WEB『DIETポストセブン』(5月18日掲載)
特集「皮膚科医が教える正しいクレンジング|朝は水だけでOK?"メイクも落とせる洗顔料"の落とし穴も」に慶田院長の監修・取材記事が掲載されました。
【皮膚科医が教える正しいクレンジング】
クリームやオイル、W洗顔不要など、様々なタイプのあるクレンジングや洗顔料。種類が多すぎるし、今使っているものが自分に合っているかわからない、という人も多いと思います。ちゃんとポイントを見分ければ、より自分に適したものを選ぶことができます。クレンジングや洗顔料の選び方をご紹介します。
■クレンジングの正しいレシピ
クレンジングの見極めポイントは、
① 化粧品が乳化(クレンジングオイルを肌になじませたあと、少量の水を加えたときに色が白っぽくなるまでさらになじむこと)し、きちんと化粧を落としきれるか。
② すすいだときに素早く、きちんと全て流しきれるか。
以上の2点が重要です。つまり、クレンジング後に水で流したときに、「すみやかにメイクとともに全撤退!」となってくれることがポイントです。皮膚表面に残っていたり、成分が角層に浸透してしまうと、その後刺激になって肌荒れの原因になります。しっかり落として、さっといなくなるのが優秀なクレンジングです。
➢ クレンジングの正しい選び方&使い方
どのクレンジングを使ったらいいか迷っていたり、不器用でクレンジングが苦手だったり、いろんな方がいますが、比較的どんな人にもおすすめなのが「オイルタイプ」のクレンジングです。オイルタイプの正しい使い方は、肌に長時間つけずに、メイクが乳化したらさっと流すことです。30秒程度で乳化しますので、ぬるま湯でさっと流しましょう。
逆にいくらこすっても落ちないものは、クレンジングとして成立していないので、メイクが落ちにくいと感じるときは、手持ちの製品を見直すのもいいと思います。メイクが落とし切れているかは、拡大鏡で毛穴残りをチェックしてみてください。
➢ 目に染みるときは注意を
クレンジングは、目に入ると染みるものが多いですが、染みるのが怖くてぎゅーっと目をつぶってしまうと、落としきれないメイクが目の周りの黒ずみの原因になります。
50代以降の患者様で目のまわりのくすみに悩む方も多いのですが、美容医療でも、下まぶたはまつげのキワまでレーザーを照射できるものの、上まぶたの施術は難しいです。
なので、メイク残りによる色素沈着には特に気をつけましょう。クレンジングはできるだけ目に染みないものを選んで、まつげの間のアイラインまでやさしく丁寧に全部メイクを落としきる、ということが大事です。こちらも、きちんと落とせたかどうかは、拡大鏡で確認しましょう。
★当院おすすめクレンジング:『ナビジョンDRメーククレンジングオイル』
デリケートな肌に負担をかけずに、ファンデーションやマスカラ、日焼け止めなどの汚れをしっかり取り去るメイク落としです。つっぱり感のない優しい洗い上がりで、健やかな肌へ導きます。当クレンジングオイルは、資生堂から販売している医療機関専売商品のため、市販のものではありません。当院で取り扱いがあるので、ご購入の際はお申し付けください。
■クレンジング+洗顔料の"W洗顔"の正解は?
クレンジングで化粧を落とし、洗顔料で肌の汚れを落とす"W洗顔"。きっちり汚れを落とすために、と思っていると、意外な落とし穴があります。
➢ クレンジングのあとの洗顔は必要?
ダブルクレンジング不要なクレンジング剤で洗ったあとにしっかり洗顔してしまうと、バリア成分を落としすぎて乾燥しやすくなってしまいます。どうしても洗顔をしなければ気持ちが悪いという場合は、敏感肌用の"アミノ酸系"の洗顔料をよく泡立てて洗うといいですよ。泡を顔にのせたら、ゴシゴシこすらず、泡を軽く動かすようにするだけでOKです。
洗顔料は保湿剤が入っているものを選んだほうが、肌は乾燥しづらいという研究データがあります。また、昔の洗顔料は洗顔後に肌が突っ張るものが多かったですが、最近のものは洗ったあとに肌が突っ張りにくくなっています。「乾燥性敏感肌用」などと書いてあるものを選ぶといいでしょう。
➢ 洗顔はよく泡立てて!
洗顔の際に気をつけることは、よく泡立てることです。最近は泡立たないジュレタイプのものもありますが、泡立つものはできるだけ泡立てたほうが洗浄力が増し、使う洗顔料の量が少しで済みます。
また、朝の洗顔も水だけ洗顔ではなく洗顔料を使いましょう。寝ている間に分泌された皮脂や化粧油類は、酸化すると角層の刺激になるからです。やり方は夜と同様に洗顔料を泡立てたら顔にのせて、短時間泡を動かす程度に。ゴシゴシとこするのは厳禁です。
★当院おすすめ洗顔料:『アクセーヌ リセットウォッシュ 泡状洗顔料』
大切なのは「泡立てること」と上記しましたが、この製品は泡状洗顔料のため、プッシュするだけで理想的な泡が出るのでとても簡単です。弱酸性のきめ細やかな泡がお肌のバリアを守りながら汚れをしっかり吸着します。ザラつき・ゴワつき・くすみが気になる肌に、天然多糖類とグリコール酸の成分の効果で、余分な角質を優しくオフします。低刺激性・無香料・無着色・アルコール(エタノール)フリーで、敏感肌の方も安心してお使いできます。
■メイクも落とせる洗顔料はアリ?
クレンジングと洗顔を一度に済ませることができて、便利な"メイクも落とせる洗顔料"も出ていますね。医師の目から、どんなものなのか解説します。
➢ 肌が乾燥しやすい人には不向きかも
一日の終わりに簡単にメイクを落としたい、というときならば仕方ないと思いますが、肌にやさしい洗顔料で洗うよりも、メイクも落とせる洗顔料で洗うと刺激が強く、肌が突っ張ってしまう場合があります。十分に注意して、毎日の使用はできるだけ避けましょう。
そして、皮脂量が多い人はあまり影響がないかもしれませんが、肌が乾燥しやすい人は突っ張りやすくなっているので、メイクも落とせる刺激の強い洗顔料は向いていないかもしれません。商品によって洗い上がりが変わるので、乾燥やつっぱりを感じないものを選ぶことができれば、たまに使用してもOKです。
➢ 朝も使うと肌に強い刺激があるので避けて!
朝の洗顔にメイクも落とせる洗顔料を使ってしまうと、肌への刺激が強すぎます。朝の洗顔は夜の間に出た皮脂と、基礎化粧品の中に含まれる油分を洗い流すことが目的ですから、刺激の弱い洗顔料でさっと洗うことをおすすめします。
■便利なシートや、口コミで評判のものも解説!
顔を洗うのが面倒なとき、ついつい使いがちなクレンジングシート。さらに、口コミで評判のよい水の成分でできたクレンジング、ミルククレンジングについてもお話しします。
➢ クレンジングシート
クレンジングシートは確かにラクですが、緊急時だけにしておくのがベターです。乳化剤の力というより、ついつい肌をこする力でメイクを落としてしまいがちなので、角層にひどいダメージを与えてしまいます。
使うのならば、肌にシートやコットンを置いておいて、じわっと乳化させて、さっと動かすようにメイクオフすれば、比較的、肌への刺激は少ないです。できれば、シートやコットンで顔を拭いたあとに水で洗い流して、保湿クリームを塗っていただきたいです。そうすれば、洗浄剤が顔に残らずに済んで、保湿もできます。けれど、きっとそういうものを使うときって、かなり疲れていたり、酔っ払っていたりするときだと思うので、かなり難題ではありますよね...(笑)。
➢ 水の成分でできたクレンジング
水の成分ででき拭き取りタイプのクレンジングは、確かに"拭くだけ"の中では比較的肌にやさしく、洗浄剤ができるだけ肌に残らないように作ってあるものです。
そのため、肌の弱いかたでも刺激になりにくいですが、これもやはり拭いてこすることでメイクを落とすものなので、肌への負担は大きくなりがちです。こちらもあくまで毎日ではなく、緊急用にしておきましょう。
➢ ミルククレンジング
ミルククレンジングはマイルドで肌にやさしいと言われていますが、それはほぼ毛穴が見えないような、キメの細かく、毛穴落ち(ファンデーションと皮脂が混ざったものが毛穴に詰まること)しない人向けです。
そういった人はミルククレンジングのような洗浄力の弱いものでも、メイクがさっと流れ落ちるので問題がありません。けれど、肌に凹凸感があったり毛穴が開いていたりすると、ミルククレンジングだけでは毛穴落ちしたメイクが洗い流せず、逆に毛穴を目立たせてしまったり、肌に悪影響を与えたりすることがあります。
クレンジングによる肌への負担を心配するよりも、しっかりと化粧を落としきれないほうがダメージは大きいです。まずは洗浄力を重視、なおかつ肌が乾燥しづらいものを選びましょう。
クレンジングと洗顔はスキンケアのファーストステップ。ご参考になさってくださいね。