雑誌『美ST』2018年1月号(11月17日発売 掲載ページP82~85)
特集『これって私だけ?実は重症?意外と「40代あるある」でした 私、なんだかムズムズするんです』に慶田院長の監修記事が掲載されました。
明らかな炎症やカサカサなどのわかりやすいトラブルはないのに、ふとした時に肌がムズムズ。自然と落ち着くことも多く、おさまるからと見逃してきたけれど、この症状本当にこのままで大丈夫でしょうか?
実は40代の多くが抱えるこの症状は、肌の不調を知らせる大事なサインかもしれません。
美ST読者の方からもこんな声が...
「たまに感じるムズムズを放置するとカサカサになり、保湿をすると余計にかゆくなることもある。」
「顔も体もザワザワソワソワする感じ。季節の変わり目になると、こめかみや鼻のまわり、腕まで違和感があることも。とりあえず保湿をしてみるが、それで治るわけでもない。」
「原因がはっきりしないムズムズが2~4日くらい断続的に続き、その後赤くなることが。サプリメントを飲んだり、保湿を入念にして、しっかりケアをしているはずなのに...。」
「体調が悪い時や睡眠不足が続いて疲れたとき、乾燥した状態を放置してしまったときにムズムズを感じる。ただ翌日には治まっていることが多く、あまり深く考えたことがないが...もっと気にした方がよいの?」
ムズムズした頬などの赤みは微弱な炎症が進んでいるサインかもしれません。小さなニキビがでることがありますが、これも炎症の一種。ニキビがうっすら赤みを帯びていることもあります。
これらの密かに肌がムズムズする症状を、皮膚科専門医の慶田院長が解説しました。
〈皮膚科医に相談してみました「その症状は肌不調のサインです」〉
今回、読者の衛藤さまのお肌を、実際に慶田院長が診察しました。
=刺激を最小限に抑え、マメな保湿をこころがけて=
衛藤さまは、普段は化粧水とバームの簡単ケアで大丈夫なのですが、季節の変わり目や寒い日は、肌がムズムズするのが気になるとのこと。
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慶田院長はそのお肌を診て、角層が薄い乾燥肌と診断
「花粉などの物質刺激や乾燥が進行して、皮膚がムズムズしたり、赤くなったり、かゆくなることもあるかもしれません。ただ、もともとの肌質としてバリア障害はなさそうなので、湿疹にはなりにくいタイプ。シンプルなケアも肌質に合っています。たっぷりの化粧水で水分補給し、ヒアルロン酸やセラミド、アミノ酸などの水分を抱え込む性質の保湿クリームを常備、気になったらマメに塗りましょう。バームなどのエモリエント系保湿剤は肌表面に残ると、それが刺激になる場合があり、むずむずするときは避けるのが無難です。」
=「ムズムズ」の主な原因はこれ=
●バリア機能の低下
過剰なスキンケア、食生活の乱れ、睡眠や運動不足。複合的な要因でバリア機能が低下しているかもしれません。加齢でターンオーバーが遅くなり、角質層が乱れることが原因となることも。
●アレルギー
花粉などの外部刺激のほか、汗や皮脂、摩擦、化粧品が肌へ接触し、かぶれやアレルギー反応として現れることがあります。
●乾燥
40代で乾燥がない人はいません。美ST世代なら、まず乾燥の初期症状を疑いスキンケアから対処しましょう。化粧ノリが悪い、見た目にはわからなくても触るとざらつきを感じるなど軽度の乾燥にも注意。
●血流の低下
血行や代謝が低下すると、肌のターンオーバーが阻害されるだけでなく、真皮に栄養が十分届かなくなります。手足が冷えているなら、血行が滞っているサインです。当然最末端である皮膚にも血液が届きません。
●自律神経のトラブル
ストレスや睡眠不足、更年期障害などによるホルモンのアンバランス、自律神経の乱れや神経の伝達障害で、知覚の誤認を誘引することも。
●何らかの疾患
内臓悪性腫瘍や肝硬変、腎機能障害などでムズムズを感じることがあります。その場合は、皮膚の萎縮や強いかゆみなど、他の症状を併発するのが一般的で、軽いムズムズ感から疾患が発覚することは稀。不安なら血液検査を。
角層が整った肌は、外部からの刺激に耐えるバリア力を保持していますが、弱った肌はラメラ構造(角質層の重層構造)がスカスカ。刺激が奥まで入って炎症が起き、内部の水分も蒸発しやすい状態です。スキンケアで補う必要があります。
〈私の「ムズムズ」はどうすれば?〉肌のバリア機能を高めるために毎日やっていることを徹底見直し
=まずはスキンケアを1週間「化粧水とクリームだけ」に変えてみるべし=
●化粧水
刺激の少ない保湿剤で水分を重点的に補給
やるべきは適切な保湿のみ。機能性化粧水に含まれる成分は刺激になる恐れがあるため、保湿系化粧水で水分を適宜補いましょう。
●クリーム
ベタベタ表面保湿より、内側しっとりを目指す
バームやオイルより、水分を抱え込む性質のあるヒアルロン酸やセラミドなど配合のモイスチャーライザーがおすすめです。
=「落とすこと」に対してもっと繊細になるべし=
●たっぷりの泡でさっと洗いバリア物質を死守
過剰な洗顔は、天然保湿因子なども洗い流してしまう恐れがあります。たっぷりの泡を使ってこすらず洗いましょう。
洗浄剤を十分に泡立てたら、こすらず泡でなで洗いを。洗い流すときは、ぬるま湯を使い、手のひらでお湯のクッションをつくり、顔を優しく覆うようにしてしましょう。洗浄剤が肌に残らないように洗い流しもしっかりと。泡で出るポンプ式洗顔料を使うと便利です。
=つけるときも摩擦を極力避けるべし=
●間違ったスキンケアは、肌への刺激となり、炎症などの諸症状の引き金に。日頃からやりすぎに注意するのはもちろん、少しでもムズムズを感じたら、過剰なケアは控え、ともかく保湿を。もともとバリア障害がない健康肌なのに、いじり過ぎて自ら敏感肌を作っている場合もあります。特に美意識が強い人に多い傾向です。こすりすぎ、与えすぎはいくら強固なバリアも崩れてしまいます。
=ゴールデンタイムに寝るより、身にまとうものを変えれば快眠できる=
●肌のために睡眠を整えることはマスト。睡眠不足ではターンオーバーが乱れ、真皮のハリや弾力も低下します。
ゴールデンタイムに寝るより、睡眠の質を高める意識をしましょう。自由に寝返りが打てる環境に整えると深く眠れます。スエットやトレーナーではなく、締め付けのないゆったりしたパジャマや下着でリラックス。また部屋の温度は一定に。加湿をしていれば、エアコンはつけっぱなしでもOKです。寝る直前のスマホはもちろん、怖い映像や映画も入眠の妨げになります。毎日同じ時間にベッドに入り、6時間以上眠ることが理想です。
=セラミドの原料・ビタミンB2を効率的・積極的に摂る=
●食生活は肌状態に直結。特にバリア物質であるセラミドは、コレステロールから作られるので、良質な油やたんぱく質を意識して摂りましょう。また、たんぱく質の代謝にはビタミンB2やB6も不可欠です。
マグロの赤身はたんぱく質と、ビタミンB群を同時に摂取でき効率的。また、鮭や鯖の水煮缶も手軽でおすすめです。食事だけでは十分に摂りづらいのでサプリメントを活用すると良いでしょう。
=カラダを巡らせるには内側からしっかり巡らせる=
●乾燥や脂っぽさは冷えが原因のことも。食べ物や衣類で外から温めるより、自分で発熱する方が温まります。過剰な運動はビタミンを消費してしまいがちなので、肌のためには軽めのストレッチが効果的。
一過性のこととして自己処理するケースが多い症状ですが、異常を感じたら刺激をさけた適切なケアを。肌のバリア機能に異常が起きている可能性が大ですが、現代人特有のストレスや、運動不足、栄養不足なども関連している場合もあります。
まずは、スキンケアの見直しと、食事、運動、睡眠など生活習慣の改善を心がけましょう。
是非、ご一読ください。