肌の不調を訴える人が増えます。また、以前はそうでもなかったのに、季節の変わり目になると、肌が過敏で不安定な状態に陥りやすいのは、加齢も一因です。こうした不調を感じやすくなるのは、表皮のいちばん外側で外界と接している角層の「バリア機能」が弱っている可能性が考えられます。
肌の潤いは、角層の表面を天然のクリームのように覆う「皮脂膜」と、角質細胞内でスポンジのように水を抱える「NMF(天然保湿因子)」、角質細胞間同士のすき間を埋めるように存在する「角質細胞間脂質(セラミド、コレステロール)」の3つの保湿因子で保たれています。
その中でも、特に細胞間脂質の主成分、セラミド(脂質の一つ)の働きは重要です。角質細胞間脂質の40~60%を占めるのがセラミドで、細胞同士をつなぎとめながら、その間に水分を挟み込むことでサンドイッチ状の層(ラメラ構造)を作り、バリア機能を支えています。セラミドは、角層の中でレンガのように並ぶ角質細胞同士を接着する、いわばセメントのような役割を担っています。このセラミドの水分を抱え込む力が強いと、肌内部の水分の蒸発が抑えられ潤いが維持でき、さらには外からの刺激物を中に侵入させないようはじきとばしてくれるのです。これが、肌に本来備わっているバリア機能です。
【夏の終わりに肌ダメージが顕在化する理由】
しかし、夏は紫外線やエアコンなどの、外部からのダメージが蓄積しやすい季節です。セラミドの量や質が低下することで、バリア機能が乱れ、少しの刺激で炎症などのトラブルを起こしやすくなりますまた、残念ながら表皮細胞の中で合成されるセラミドは、年齢とともに肌や体内から減少していきます。バリア機能の低下による微弱炎症は、敏感肌とは異なり一時的なものですが、そのまま放置して乾燥が悪化したり、間違ったケアで炎症を長引かせてしまうと、エイジングの引き金になり、シワやくすみにつながるので、「なんとなく不調な肌」を侮ってはいけません。
【セラミドはどうやって増やすのか?】
バリア機能の中心を担うセラミドや天然保湿因子などのバリア物質は、ターンオーバーの過程で自ら作り出していくものです。今まではそれらを補うのは化粧品という考え方が、基本でしたが、最近はカラダにいい食事やサプリメントなどからも補い、「自活力」を引き出すことが注目されています。ここ10年ほどの研究で、セラミドを経口摂取すると、角層の水分量などの改善効果あり、肌のバリア機能が高まることがわかってきました。年齢とともにセラミドが多い食品を意識的に摂って補うことが、肌を健やかに整え、美しく保つ上で有効です。
セラミドは、あらゆる生物に存在します。動物由来と植物由来があり、経口摂取でその量を増やすことが確認されているのは、植物由来のほうです。全身の肌のバリア機能を強化する働きが期待されます。植物由来のセラミドが豊富に含まれていて近年注目されているのが"こんにゃく芋"です。ただし、市販のこんにゃくは製造過程で含有部分が捨てられてしまうので「生芋こんにゃく」を選びましょう。
【セラミドの可能性】
セラミドを摂ると小腸から吸収・代謝されてスフィンゴイドという脂質の一種に変化します。それが皮膚に到達することで新たなセラミドを作り出しますが、食べたものがそのまま肌のセラミドになるわけではありません。体内でセラミドの合成に関係した酵素が活性化することが分かっています。要は、経口摂取すると、体の中にもともとあるセラミドを作る機能のスイッチを押されるということです。
皮膚の機能改善効果や保水性についてはここ10数年で研究が進み、がんの抑制、アルツハイマーの予防などセラミドが生体にもたらすさまざまな可能性に注目が集まっています。生芋こんにゃくを食べている日本一のこんにゃく生産県、群馬の女性は美肌だった!と、本誌には、群馬県で行ったある調査結果が掲載されています。
こんにゃく農家の女性のほうが、肌の水分を保持する力が高く、シワが少ない傾向にあり、こんにゃくセラミドが多い食品を日常的に摂ると、確かに美肌に効果があるということなのです。
手軽に補うなら、機能性食品としてセラミドを配合したドリンクやサプリメントなども発売されているので活用すると良いでしょう。ただし、セラミドだけを摂取すれば良いわけではありません。セラミド合成のスイッチを入れても他の材料が揃っていなければ、セラミドは生産できません。ターンオーバーにはビタミンB群やCも必要です。
【継続摂取のすすめ】
体内に必要な成分がいつもある状態をキープするためには、継続摂取が大切です。「美は一日にして成らず」今日摂ったのが明日すぐに反映されるわけではなく、数週間から1ヶ月後に結果が現れます。それも劇的ではなく、少しずつです。続けることで確実にいい状態が続くようになります。
とはいえ、ご自身で普段の生活習慣を整えないと、有効成分は効率よく働いてくれません。
基本は、質の良い睡眠を十分にとり、適度な運動で代謝アップを心がけ、バランスの良い食事ですが、サプリメントなどの健康食品も上手に利用して、外からと内からの美容習慣を始めましょう。
是非、ご一読ください。