雑誌『美的GRAND』2019年vol.3(3月12日発売 掲載ページP26~29)

特集「肌悩み多きグラン世代、トップに上がるのは断然、肌色問題『シミ・くすみ・肝斑』放っておく程、取り返しのつかないことに!」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

女性は40歳を過ぎると、代謝の衰えやホルモンバランスの変化から、美容にまつわる数々の悩みと直面することになります。そんな女性たちに本誌が取材を重ねてわかったのは、ちょうど30代後半くらいから、シミやくすみといった肌色の悩みが顕著になってくることです。それは40代でますます色濃くなり、両頬にモヤモヤとした肝斑まで出現してしまうことも...!UVケアはそれなりにしている人も多いのに、なぜ?その理由と対策をご紹介します。

【3大肌色悩み「シミ」「くすみ」「肝斑」制するは、その正体を知ることから】
年齢的にも過去の美容習慣を鑑みても、アラフォーは避けて通ることが出来ない、3つの肌色問題があります。

◎40代は、目立つシミがどんどん増える世代
シミには様々な種類がありますが、40代以降に増えていく、または濃くなっていくシミの多くは、紫外線によるものです。日焼け止めを塗っているのになぜ?そこには肌の性質による"カラクリ"がありました。

【シミ】
◎蓄積ジミの3大原因
☑紫外線ダメージの蓄積
紫外線のダメージは時間がたってもリセットされず、肌に蓄積されます。幼少期からの積み重ねでシミができるのは免れないので、後はどれだけ目立つシミを増やさないかが勝負です。

☑刺激や炎症
肌は紫外線だけでなく、こする刺激やニキビなどの炎症によっても、ダメージから細胞を守るためにメラニンを作ります。加齢した肌は刺激に弱く、かつ代謝が衰えているので、メラニンがいつまでもとどまり、シミとなります。

☑抗酸化力の低下
紫外線を浴びると肌の中で刺激となる活性酸素が発生しますが、若い肌は高酸化力が高いのでダメージをリセットできます。加齢によって高酸化力が衰えると、シミができやすい肌環境になります。

<浴びる紫外線の許容量は、20歳前後で既に超えている!>
人が紫外線を浴びたとき、肌に色変化が出る紫外線量をMED(最小紅斑量;Minimal Erythema Dose)という単位で示します。1MEDは肌質によって異なりますが、平均的な日本人の場合、紫外線B波を約20分浴びた量になります。このダメージは肌に蓄積していき、4000MEDを超えるとシミができると言われています。子供のころに浴びた紫外線量を考えると、遅くとも20歳を過ぎれば誰でも4000MEDに達しています。
とはいえ20~30代はそれほどでもないのに、40代になると急にシミが目立ち始める理由は、肌や体にあります。シミは単体の色素ではなく、無数のメラニンの集合体です。若い肌にもシミ自体はあるのですが、色素の量が少なく、ごく小さいので見えないのですが、年を重ねてメラニンの量が増えると、シミとして濃く現れるようになります。さらに加齢によって体の抗酸化力も落ちているので、紫外線を浴びるとメラニンが発生しやすくなります。
紫外線以外にも、ニキビ痕やこするなどの刺激がシミになりやすいという面もあります。加齢によって肌の抵抗力や代謝がおち、炎症後色素沈着(ニキビ痕の黒ずみ)になりやすかったり、残りやすかったりするのが、40代以降の肌の特徴です。

『シミ』治療 


【くすみ】
◎大人のくすみは、原因も色もさまざま
目元の色ムラや顔全体のどんよりした印象、黄みっぽさ、赤ら顔など、大人のくすみはその出方が多岐にわたり、原因もそれぞれ異なります。どれかひとつだけでなく、複数が絡み合っている人もいます。

●黄⇒糖化ぐすみ
食事でとった糖や炭水化物が肌の中のコラーゲンが線維などに絡みついて変性。パンが焦げるような状態で、黄色っぽくなり、固く弾力を失います。血糖値急上昇や飲酒、紫外線などにより糖化しやすくなります。

●赤⇒炎症ぐすみ
アラフォーを過ぎた大人の肌はデリケートに傾きやすく、ちょっとした肌への刺激にも反応して赤ら顔になったり、酸化した皮脂で炎症が起こりやすくなり、透明感がダウンします。

●茶⇒蓄積ぐすみ
そもそも目元は肌が薄く敏感な部位。化粧やクレンジング、目周りの痒みなどで、こする刺激により、長年の微炎症が積み重なると、茶色く色素沈着して色ムラが目立ちます。古い角質の蓄積によっても、茶色っぽくくすんで見えます。

●青⇒血行不良ぐすみ
老化によって血行が悪くなると、くまが目立ったり顔色が悪くなったりします。若い頃はほんのりピンクがかっていた肌が青白く変化したら、それは血行不良が原因です。

<やっかいなくすみ。でも原因がわかれば解決法は必ずある>
40代以降の肌は、日々の刺激による小さな炎症の積み重ねや古い角質の蓄積など、不要なものがたまっている状態です。それが、くすみとなって現れます。例えば大人の目元の茶色い色ムラは、メイクツールやクレンジング、目をこすることなどで刺激し続けたことによる色素沈着です。また加齢によって代謝が落ちると古い角質がたまりやすくなるので、顔全体が茶色っぽくくすんだ状態になります。
頬や小鼻の赤みも肌の印象をくすませる大きな要因ですが、これは加齢によって肌が過敏になると起こりやすくなるものです。そして40代以降に多くみられるのが黄ぐすみです。糖質過多の食事を摂っていると、余った糖が肌のたんぱく質と結びつき、AGEs(糖化最終産物)に変わります。白かったコラーゲン線維は黄色っぽく固く変質し、黄土色にくすんで見えます。
どれも加齢が絡んでいるので自力での改善は困難です。ひとつだけ救いがあるのが血色不良による青ぐすみです。40代が特に貧血になりやすいというデータはなく、血行不良の原因はほとんど睡眠不足と過労です。仕事の効率化のためにもきちんと睡眠をとることを心掛ければ、青白さは徐々に解決するはずです。

『くすみ』治療

【肝斑】
◎両頬のモヤモヤは、モルモンバランスが乱れる40代から
頬やフェイスラインにポツンとできるシミとは違い、頬にモヤモヤと広範囲、かつ左右対称にできるシミが「肝斑」です。30代半ばから40代にかけて多く、きっかけとなるのはホルモンバランスの乱れです。妊娠中やピルの使用などでも濃くなります。

【肝斑の主な原因】
☑ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンには"卵胞ホルモン"と"黄体ホルモン"があり、このバランスが乱れることで肝斑が発生します。黄体ホルモンが優位になる妊娠中は、肝斑が濃くなりやすい傾向があります。

☑紫外線ダメージ
肝斑がある肌の状態は、黄体ホルモンによってメラノサイトが刺激され、内部で弱い炎症が起こっています。そのため、紫外線による刺激を受けることでより悪化してしまいます。

☑こする刺激
メイクのときスポンジやブラシで強くこすったり、また毎日の洗顔やスキンケアで頬骨の高い部分をこするクセがあったりすると、刺激で炎症を生じ、肝斑が悪化してしまいます。

<ホルモンバランスの変化だけでなく、紫外線やこする刺激も原因に>
肝斑は30~40代に最も多いシミで、閉経後はほとんどの場合、目立たなくなります。妊娠中に濃くなるシミとして知られており、また1か月の中で濃さが変動するというケースもあります。これらのことから、肝斑の原因が女性ホルモンのバランスの変化であることは明らかです。
女性ホルモンには"卵胞ホルモン"と"黄体ホルモン"があり、黄体ホルモンが優位になるとメラニンを作るメラノサイトを刺激して、シミが出来やすくなります。
とはいえ、体の中だけが原因とは言い切れません。肝斑で通院する患者さんを長年診ていると、紫外線によって濃くなったり、メイクやスキンケアのときこすりすぎても悪化します。また、トラネキサム酸という炎症を抑える飲み薬が効果を示すことから、肝斑のある部位では肌に炎症が起きています。シミ・くすみ、肝斑の原因が明らかになったところで、肌色トラブルを感じさせない、血色良く生き生きとした肌を作ること。白桃のようにふっくらみずみずしくて、ほんのりピンク色。そんな肌を作るスキンケアをしましょう。

『肝斑』治療

是非、ご一読ください。

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