WEB『VOGUEGIRL』10月2日掲載
特集「美容医療の光と闇!? 気になるウワサを本音でクロストーク!」に慶田院長の監修記事が掲載されました。
かつてはバレないようにコソコソやるもの......というイメージだった「美容医療」は、今や史上最大の韓流ブームや美容YouTuberたちの出現で、ガール世代にとってもぐっと身近なものになりました。そこで今回は、美容医療に興味津々なガール世代代表のモデルXさんとVOGUEGIRLのアラサーエディターXさん、アラフォー美容ライターNさんの3人が、慶田院長とZOOMで座談。玉石混淆なネット情報に惑わされ、誤った選択をして後悔してしまわないよう、知っておくべき正しい知識から、あまり語られない業界ウラ話まで、たっぷりお話し致しました。
<参加メンバー>
◆モデルZさん
20代後半。肌もシルエットもまったく衰えは見られないが、美意識が高く美容医療は多数経験済み。万年乾燥肌&敏感肌で、みずみずしい透明肌が理想。
◆VOGUEGIRLエディターXさん
30歳の大台にのり肌のたるみによる大顔化に怯える日々とのこと。同世代の友人が急にキレイになったことに焦り、前のめりで美容医療についてリサーチ中だが、今はまだエステでのハイフしかできていない。
◆美容ライターNさん
美容業界歴15年。これまで数多くのクリニック取材。ただし、自身は脱毛とアートメイク以外の美容医療経験はほぼなし。40歳になってさすがに危機感がつのり、人生初のボトックスに挑戦。結果の早さに感動中。
【星の数ほどあるクリニック。"どこを選ぶか"が命運を分ける!?】
慶田朋子先生(以下、慶田):ガール世代のZさんは、この中でいちばんお若いのに美容医療経験が豊富なのですね!
モデルZさん(以下、Z):はい、肌をキレイにしたいし小顔にもなりたいし、美への欲が尽きません!セルフケアももちろん怠りませんが、大きな悩みに対して手応えを感じたいときは、やはりクリニックに頼りたくなります。
VOGUE GIRLエディターXさん(以下、X):モデルさんって、エステやクリニック側から「こんなメニューがあるのでやってみませんか」とか、けっこう売り込みがありますよね。
美容ライターNさん(以下、N):"無料体験にご招待しますので、インスタで宣伝してください"のような。技術力の高いクリニックやエステはたくさんあるけれど、それほどでもないのにインフルエンサーたちを通じて集客しようとするところもあるから、そういうトラップには気をつけないといけませんね。
Z:いろんな治療やトリートメントを体験してきて思ったのですが、結局クリニックとエステって、何が違うのでしょうか? 光脱毛とかハイフとかアートメイクとか、クリニックにもエステにも同じメニューが書いてある。やることが同じなら、費用が安くおさまるエステでいいかなと思ってしまいます。
慶田:確かに、料金表だけ見たらまったく同じだからわかりにくいですよね。ただ、ひとつ言わせていただきたいのは、クリニック用とエステ用とでは、マシンのパワーもランクもまるで違うということ。以前、エステの光脱毛に2年間通っていた患者さんが、私のクリニックで医療レーザー脱毛を受けたら1回でほとんど生えてこなくなった、なんてことがありました。エステで行われているのは、マイルドな光で毛量を整える光減毛です。使用するマシンの出力も医療用のレーザーと比較して格段に低いので、効果が出るまでに数年かかることもあります。
Z:そんなに違うんですか!?
慶田:安いからとエステで同じメニューを受けても、パワーが弱い分、効果が出るまでに何度も通わなければなりません。学生さんだと時間がたっぷりあるからまだわからないかもしれないけれど、大人になると時間こそ命であり、自由時間こそ人生。目先の安さに囚われると、自分の人生に与えられた貴重な時間を無駄遣いすることになります。そして、恐ろしいのが火傷などの事故です。皮膚科専門医がいて、どのようなトラブルにも対処できる安心感は何物にも代えがたいと思いますよ。1回ごとのリスクなども考慮しつつ、差額1万2万程度ならどちらの選択がベストなのか、よく考えましょう。
当院で脱毛に使用している『ジェントルレーズ・プロ』は、日本で初めて『医療レーザー脱毛』の効能で薬事承認を受けた医療機器で、デリケートゾーンなど、生理的に色素の濃い部位の脱毛も安全に短時間で照射できます。
【目先の安さや甘い言葉に要注意!あまり語られない悲惨な事例。】
X:クリニックって星の数ほどあるじゃないですか。口コミもイマイチ信用できないし、失敗事例もよく聞くし。信頼できるクリニックって、どうやって見極めればよいのでしょうか?
慶田:気になるクリニックを見つけたら、そこのドクターが信頼に値するかどうか、プロフィールをしっかりチェックしてください。形成外科もしくは皮膚科どちらかの専門医を基礎領域でちゃんと取得しているかどうかとか、論文をどのくらい発表しているかとか。この条件だけでもクリアしているドクターって、案外少ないんですよ。
N:専門医資格を持っていると、何が違うのでしょうか?
慶田:専門医の資格は、大学病院などでの60カ月以上の研修、手術何例以上、学会発表何本、論文何本などいくつもの課題があり、それをクリアした後、専門医試験に合格して初めて取得することができるものです。例えば、皮膚科医なら、皮膚がん、アトピー性皮膚炎、血管炎、膠原病、遺伝病、熱傷、様々な感染症、爪や毛髪の異常、外性器周りの疾患など守備範囲は膨大です。足の先が壊死しかかったり、床ずれで皮膚に穴が開いたようになった方をどうやって機能障害を残さず治すかとか、すりむき傷や火傷の傷をどうやってキレイに治すかとか、皮膚がんの見極めなど、基本をすべて修めているので、「もしも」の時により安心です。そうした実績を積まずに、大学病院をすぐ辞めて大手のチェーン店クリニックに研修医のうちに入ってバンバン施術するドクターは少なくありません。基礎の勉強や経験が足りず、解剖を知らないまま見様見真似で手術や治療にあたるから、専門医から見たら考えられないような事故を起こすこともあります。だからこそ、治療を受ける側も正しく選び抜く目を養うことがとても重要になります。
N:見様見真似だなんて怖すぎる!
慶田:通常はかなり薄めて使わなければならないステロイドの局注用薬剤を、原液のまま大量に入れて脂肪を萎縮させてしまったり、たるみのない20代半ばの女の子にフルフェイスリフトを勧めて傷跡をガッツリ残してしまったり、そういう例がいくつもあります。施術を提供する側の悪どさや、知識や技術力の低さも問題ですし、素直ないい子ほどつけこまれて言われるがままにされてしまうという現状も知っておくべきです。受ける側もある程度の知識を頭に入れて臨むことが、最悪の事態を防ぐことにつながります。
Z:ただ小顔になりたいって言っただけで、こんなおおごとに...。正しい知識と見極める目を持って、自分の身を守らねば...。
慶田:ドクターのプロフィールの他にも、メニューの価格もチェックすべきポイントの一つです。他院に比べて‟安すぎる価格"には何かしらのカラクリがあります。美容クリニックの施術料金には、優秀な医師や看護師の人件費、安全で清潔な空間を維持する費用、高額な医療機器の代金とメンテナンス費のほか、リスクへの対応などを踏まえた適正価格があります。
Z:確かに、そうですよね......!
慶田:安いからと思って行っても、その月に売りたいものを売りつけられて結局高い施術を契約させられた...なんてよくある話です。なぜそんなことが起こるのかというと、大手のクリニックの多くはインセンティブを個人個人に課しているからです。カウンセラーはキャンペーンの数千円のメニューで客を寄せといて、もっと高いメニューを契約させた時に歩合が入る仕組みです。だから、人生経験のない若い方ほど丸めこまれてしまうこともあります。そういう悪徳なクリニックが一部とはいえあるので、クリニック選びは慎重に!
【ずっと追い求めている、透明肌。最速で叶える方法は?】
N:Zさん、透明感アップとか美白系のメニューが好きだよね。最近は何したの?
Z:ケミカルピーリングをやってみました! 施術後は、肌トーンがものすごくアップして大満足だったんですけど、もともと皮膚が薄くて弱いタイプだから、あまり頻繁にやらない方がいいのかな、とも思っていて。
慶田:「ピール=剥離」という言葉がついているので、敏感肌にはダメなんじゃないかって思われがちですよね。でも実際は、角層のほんの少しの目に見えないレベルの層を溶かすだけなので心配要りません。ケミカルピーリングを行うことでターンオーバーのサイクルが整うので、角層の接着性と保水機能がアップ。肌のバリア力が強化され、透明感や潤いを取り戻しやすくなります。2週間に1度、3回ほど繰り返すと、ダメージに負けない調子の良い肌になっていくはずですよ。
N:透明感といえば、フォトフェイシャルも人気ですよね。ケミカルピーリングとフォトフェイシャルはどうやって使い分けたらいいのですか?
慶田:フォトフェイシャルは、さまざまな波長の光エネルギーが束となっていっぺんにでるもの。赤に効く光もあれば黒に吸収されてシミをとる光、ニキビ菌を抑える光もあり、そういういろんな光を柔らかに当てることで、色ムラやシミ赤み、ニキビなど肌状態・お悩みに合わせてよりきめ細やかな治療が可能です。波長が長いとコラーゲンを増やすことにも役立ちますので、ピンポイントで目立つシミや色ムラ、ハリの低下が気になったらフォトフェイシャルがおすすめ。肌全体のコンディションやトーンアップを狙うならケミカルピーリングを。
Z:あと、最近「幹細胞導入」をやってみたのですが、効果がいまいちからず......。あれって何に良いのですか?
慶田:ヒト由来の幹細胞を培養するときにできる上澄みの中には、成長因子やサイトカインというタンパク質が豊富に含まれます。これを導入し、細胞を修復したり再生させることで肌を若返らせることができます。美容と健康面でさまざまなアンチエイジング効果が期待できる注目の再生医療のひとつなのですが、老化症状がほとんどないZさんにはまだ早かったのかもしれませんね。
Z:用途をあまり理解していませんでした!では、肌の乾燥を断ち切って強い肌になるためには、どんな施術がおすすめですか?
慶田:Zさんは皮脂量が少なく乾燥しやすい肌タイプだから、「プラズマシャワー」をやってみるといいかもしれません。イオン化したガスを当てて細胞の結合を緩めて保湿成分をたっぷり含むような美容液を導入していくというものです。痛みもダウンタイムもないので当院でも人気ですよ。
Z:ガスで緩める...!? ダウンタイムがないなら手軽だし気になりますね!
慶田:もうちょっとしっかり保湿したいなら「ダーマペン」もおすすめです!これは、ペン型の特殊な電動ニードル機器で表皮から真皮に微細な穴を開けることで、傷に対する創傷治癒力を利用して肌を再生させる治療です。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の量を増やし、透明感やハリ、弾力がアップ。肌のバリア力も高まります。
Z:効果が持続しそうだから、投資の価値がありそう。うぅ、やはりどれも良さそうだから、何から手をつけたらいいのか悩む......。
慶田:治療を受ける際にも、「今日はこれを受けます」って自分でメニューを決めてかからないことも大切です。こんな悩みがあって、予算的にはこれくらいなのですが、どんな施術がいいでしょうか」と相談してもらうのがベストです。そのご要望に合わせてドクターが治療プランをご提案します。一部のクリニックでは、ドクターではなくカウンセラーがメニューを決めてしまうようなところもあります。売り上げの営業効率を考えると、ドクターの診察時間を短くした方がいいというのが理由だと思いますが。
Z:人からいいって聞いた治療法が必ずしも自分に合うとは限らないということがよくわかりました。やっぱり、プロにお見立てしていただいた方が、安心だし無駄もないし結果も早そうですね。
慶田:そのとおり。自分の肌タイプやコンディションを勘違いして逆効果なケアをしている人が結構いらっしゃいます。だからまずは、プロの手を借りるための大前提として、美容皮膚科でドクターにスキンケアをチェックしてもらうといいですよ。日々のケアが悪循環になっているなら一旦それを断つ。それができると、ホームケアでも美しく調子のよい肌を保つことができるようになります。洗顔や保湿など、基本中の基本を見直すだけでも肌はガラッと変わります。
N:土台のコンディションが上がれば、その先の治療にかかる費用も労力も軽く済みますしね!
【「小顔」を目指す、さまざまなアプローチ方法。】
X:私、どうしても小顔になりたいんです。今年30歳を迎えたのですが、ハリのおかげでなんとかなっていたフェイスラインがだんだん緩んできて、ブルドッグみたいになってきて......。
慶田:何か治療を行ったことは?
X:今のところ、エステ版のハイフしかないです。先日、同世代の友人(男性)に久しぶりに会ったのですが、フェイスラインが見違えるようにシュッとしていて、「何したの?」って聞いたら、脂肪溶解注射を右と左のフェイスラインに5ccずつ打ったと。それ以来、すっかり美容医療に興味津々になっています。脂肪溶解注射とかハイフとか、すぐにでも始めたほうがいいのでしょうか?
慶田:ハイフで顔を小さくしないといけないのは30〜40代からです。たるみや緩みが気になるなら始めてもいいかもしれません。脂肪溶解注射は、脂肪細胞膜に穴をあけ、細胞自体が壊れて減少するので、一度しておくと、よっぽど太らない限りリバウンドしにくくなります。顔は脂肪量がお腹と違って薄いので2回ほどで結構減ってきますよ。どうしても気になるのなら、二重あご、フェイスライン、頬の下あたりに1回試してみるのもありですが、注射して3日ぐらいはちょっとむくみが出ます。少しのダウンタイムがあるのは覚悟の上で。
X:効果が高いのは魅力的ですが、ダウンタイムがあるのはちょっと......。リモートも開け始めたので、"メチャやってる感"が出てバレるのもいやなんです。
慶田: 30歳ならまだ照射系の治療で挽回可能なので、脂肪溶解注射よりも近赤外線の熱でたるみ始めた脂肪層をタイトニングする「タイタン」の方が、ダウンタイムがなく、かつ小顔効果があって、値段もお手頃なのでおすすめです。脂肪層に効くので、定期的に受けると気になっているフェイスラインも徐々に引き締まっていきますよ。
X:手頃な照射だけで引き締められるなら、そっちのほうがリスクが低そう。悩みや年齢によって、いろんな選択肢があるのですね。
Z:ちなみに、ボトックスも小顔になれるってよく聞くのですが?
慶田:ボトックス注射で小顔効果が得られる人は、エラのハリが強いタイプの人です。噛み締めた時にモリっとする咬筋の噛みしめ癖が強いとか、食いしばったり、歯ぎしりがすごい人とか。毎日のことなので咬筋の張りが強まり、結果顔のシルエットが大きくなってしまうんです。そこにボトックスを打つと、ボコっと張り出た咬筋がスッと緩んで、使わないうちに筋肉がコンパクトになるので、エラがシュッとスッキリしますね。
Z:エラが張ってる人以外には小顔効果はない、ということですか?
慶田:そもそも、ボトックス注射は表情ジワに対しての治療。表情筋の動きすぎをちょっと止めたり弱めたりして、表情ジワを軽減させるもの。眉間のシワ、目の横の笑いジワとかね。
40代以降の広頚筋という首の薄い筋肉が強くなりすぎて、輪郭が崩れ始めた人にフェイスライン~首にボトックス注射をする「ネフェルティティリフト」は広頚筋の収縮を抑制し、首の縦ジワ・横ジワだけでなく顔のたるみも解消するので小顔になったと表現する人はいらっしゃいます。
N:やっぱり、ネットの情報だとわからないものですね。一人一人大顔に見える原因も違えば最適な治療法も違うから、お見立てしていただくのがやっぱり安心。
慶田:「二重あご」という悩みひとつにしても、人によっては脂肪を取るのではなく、ヒアルロン酸で輪郭をシュッと引き上げたほうが美しく自然に仕上がることもあります。すべてはケースバイケース。原因が骨の減りなのか、脂肪のたるみなのか、筋肉の過緊張(拘縮)なのか、何を治したら理想に近づけるのか、オープンクエッションでお見立てをしてもらうのがベストです。
X:顔の脂肪が多くて大顔に見える=脂肪を溶かせばシュッとする......という単純な話ではないのですね。
慶田:小顔になりたい、顔をすっきりさせたいという気持ちは誰にでもあるものだけれど、そもそも10〜20代の弾けるパンとした感じこそ、若さの証です。あと10年、20年もすれば顔のお肉は嫌でも削げていきますし、私たちは毎日のように、そんなそげそげの人たちにヒアルロン酸を入れてボリュームを戻す作業をしているので、「脂肪をむやみやたらに溶かすな!」と声を大にして言いたいですね。
X:いずれ肌のボリュームを戻したくなる日がくるかもって思うと、気軽に溶かせなくなりますね...。
【韓流ブームの闇⁉美容整形ツアーはリスクがつきもの。】
N:K-POPアイドルとか韓国ドラマ人気で、旅行がてら整形もしてきちゃう人たちがけっこういるって聞きますが、これってどうなんでしょうか?
慶田:韓国にも優秀な先生はたくさんいらっしゃいます。でも、韓国で美容整形を行うのがブームになってしまっているので玉石混淆。日本語のホームページがあったり、通訳がいるからといって、技術力が高いという保証にはなりません。
X:実際、韓国で美容整形トラブルを起こしたっていう例はたくさんあるのでしょうか?
慶田:ありますよ。私のクリニックにも、韓国での注入トラブルの修正でお見えになる患者さんはたくさんいらっしゃいます。でもやっぱり、手術をした人が最後まで責任を取るべき問題。だからせめて、1カ月はそのために滞在して、抜糸して、経過観察までしてから帰ってくるぐらいの心づもりでいないと。手術だけ受けてきて「抜糸だけしてください」とか「傷が開いちゃったのでどうにかしてください」というのは、あまりにも軽率です。
X:韓国の方が安いし、手軽そうなイメージだからといって、すぐに飛びつかない方がよいですね。コミュニケーションがとりづらいだけでも、リスクだと思って!
【ナチュラルな若さを維持するために、20代が始めておきたいこと。】
N:美容医療の始めどきって何歳ぐらいでしょう?
慶田:ほうれい線やたるみが気になり始める30代頃から通われるケースが多いのですが、かなりお若い方も増えていますね。私のクリニックでは、中学受験が終わった小学6年生がお母さまに連れられてお見えになったりもしますし、「ニキビを放置してニキビ跡になってしまうと治りづらいから、高校生のうちからしっかり治療させたい」、という美意識の高いお母さまと一緒にいらっしゃるティーンの患者さんもいらっしゃいます。お悩みは脇やスネのレーザー脱毛と、毛穴、ニキビ、ホクロの除去が多いですね。
X:スキンケアの延長みたいなところから始める方が多いんですね。
慶田:老化の兆候なんて、全く出ていませんからね!差があるとしたら、元々の肌質に起因するトラブル、たとえば、アトピーがあって湿疹を繰り返してしてしまうとか、産毛の濃い薄い、ニキビが出やすいそうでない、とか。
Z:ガール世代として、まずは何から始めるといいですか?
慶田:ガール世代は、いらないホクロがあればとって、ニキビをコントロールして、産毛を脱毛して、年に2〜3回はちゃんとしたところで『フォトフェイシャルM22』を受けるのが理想的。それができれば、老化のスピードをかなり遅らせることができますよ。
Z:やっぱり、ガール世代でも早すぎることはないんですね。先手必勝!
慶田:怪我をした時の傷の治りとか、骨折した後の骨がくっつくまでのスピードって、年齢によって全然違いますよね。肌を若返らせる仕組みって、傷をつけたり、レーザーで穴を開けたり、熱を加えたりして、その刺激をきっかけにコラーゲン線維やエラスチンを増やして新しい肌を作っていくんです。つまり、もともと備わる「再生力」を利用しているから、若ければ若い人ほど高いリターンがあります。
N:では、どのくらいの頻度で通うのがベストですか?
慶田:信頼できるクリニックでニキビなどがひどい間は月1回。難しければ、4ヶ月に1度でもいいからフォトフェイシャルだけでも続けていくと、10年20年先の肌の若さに差が出ます。皮膚科専門医以外が商業性の高いクリニックを運営している場合、20歳前後で全く必要がないのに、強すぎるエネルギーでコラーゲン線維を変性させるハイフを小顔目的で頻回に施術させたり、無意味なレーザートーニングを繰り返したりすることがあります。不必要なものはしないという高い倫理性とプライドをもつクリニックと医師を選んでいただきたいと思います。
Z:美容医療って、即効性を狙うものだと思っていたけれど、違うんですね。長い目で見て自然な美しさを保つものだと学びました。
慶田:そのとおり。今は未来の自分が羨むぐらい、若くてプリプリでたるんでない理想の状態。できるだけそこから老化のスピードを遅らせることを目標に、日々のライフスタイルやスキンケアに取り組んでみてください。まずは「睡眠、食事、排泄腸内環境、運動習慣、ストレスコントロール」の生活習慣の5本柱をしっかり整え、「洗う・潤す・光老化対策」の基本のスキンケアを細く長く続けていくこと。その上で、定期的なクリニックでのメンテナンスを行うといったルーティンを今のうちから始めておくと、将来の自分が今のあなたに感謝するはずですよ。
【美容医療のめざましい進化と、最先端に飛びつくリスク。】
N:最新の美容医療は、どこまで進化していて、どんなことまでできるのか知りたいです!
慶田:ここ数年は、幹細胞がキーワードになっていますよね。ヒト幹細胞を培養するときの上澄みの中のサイトカインを導入して肌を若返らせる「幹細胞培養上清液治療」も人気ですよ。とは言え、薬剤のグレードはピンキリなので、幹細胞だからといってなんでもすごく効果があるわけじゃないので、そこは注意していただきたいですね。当院では脂肪幹細胞生上清液を点滴するメニューがあります。
N:トレンドのワードに飛びつかないように、ですね。
慶田:シミとり系だと、3年前から「ピコレーザー治療」が人気です。これは、現時点で世界最高レベルの切れ味をもつシミ・肌質改善レーザーで、ナノ秒よりはるかに短いピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射するため、熱発生がほとんどなく、痛みや皮膚へのダメージを最小限に抑えることができます。従来機よりも「早く、キレイに、確実に」シミを消すことができるので、私のクリニックではフォトフェイシャルよりも人気です。
Z:早くて、痛みもないなら、かなりハードルも低いですね。進化のスピードもすごい!
慶田:ただ、新しいものだけを追いかけるのが正解かというと、そうとも限りません。美容医療の世界で20年超え、25年超えの技術って、実はそうないんです。四半世紀経っているものは、「フォトフェイシャル」「ケミカルピーリング」「ボトックス注射」「レーザー脱毛」「ヒアルロン酸注入」ぐらい。四半世紀経ってもなお人気なのは、十分な効果が得られて患者さんも満足できてリスクが低い上、十分な効果が得られて患者さんも満足できる点で費用対効果が高いということです。ドクターからの評価が非常に高いという証でもあります。それはつまり、大きな問題点がないということなので、安心ですよね。
N:必ずしも最先端が良いわけではないのですね。反省......。
慶田:私の場合、新しい薬剤やマシンが出たら、最低でも1年は待ちますね。なぜかというと、じんましんの薬や抗アレルギー薬剤などの新薬が出ると、1年間に副作用報告が大量に出てくるから。100人に行った臨床試験の時では見えなかった問題点が、何百万人単位で処方するようになるとたくさん見えてくる。そこを見極めてから採用しても遅くはないと思っています。マシンも薬剤も、安全性、効果を担保してくれるような、こなれた使い方で慎重に。危ないかもと感じたなら2年待ち3年待ち、それで結局入れないなんてことも珍しくありません。安心安全第一です!
【"びっくり人間"にならないために! 美容医療との上手な付き合い方。】
X:美容医療って、早く確実に結果が出るのが魅力ですよね。だからこそ、ハマり過ぎないか心配で。「いかにもやりました!」っていう不自然な顔にならずにナチュラルに若さをキープしていくためには、どうしたら良いのでしょうか?
慶田:そもそも私のクリニックは美容皮膚科なので、顔の形を変える施術はほとんどありません。できることは、肌やシルエットを若い頃の状態に戻す、右左のバランスを整える、シワを寄せるクセが強いところはプリーツ加工される前にボトックス注射で止める、不要な良性腫瘍をとる、色ムラを調整する、ニキビをコントロールする、老化症状を改善して若い頃の理想の状態に戻す、という具合。この程度なら、劇的に顔が変貌することはないし、そんなに依存することはないと思います。
X:よく顔がパンパンだったり、能面のようになっちゃったハリウッドセレブの失敗例とか見ると、ああはなりたくないなと思っちゃって......。
慶田:確かにヒアルロン酸注入は、「オーバーフィルドシンドローム(過剰注入症候群)」といって、入れすぎちゃってる方が海外でも問題視されています。美意識が高くて、いくらでも注ぎ込める予算がある方がなりやすいですね。1〜3度目ぐらいまでは、すごく若返るし魅力も高まる。でも、過剰になると見た目に不自然になるだけでなく、たるみで皮膚が伸びてしまう場合もあります。風船をパンパンに膨らませて空気抜くと萎みますよね。それと同じ現象が肌にもたるみジワとして起こる。そのシワを膨らませて伸ばそうと、もっともっととヒアルロン酸を入れ続けると、だんだんシルエットが大きくなってしまいます。
N:まさに依存による悲劇ですね......。
慶田:そうならないために、きちんと説明してあげることもドクターの仕事。「ある程度まで注入したらそれ以上は入れません」「今度は引き締めたり引きあげたり肌質を強固にする照射治療をメインにしましょう」というふうに。注入は初めだけある程度の本数を使うけれど、その後は、間隔を空けたり、迷ったら入れないとか調整したりしてメンテナンスする。待つべきときは待つ。「やりたい=いいよ」という患者とドクターの組み合わせになるから、びっくり人間のような顔が出来上がってしまうんです。ちなみに当院の場合、初回は注入しどころ満載なので平均2.5本くらい注入しますが、その後は間隔が2~3年と空いていき、1回あたりの本数もどんどん減るので、平均すると1.4本/回しか使っていません。
N:先生のお顔の仕上がりも判断材料になりますよね。けっこう攻めてきそうだなとか、ナチュラルビューティが信条なんだろうなとか。
慶田:それはありますね。美容医療は、引き算の美学ぐらいでちょうどいいと思うんです。そこのセンスと、ドクターの倫理観、患者さんにとってハッピーかどうか。それを考えることがクリニックの姿勢にもドクターの顔にも現れる。カウンセリングのみ30分たっぷり説明だけして結局何もしないで帰すのは、クリニックにとって一銭の得にもならないけれど、私の美学であり、この仕事をする上で譲れないプライドです。医者が人のコンプレックスに付け込んで悪徳な商売をしたら地獄に落ちると思っていますし、少しでも徳を積んで死にたいので。「やるべき時しかやらない」という精神がある先生に相談していただきたいと思っています。
X:本当にそうですよね!
慶田:人間の体に注入するものには限界があるし、照射も適切なタイミングがある。限度は絶対に超えないようにすること。それを守れば、びっくり人間になることはありませんよ。
Z:適度な距離感を保って付き合うことが大切ってことを、肝に命じます。
慶田:美容点滴とかイオン導入といったダウンタイムがなく容貌が大きく変わらないようなものなら、毎月でもOK。でも、ヒアルロン酸など注入系は量や頻度を適切に守ることを忘れずに!
美容医療は自由診療なので、同じメニューでもクリニックによって費用は異なります。だからこそ、適正価格なのかそうでないか、望まない治療を押しつけられていないか、ダウンタイムや治療に関する説明がきちんとなされたか、ドクターと感性が一致しているかなどなど、目先の安さや上手い言葉に囚われないで、いくつものチェック項目を精査した上で選ぶことが大切です。光だけでなくリスクの部分にもきちんと目を向けて、納得して美容医療を味方につけましょう。
是非、ご参考になさって下さい。