雑誌『ELLE/エル・ジャポン』2019年11月号(9月28日発売 掲載ページP262~267)
特集「CORRECT!?ビューティー常識・非常識」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
良かれと思って続けていた美容法が、間違っていたとしたら!?意外と知られていない美容の落とし穴が、実はたくさんあります。ここで原点に返って何が正解で何が良くないのかを一刀両断!あなたの美容法は大丈夫ですか?
【その美容法があなたの"老け"を加速している!?】
今は、インターネットで大量の情報が流れています。そのなかには誤った美容情報も多いのが事実です。ネットの情報をそのままうのみにして、美容のためにやっている方法が、肌を傷つけて炎症を起こすきっかけとなることもあります。一見、肌によさそうと思える方法も、皮膚科学的には「やってはいけない美容」です。人やネットが「いい」といったケアをやみくもに取り入れるのは危険です。
【女医が一刀両断!この美容がダメな理由】
「化粧水を浸透させるために100回パッティングして入れ込む」
これはもはや都市伝説で、むしろ美肌の敵です。まずコットンでパッティングすることにより、その繊維が肌をこすってしまいます。手の力がどんどん加わることで肌の負担はますます増加します。さらにぬれた状態が長時間続くことで角層にある細胞間脂質が流れ出し、敏感肌に転びやすくなります。化粧水をつけるなら、両手にとってやさしくなじませるのが正解です。
「毎日、朝晩シートマスクでスキンケア」
スキンケアをシートマスクだけで済ませるなんてナンセンスです。まず保湿が足りないですし、シートを長時間つけて肌をぬらすことで水分が蒸散し、バリア機能が低下します。それに朝晩シートマスクを使っているということは大容量のものを使っているのではないでしょうか。それらは防腐剤がたっぷり!つまり肌に防腐剤も浸透させています。10分間のマスクで済ませるより、セラミドやアミノ酸などの保湿成分を含むクリーム一品でお手入れすることをおすすめします。
「肌をしっとりさせたいからスチーマーをあてています」
スチーマーの蒸気は保湿成分を含まないただの水です。浴びた直後は肌が潤って透明感も出ますが、玄関の打ち水のように時間がたつと蒸発してしまいます。使うのは自由ですが、スチーマーだけで肌が潤うとは決して思わないでください。肌をしっとりさせたいのなら、セラミドなどが入ったコスメを使うのが正解です。
「目元は専用のアイクリームできっちりとケア」
これは"やってはいけない"ではなく、むしろ"やってほしい"のですが、マストではありません。というのもアイクリームと普通のクリームの違いは密着度と機能成分の差。普通のクリームでも目元に密着するように2~3度重ね塗りすればなんの問題もないのです。ただ抗シワ効果などを求める場合は、専門のアイクリームを使用しましょう。
「ローションをしっかり浸透させてから美容液を塗っています」
前のアイテムが肌に残っているのに次のアイテムをつけると肌の上でまざって気持ち悪いかもしれませんが、美容的にはなんの問題もありません。ただ少し浸透させてから次をつけたほうが心地よいのは確かです。最もやってはいけないのは、ローションをつけたあとに長時間放置することです。ローションの水分と一緒に肌の水分も蒸散してしまいます。
「肌が乾燥しちゃうから朝洗顔はしません」
『洗いすぎ→肌が乾燥する』からと、朝洗顔をしない人がいます。特に朝はぬるま湯ですすぐだけという人も多いようですが、皮脂がまったく出ない人以外は、朝も洗顔料を使うほうがベターです。なぜなら皮脂はぬるま湯では落とせないので、そのまま肌の上で酸化し、肌に刺激を与えてバリア機能を乱し、むしろ乾燥を招きます。ちなみに夜のスキンケアで使用したコスメの油分も朝には酸化しています。そう聞いたら洗わずにはいられませんよね。
「美容と健康のためランニングをしています」
美容のために走るのはおすすめできません。というのもランニングは老化を加速させる要素がたくさんあります。まず、紫外線を浴びることでシミやたるみの原因に。そして振動によってバストを支える靭帯が伸び、また全身の弾力線維がダメージを受けることで顔も体もたるみが進行します。体内では活性酸素が増えて炎症の原因になります。走るのが趣味、ストレス解消になるという人は続けてもかまいませんが、紫外線の影響が少ない夜をおすすめします。
「クレンジングオイルは肌に悪いので絶対に使いません!」
確かにオイルクレンジングが出始めた頃は、品質に問題のある製品もあり、それが原因で肌を荒らしてしまった人も多かったかもしれません。でも今、市場に出ているクレンジングオイルは洗浄力も確かなうえ、ノンコメドジェニックテスト済みです。むしろミルククレンジングで毛穴に汚れが残っているほうが肌に悪いと思います。
「メイクはクレンジングマッサージで丁寧に落とします」
クレンジング料は洗浄力が高く、メイクと一緒に肌に必要な潤いを奪ってしまうこともあります。だから『毛穴の汚れを落とすため』、『リフトアップさせるため』とマッサージしながら肌の上に長時間のせていると、どんどん乾燥が進むことになります。クレンジングは肌にのせてから1分以内を目安にすすぐ、と肝に銘じましょう。
「美容オイルを使っているから保湿は完璧!」
オイルだけでスキンケアを済ませる人がいますが、それでは保湿が足りません。オイルには水分の蒸散を防いで柔らかく保つ『エモリエント』効果はありますが、潤いを保ったり作るように働きかける『モイスチャライザー』ではありません。オイルを使ってもかまいませんが、両方の効果があるクリームも必ず使いましょう。
「小顔のために毎日コロコロ ローラーを使用」
私が全力で止めたい美容習慣のひとつです。皮膚をぐっとつかんで引っ張ることで、肌のハリをつかさどるコラーゲン線維が伸び、切れやすくなります。つまり、小顔になるどころか、やればやるほどたるみを促進してしまうのです。でもリフトアップ目的ではなく、むくみ解消のために短時間、軽く転がす程度ならOKです。ただし週2回が限度です。
【正しい美容法はどうやって見極める?】
まずコスメは、社内基準が厳しいブランドのものを選ぶことです。安全性が高いので信頼できます。そしてブランドが提唱する使い方を守りましょう。コスメはあくまでも肌の健康を保つものです。なにかトラブルが起きたときは自分で治そうとはせず、美容皮膚科で治療を受けることが正解です。
【肌を守る正しいスキンケアを知ろう】
無人島に持って行くなら、日焼け止めとやさしい洗顔料、そして保湿クリーム。この3アイテムさえあれば肌を最低限守れることができます。逆にひとつも欠けてはならないと肝に銘じてください。
塗り残し厳禁!最高値をまんべんなく2度塗りしましょう。
老化の8割は紫外線によるものです。日焼け止めはSPF50+・PA++++の最高値のものを一年365日マストと心得ましょう。塗っていないところは必ずダメージを受けます。塗り残しはないか必ず確認をしましょう。量が少ないと意味がないので、一度塗って乾かしてから、もう一度重ね塗りするとよいでしょう。
<洗顔>
短時間で落ちるのに"つっぱりゼロ"を選んで。
洗顔時のマッサージやこするなどのアクションはできるだけ避けましょう。そのためにはしっかり泡立て、泡のクッションで洗うようなイメージをもちましょう。最初から泡で出てくるタイプもおすすめです。そして肌はぬれている時間が長ければ長いほどバリア機能が低下します。汚れが短時間で落ちる洗浄力が程よく高いものを選びましょう。
<保湿>
優先すべきはクリーム、それも2度づけがマスト。
クリームさえしっかりつけていれば肌の保湿は十分です。でもそれだけだとなじみが悪い場合は、ローションや悩みに合った美容液などをプラスしてもよいでしょう。ローションはコットンを使わずに手で2度づけしましょう。そしてクリームは細かいところは人差し指ではなく薬指を使い、2度づけします。いずれのアイテムも顔からデコルテまでつけることが大切です。
詳しくお知りになりたい方は、『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)をお読みくださいね。