ヘルスケアアプリ『FiNC』2019年11月22日更新
特集「肌の乾燥トラブルにご用心!アノ原因は乾燥だった!?」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
気温も湿度も下がり、肌のカサつきに悩まされる季節。
実はそのカサつきを放っておくと、様々な肌トラブルや肌の老化を招いてしまいます!
【肌の乾燥を放っておくと老化が進む!?】
肌が乾燥するということは、肌のバリア機能が低下するということです。単に潤いがないというだけでなく、水分を抱え込むことができなくなるので、潤いがどんどん逃げていきます。
バリア機能が壊れると、外的刺激を受けて炎症が起きやすくなります。炎症によって肌の老化も進んでしまうので、注意が必要です。肌に水分を抱え込めない人は、秋冬になると湿度の低下に伴ってさらに潤いが失われていき、より乾いてしまうというスパイラルに陥ります。
【肌の老化は炎症から引き起こされる】
炎症と聞くと、肌が真っ赤になったり、皮がむけてしまうような状態を思い浮かべるかもしれませんが、そういう誰が見ても炎症だとわかるような症状だけではなく、顕微鏡レベルの"微弱炎症(微小炎症)"という軽微な炎症も老化を促進することがわかっています。シミやくすみといった症状を引き起こしたり、キメが壊れて毛穴が目立ったりすることもあります。さらに炎症を繰り返すと肌は真皮や表皮の構造が変化してくるので、シワも出てきます。乾燥すると肌を守ろうとして角層が厚くなるので、そこに皮脂が詰まってできる大人ニキビも挙げられます。
◇あなたの"潤い力"をチェック!◇
1つでも当てはまる人は、意識してケアをしていく必要があります。
・洗顔後、数分で肌がつっぱる
・午後になると目もとや口もとがカサつく
・夕方にシワが目立つ
・日に焼けていないのに肌がくすむ
・メイクのノリが悪い
・化粧品をつけるとピリッとした刺激がある
洗顔後10分以内につっぱるということは、肌に自ら潤う力がないということです。また、洗顔料の洗浄力が強すぎる場合、長時間洗い過ぎ、擦りすぎなどの場合もあります。
朝しっかりと保湿をしているのに、夕方に粉をふいたりシワが深くなったりするのも、乾燥症状が加速している可能性があります。角層の水分量が低くなると透明感が失われるので、肌のくすみも乾燥からくるサインの一つです。
【肌を乾燥させないためには『角質細胞間脂質』が重要】
表皮の最も外側にある角層のバリア機能を正常に保ち、肌の潤いを守るためには、『角質細胞間脂質』、『皮脂膜』、そして『天然保湿因子(NMF)』の3つがカギになります。中でも要となるのが『角質細胞間脂質』だと言われています。
角層の水分保持の80%を担っているのが、セラミドに代表される角質細胞間脂質です。角質細胞同士を接着しつつ、水層をはさみながら隙間を埋めて、水分蒸発を防ぐ構造になっています。この角質細胞間脂質が足りないと潤いを抱え込めなくなり、乾燥するだけでなく、花粉やホコリなど外的刺激が表皮に入り込み肌荒れなども起こりやすくなります。
皮脂不足も乾燥の要因にはなりますが、水分保持に限っていうと、実は皮脂膜のお役立ち度は低いです。角質細胞間脂質が十分にあった上で皮脂膜がきちんとあれば、天然のクリームのようになってバリア力が高まりますが、皮脂だけ多くてもダメなのです。それどころか、酸化した皮脂は角層の刺激になり、キメを悪化させます。
【乾燥させないために!今すぐ見直せる生活習慣は5つ】
肌を乾燥させないために、生活習慣はとても大切です。食事、睡眠、排泄、運動習慣、ストレスコントロールの5本柱は、ぜひ見直してください。この5つは互いに影響しあっています。
肌は睡眠中に再生されますが、肌がその再生工場だとすると睡眠時間は工場の稼働時間です。食事は再生するための原材料、排泄の乱れや運動不足は物流が滞ってしまうということです。ストレスがかかると食事の消化吸収や巡りも悪くなるので、こちらも滞りの一因になります。
【バランス良く食べて、睡眠の質を向上!】
健康あっての美肌なので、食事で最も大切なのはバランスです。その上で意識して摂取したいのは、たんぱく質やビタミンC、亜鉛や鉄分などです。抗酸化力という点でいうと、カラフルな野菜や果物も効果的です。また、角質細胞間脂質の原材料はコレステロールなどの油なので、油はしっかりとりましょう。植物系、動物系、魚系など色んな油をとることが必要ですが、ラードやサラダ油は外食や加工食品から自然ととれるので、青み魚やエゴマ油などオメガ3系の油を積極的にとるのも◎。良質な油を適切量とると肌が潤うだけでなく、血液がサラサラになるなど体全体にいい影響を及ぼします。
睡眠に関しては、7時間は欲しいところです。現代女性は、22時~2時のいわゆる"肌のゴールデンタイム"に寝るのは難しいと思うので、睡眠の質を上げることを大切にしてください。入眠前にテレビやスマホなどを見ない、興奮したりイライラしたりしない、温度も寒すぎず暑すぎない快適な環境を作り、薄暗くして寝るのがおすすめです。
【排泄=腸内環境を整えるにはヨーグルトを摂取】
皮膚と腸内環境はつながっていて、便秘の人はそうではない人と比べて角層の水分量が低いことが実証されています。そこでカギになるのがヨーグルトです。1週間食べ続けると便秘が解消されてきて、さらに続けると4週間で角層の水分量が上がってきちんと潤える状態になったとの報告があります。ぜひ習慣づけてください。腸活のためには、発酵食品も効果的です。納豆や味噌、甘酒やキムチなど、少しずつでいいので毎日食べるのがいいでしょう。
運動は、筋肉をつけることで体温を高く保つ役割があり、体内の巡りを良くしてくれます。またストレス発散にもなるので、適度な運動習慣を心がけましょう。トレーニングのしすぎは逆効果になることもあるので、ほどほどに。
過度な緊張は、栄養素の吸収や巡りを低下させて肌の再生を妨げるので、ストレスとの付き合い方も重要です。温めても手先が冷えるといった症状は、精神的ストレスが大きいと考えられます。
体の内側から潤える環境を生み出すのが、美肌の第一歩です。
まずは肌を乾燥させる生活習慣を繰り返していないかを見直し、潤える肌土台を作りましょう。
ご参考にしていただければ幸いです。