雑誌『vikkaヴィカ』2016年6月号 (5月12日発売 掲載ページP118~125)

特集「TALK WITH MY SKIN-お肌と話そう-」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
Vikkaは「FUDGEファッジ」の増刊で、隔月発刊のファッション誌です。
最近、なんだか肌が冴えない...そういった肌の不調を感じることがありませんか?
毎日、毎月、1年ごとに、なんとなく肌の状態が変わっているような気がしているけれど、どんなスキンケアすれば正しいのでしょうか?そんな幅広いお肌のお悩みの解決策について解説しました。かなりボリュームのある特集になっています。

日本には四季があり、気温や湿度、肌に触れる外的要因は、365日変化するので、肌の状態が変わるのも当然のこと。肌は内臓の鏡といわれるほど、体の調子とも密接にかかわっていますが、ネガティブにならず、自分の肌と向き合っていきましょう。

まず、女性ホルモンとお肌の関係についてです。女性らしい体をつくり、妊娠を維持する女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)は、肌と密接なかかわりを持っています。エストロゲンがピークになる卵胞期は好調で、生理直前の黄体期後期は不調に。生理周期とともに肌の状態も変わるのです。つねにゆれうごく肌の状態を知るには、生理周期を知ることも大事なポイント。

エストロゲンは、卵巣から分泌され、真皮のコラーゲン繊維やエラスチンの合成を促進する働きがあり、肌のハリや弾力を保ち、シワやたるみを予防します。また、皮脂腺の働きを抑制する効果もあります。プロゲステロンは、排卵後に卵胞が変化した黄体から分泌され、プロゲステロン優位の黄体期には、エストロゲンの血中濃度が低下することやエストロゲンによって抑制されていた男性ホルモンの作用で、皮脂腺の働きが活発になり、ニキビや肌荒れが出来やすくなります。

女性ホルモンを味方につけて肌を健やかに保つには、まず自分の生理周期を知ること。生理周期は約25日~38日で個人差があります。基礎体温の流れから自分の女性ホルモンがどのように分泌され、変化しているのかを把握することで、ゆらぎがちな肌の状態も自覚することができます。□基礎体温を活用すると良いですね。
次に、環境の影響と生活習慣についてです。

肌が荒れたときは生活習慣を振り返ってみると、原因が見えてくることがあります。睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、運動不足などがあれば出来ることから改善していきましょう。季節の変化に伴って自律神経が乱れ、肌が少しゆらぐのは仕方のないことですが、基本的な生活習慣や適切なスキンケアで、環境の影響を受けにくい肌に導くことは可能です。

老化の原因は"光"が8割といわれています。太陽光による皮膚と眼の障害を光老化と呼び、皮膚ではシミ、シワ、たるみに加え、皮膚がんも生じます。眼では白内障や加齢黄斑変性のリスクがあり、紫外線を含む太陽光をしっかりカットして、シミやシワ、たるみなど、肌の老化を遅らせることは、日々のケアでとても重要なことです。
まずは紫外線についておさらいしましょう。UV-Aは地上の紫外線のうち約95%を占めます。肌深部の真皮まで到達するため、ハリや弾力を生むエラスチンやコラーゲンを傷つけ、シワやたるみを引き起こします。UV-Bは日焼けを起こす力がUV-Aの600~1000倍といわれ、メラニン色素を過剰に生成させ、シミやくすみを招き、乾燥やニキビの原因にもなります。
最近話題のブルーライトは、可視光線(目に見える光)の内、380~500nmと最も波長が短く、強いエネルギーを持つ光で、網膜の障害や日内リズムの乱れなどの原因になります。このうち420nmまでの短波長領域は、紫外線同様、皮膚の色素を増強する可能性が高いことがわかってきています。

加齢とともに感じる小じわ、たるみなどのエイジングサインに気がついたら、普段のケアを見直すタイミングです。エイジングサインの大きな原因はやはり紫外線によるシワやたるみ。また、肌のバリア機能が乱れ、乾燥した状態を放っておくと乾燥による小ジワが大きなシワになってしまうので、保湿は重要です。
バリアの要である角質細胞間脂質を守りながら、メイクや肌に付着した汚れを優しく落とし、化粧水で水分を与えてクリームで保湿する基本のケアをていねいに行いましょう。ダブル洗顔や強い洗浄料のものは潤いを奪うので避けてましょう。

肌のごわつきは、肌のターンオーバーの乱れが原因のひとつ。健康な肌は4~6週間で生まれ変わりますが、生活習慣や腸内環境などさまざまな要因で、周期が乱れてごわついた状態に。また、紫外線や保湿不足で角層の水分量が低下し、乾燥すると硬い感触になります。不十分な洗顔では、酸化した皮脂が刺激になって、角層の状態を悪化させ、かえって乾燥を招くこともあるので、洗顔は朝晩の2回が基本です。また、角質ケアを意識して、乱れがちなターンオーバーを正常のサイクルに戻しましょう。週に1回程度、酵素洗顔やピーリングで角質をオフし、ターンオーバーを整えるケアを行いましょう。古い角質といっしょに角栓などの毛穴汚れもとれて、毛穴の開きが目立たなくなります。

肌のくすみの原因は色々ありますが、血行不良で起こるくすみ、紫外線による影響で、大量に作られたメラニン排出がうまくいかなかったことによるくすみ、乾燥や古い角質の蓄積によるくすみが主なものです。血行促進と美白ケアの組み合わせで、くすみの改善が期待できます。

紫外線や喫煙などで発生する活性酸素は、肌の老化の原因になります。ビタミンA,C,Eなど抗酸化力のある成分を積極的に肌にとりいれましょう。肌の酸化を防ぐことで、シミやシワ、たるみ、毛穴の開きといった肌の老化トラブルを予防し、改善する効果があります。紫外線で発生する活性酸素は、表皮細胞のDNAを傷つけ、老人性いぼや皮膚がんを誘発します。また、メラニン合成が高まりシミが、コラーゲン線維とエラスチンが変性してシワやたるみが現れます。毎日のUV対策はエイジングケアの要です。

次に、大人の女性に起こりがちな肌あれに関する対処法や、日ごろのケアで知っておくべきことなど、肌をレスキューするための疑問についてお答えします。

Q厄介な大人のニキビはどうしたらよい?
A大人ニキビは、乾燥やストレス、紫外線などの影響で角質が厚くなり、毛穴が皮脂で詰って皮脂がたまることが原因です。乾燥や紫外線から肌を守り、しっかり睡眠をとるなどストレスを溜めないことが一番です。できてしまったニキビには、皮膚科処方のレチノイン酸の外用やフォトフェイシャル照射が効果的。刺激により悪化するので、自己流のケアは避けて、皮膚科医に相談するのがベストです。

Qできてしまったシミは消せる?
Aシミは、紫外線によるメラニン色素の過剰な産生が原因。美白化粧品によるセルフケアでは、くすみや肝斑は薄くできても、シミをゼロにするのは難しい。シミのように見えて、老人性いぼであることも多いのです。根本から消すにはレーザー治療に頼るべき。レーザー治療なら、シミやいぼが短期間で改善できます。専門医に相談を。

Q花粉や大気汚染も肌荒れの原因になる?
A外的要因から肌をバリアする花粉や大気汚染は、充分肌荒れの原因になるので、きちんとメイクをして花粉などの外的要因から肌を守ることも大切です。肌が健康であれば、それらを跳ね返すこともできます。バリア機能のある日焼け止めや化粧下地を使って、肌を守りましょう。

Q部分的に痒みやかぶれが、どうしたら良い?
Aこれは、乾燥によるバリア障害が原因かもしれません。基本の乾燥ケアでお話しした通り、朝晩の泡洗顔でメイクや外からの大気汚染物質などの汚れを落とし、その後は保湿をして、肌のバリア機能を守りましょう。とくに唇は皮膚が薄く、荒れやすい部分なのでリップクリームで保湿して守りましょう。

Qメイクをしていても気になる毛穴どうしたら良い?
A紫外線の影響で、角質が硬くなって毛穴が詰まったり、肌のハリを保つコラーゲン線維が劣化して、毛穴が開大したりして目立つようになります。ターンオーバーを整えるケアで毛穴の詰まりは改善することができるかもしれませんが、根本的な治療は難しいもの。毛穴の種類によっても解決法は違ってきます。特に年齢に伴うたるみ毛穴は、自力での改善に限界があります。美容医療にご相談ください。
「産毛毛穴」
毛自体が濃くて、うぶ毛の断面が黒っぽく見えて毛穴が目立つ。
「黒ずみ毛穴」
紫外線や触る刺激などで毛穴周囲のメラニンが蓄積して目立つ毛穴。過剰な皮脂分泌により、毛穴が詰まって表面が酸化して黒ずんで見えることもあります。
「たるみ毛穴」
30代以降に目立ってくる毛穴。加齢に伴い、皮膚がたるみ、重力により楕円形にたるんで見えます。

Q目の下にくっきり出来たクマは消せる?
Aクマの種類によって、ケア方法を変えましょう。
クマには大きく分けて3種類。目の下の皮膚を軽く引っ張ってみましょう。茶色がやや薄くなる場合は"茶グマ"。青みが消えない場合は"青グマ"。皮膚がよく伸び、影が薄くなる場合は"たるみグマ"。それぞれ原因や解消法が異なるので、まずはクマの種類を見極めることが必要です。
「茶グマ」
シミや炎症後色素沈着で茶色く見えます。紫外線の影響やアイメイクの刺激、クレンジングの摩擦による炎症が原因。紫外線から皮膚を守り、美白化粧品を使ったケアを。こすらないことが肝心です。
「青グマ」
下まぶたの皮膚が薄く、静脈血の色味が透けて青く見えます。寝不足やストレス、冷え、加齢などの影響で目立ちやすくなることがあります。睡眠や、血行を促すマッサージで一時的な改善することがあります。
「たるみグマ」
加齢による変化で生じたクマ。目の下にあるコラーゲン線維の劣化が原因となり、皮膚がたるむことで起こります。保湿効果の高いクリームを塗り、紫外線や抗酸化対策でたるみを加速させないようにしましょう。

Q生理前の肌への不調にはどう向き合うべき?
A生理前にエストロゲンが低下するとバリア機能も低下します。保湿を大事して、バリアを保つ肌を育てましょう。また、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンを積極的に摂るのもおすすめ。便秘に傾きがちなので、ヨーグルトなど発酵食品を食べるのも◎。体の中からアンチエイジングを心がけて。

Qからだの内側から肌をキレイにするために、どんな食生活を心がければいい?
A食事のときは最初に野菜を食べる"ベジタブルファースト" が美肌の基本です。血糖値の上昇をゆるやかにし、糖化リスクを抑えます。フィトケミカルをバランスよくとる"レインボー野菜(赤・オレンジ・黄・緑・紫・黒・白の7色)"や良質なタンパク質やオイル、発酵食品、海藻類をバランスよく摂り、抗酸化力や免疫力を高めるましょう。
体の主成分であるタンパク質は、肌再生に役立つ材料となります。不足しがちなタンパク質を大豆や魚、肉で上手に摂ると良いでしょう。オイルも美肌に大切な栄養素を含んでいます。オメガ3脂肪酸を多く含むエゴマ油や亜麻仁油がおすすめです。熱に弱いので、おひたしやサラダでいただきましょう。また、発酵食品と腸内環境を整えることで、肌荒れや乾燥が改善します。味噌や納豆、麹、ヨーグルトなどの発酵食品を数種類、毎日食べる習慣をつけましょう。腸内の善玉菌の活動を促進させて悪玉菌の繁殖を防ぎ、皮脂機能が改善することがわかっています。

からだの外からの肌ケアと、食事、睡眠、腸内環境の改善など、からだの内からのケアを習慣に!肌力アップを目指しましょう。
是非ご一読ください。

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