塩酸ミノサイクリンによるhypersensitivity syndromeの一例
症例報告 塩酸ミノサイクリンによるhypersensitivity syndromeの一例
慶田朋子
要約
76歳、男性の塩酸ミノサイクリンによるhypersensitivity syndromeの1例を報告した.慢性
腎不全にて当院内科に入院中に、肺炎に対して24日間塩酸ミノサイクリンの100mg/日の
点滴が施行され、症状改善により中止した2日後より躰幹、四肢に紅斑が出現した.初診
時の検査所見では貧血と好酸球増加、肝障害を認めた.抗アレルギー剤の内服、ステロイ
ド軟こうの外用にて皮疹は軽快傾向を示したが、鼠径部のリンパ節腫脹と発熱に対して塩
酸ミノサイクリンが再投与されたところ、紅斑と丘疹の再燃を認めた.病理組織像は苔癬
型組織反応を呈した.発症約9週目のヒトヘルペスウイルス6IgG抗体価は40倍から160倍
に上昇した.皮疹は軽快増悪を繰り返し、全経過約3か月で色素沈着を残して治癒した.
keyword:薬疹、hypersensitivity syndrome、塩酸ミノサイクリン、ヒトヘルペスウイル
ス6型