雑誌『kiitos』2021年8月号 (2021年6月23日発売)
特集『汗トラブルにご注意を!』(掲載P36,37)に慶田院長監修・取材記事が掲載されました。
本格的な夏になると汗によるかゆみや湿疹としての"汗あれ"トラブルが急増します。
汗あれ状態にならないよう、日常の汗ケアにも気などをつけましょう。
【大人の汗によるトラブルの多くがあせもではなく"汗あれ"】
夏になるとひじやひざ、首の内側、ブラの下などがかゆくなったり、ブツブツと湿疹状態になったりする人が増えます。あせも(汗疹)だと思う人もいますが、大人の場合ほとんどの人が"汗あれ"です。
<あせもと汗荒れの違い>
♢あせも...汗腺がつまって皮膚が炎症を起こしている状態で、汗腺の部分に白く透明な水泡や赤いブツブツ(汗疹)ができますが、かゆみは少ないことが多く、汗腺の数は大人と一緒なのに対表面積が小さく発汗量が多い子供に好発するのが特徴です。
♢汗あれ...汗が蒸発した後に残る塩分やアンモニアが皮膚を刺激して炎症を起こしている状態で、汗によるかぶれ(刺激性皮膚炎)のことを言います。バリア機能が壊れ、汗腺の部分だけでなくまわりにも炎症が広がり、ピリピリとした痛みやかゆみを感じます。また、子供の頃に治っていたアトピー性皮膚炎が汗刺激によって再燃することもあります。
汗をかいたままにしておくと、汗が蒸発して汗あれの原因物質が皮膚に残るので、日常のケアで炎症が起きないようにするのが最善です。
■基本の汗ケア
①汗をかいたらすぐに拭き取る
かいた汗をほうっておくと細菌によって分解され、ニオイのもとになります。
吸水性が高いタオルなどで早めに拭き取る習慣をつけ、洗い流せるときは水で洗い流すようにしましょう。肌が弱い人は濡れたハンカチなどで優しく押さえるように拭くのも効果的です。
そして、帰宅後はすぐに汗を流しましょう。身体の芯まで温めるためにもぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。ただし、汗あれしている場合は温まりすぎると痒みが悪化するので、サッと入るだけにしましょう。
汗をかくと角層が厚くなり、肌がごわつきやすくなりますが、過度な角質ケアは逆効果です。その刺激が原因で乾燥を招いたり、肌に炎症が起こることもあるので、ごしごし擦り洗いは避けてください。
また、寝汗をかく夏場は、朝のシャワーも効果的です。ただし、洗浄剤を頻繁に使うのも乾燥の原因になるので、皮脂量の多い顔など以外はお湯だけで流しましょう。
②下着は汗を蒸散しやすいものを着る
女性はブラジャーのワイヤーが当たる胸のアンダーラインのあたりやショーツなどの締めつけ部分も汗あれがひどくなりやすいので、汗を吸いやすく乾きやすい素材の下着を身につけることが大切です。コットン100%やシルクなどできるだけ肌にやさしい素材を身に付けましょう。シルクは、肌に触れた時もひんやりして熱がこもりにくい上、吸湿性が高く、過剰になると水分を放出してくれるので夏向きの素材です。線維が細く、肌あたりが滑らかなので、敏感肌の方でも安心して着用できます。
③余裕のある締め付けない服を選ぶ
服は、首元や袖ぐりが大きく開き、太めのパンツやふんわりしたスカートなど、あまり肌に密着せず、できるだけ余裕のある締めつけないデザインの服を着るようにしましょう。
風が通りやすい身ごろがふわりとゆとりのあるシルエットのほうが汗対策にも効果的です。
④汗をかく日は着替えを持ち歩く
汗を吸って濡れた下着をつけ続けることも汗あれの原因になります。下着や夏のトップス類はそんなに荷物にならないので、着替えを持ち歩き、潔く着替えるのも有効です。
⑤物理的に涼しくする
自宅では冷房を使用したり、水シャワーを浴びるなど冷やす方法が沢山あります。外出先なら冷房のきいたコンビニで5分過ごすだけでも汗が引きます。そして冷えた缶の飲み物を購入して、脇や首などの大きな血管がある場所を冷やして、体全体の体温を下げ、汗を引かせるのが手っ取り早い方法です。体温が下がらない限り汗が出続けます。
■保湿して肌バリア機能を高める
実は夏でも紫外線や汗の刺激によって肌の角層が傷みやすく、乾燥している人がたくさんいます。汗あれが起きるということは、肌のバリア機能が弱っている状態なので、まずはバリア機能を高める保湿のお手入れをしっかりと行いましょう。
ヒアルロン酸、セラミド、グリセリン、アミノ酸といった保湿成分を含むモイスチャライザー使ったお手入れは、角層のすみずみまで水分が行き渡り、油膜が水分の蒸発を防いでくれます。
また、夏場は身体の保湿をしないという人もいますが、冷房などで角層の水分量は下がっているので、ボディにも保湿剤を塗ったほうがいいでしょう。入浴後は肌のバリアを守る角層の細胞間脂質などが失われ、最も肌が乾燥しやすい状態に。顔は入浴後5分以内、身体は10分以内に保湿しましょう。
保湿力の高いボディクリームで肌バリアを高めることも汗あれの予防になります。
★おすすめのアイテム
『セラミドバリアクリーム』
天然セラミドを主成分にした高機能保湿クリーム『セラミドバリアクリーム』は、水分保持力や抗炎症作用が高く、しっとり感がありながら重すぎず塗り心地がよいので、顔から体まで全身に使用している方が多くいらっしゃいます
■汗荒れの症状が出ている時は刺激を極力避ける
汗荒れの症状が出ている時は、あまりいろいろな種類のコスメを使用せず、保湿力の高い1品で潤いを補うシンプルケアに切り替えましょう。
化粧水はしみることがあるので、肌に浸透せず表面で膜を作って保護してくれるバームやオイル状のアイテムがおすすめです。
★おすすめのアイテム
『メディコルスキンリピッド15/33』
皮脂と細胞間脂質を補い、肌をしっとり保湿してくれる『メディコルスキンリピッド15/33』は、刺激を感じにくいという患者様が多いです。万年ドライ肌の方はこってりと重めなⅡの補修クリームを最後に使うのがおすすめです。
『ナビジョン TAホワイトエマルジョンⅠ』
トラネキサム酸と資生堂の独自開発成分4MSKを配合した美白乳液で、炎症を抑える効果に優れています。メラニン色素の生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぎながら、みずみずしい潤いに満ちた素肌に導きます
本格的な夏になると汗によるかゆみや湿疹の"汗あれ"のトラブルも急増します。
汗あれ状態にならないよう、日常の汗ケアにも気などをつけましょう。
もし汗あれがひどくなってしまったら、スキンケアに頼らず早めに皮膚科医にご相談くださいね。